富士形山     厳しきかな鋭峰
        
2004.04.18/複数
               
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村営実田牧場(御料地)〜尾根取付C224(林道)〜738〜南尾根〜938〜山頂(往復)  


 知来岳(ちらいだけ)は、増毛山地の南方に聳え、比較的奥深い険しき1000m級の山である。
 この山情報は、無雪期の沢ルートは多少得られたが、積雪期ルートに関しては皆無であり、主稜線の南東尾根に至る尾根筋ルートを計画する。
 前夕、近傍の「富士形山」を下山後、登山口へと国道451号線で浜益方面に向かい「御料地」の浜益川に架かる「盤の沢橋」を渡り右折、村営実田牧場の森川に沿う農道を600m程進むとY字路からは未除雪で登山口とする。
 正面に知来岳と南東尾根の威容を眺め、このルートは未知数であり、確実に登頂するには予備ルート(南西尾根)をも思慮し、時間的余裕を得たいと林道終点付近まで前進とスキー装着で農道を歩く。
 本日は、下山(富士形山)後に浜益温泉で湯に浸り、けだるさも手伝い背中の重装備が重たい。
 緩やかな牧場丘陵から山間部の林道に入り、水場の容易性を基準にC166付近の林道にテントを張る…鹿の鳴き声が森に響く。
 当日早朝、ツボ足で林道をカットしC226から林
道を離れ北側の樹林帯に入るが、入り組んだ沢地形に1本東寄りの尾根だと気が付き、予定ルートの尾根に上がる。
 C340では、大岩が細尾根を塞ぎ、乗り越えるも下降箇所が危険と判断して、引き返し右側を巻く。
 順調に高度を上げるに従い、山頂部と南東尾根の稜線が鮮明になり、頂上に至れる確率はと思いながら、主稜線に上がると広尾根に変わる。
 山麓から継続的に遠望した鋭鋒「黄金山」の断崖景観が更に鋭さを増
す。
 ゆったりとした尾根歩きの時間が流れると…眼前に高度感ある頂上部と南東尾根が険しき景観を見せルートを探りながら緊張する。
 いつも私の後方で歩く事の多いNaさんが動いた!!…尾根東側のセッピを偵察後、ルートを尾根西側に選定する。
過去、厳冬季の難所山行を重ねた経歴を持つNaさんが、高度感のある急峻な斜面をアイゼンで削りながら慎重にステップを刻む…バランス感覚が違う。
 ピッケルを刺す位置には亀裂が走り、…滑落したら助からないと緊張する時間が続く。
 この難所ピークを通過(写真No3:南東尾根稜線を参照)するには、断崖上の雪面を伝いながら未知数の尾根反対側へと乗り越える危険が…Naさんが雪面の亀裂もあり無理と判断し引き返す。
 反対向きに変わったステップに再び緊張しながら、慎重にアイゼンで足元を確保し、広尾根に出るとドッと疲労感が漂う…厳しかった!
 頂上を目前にして簡単に諦め切れず又時間的にも余裕あり、地形を偵察した結果、尾根東側のセッピは張り出し部分が無く、比較的安定していると判断する。
 この場面もNaさん
が、先頭に立って慎重にステップを刻むが、先程の尾根西側より斜度も弱まり又雪面に足元は埋没し比較的安定する。
 尾根下を切りながら山頂に至れると実感するが、先程の尾根西側の亀裂雪面が脳裏に浮かび頭上を見上げる。
 通常、山頂を最初に踏むのは「頑張るモード」のNaさんに譲るのが常であるが、今回は厳しい箇所を終始リードしたNaさんが私に山頂を譲る…諦めかけた山頂についに到達である…お疲れ様でした。
 頂きから、苦戦した南東尾根のピーク乗越しを眼下に観察すると、やはり非常に危険であり、Naさんの判断は適切であった。
 山頂に近づくと次第に広がった青空下に大滝山・南暑寒岳・暑寒別岳・尾白利加岳・黄金山等が里は春でも山は白きと映える。
 下山、雪温上昇によりステップ跡も深くなり、安定した足場で尾根下を切り、下降を始め
ると山頂に人影が続々と出現する。
 広尾根に変わり振り返ると、狭い山頂部に横一列となった登山者GPが高所空間を味わっている。
 林道に出てテントを撤収し、再びの重装備でスキーを履くが意外と早い時間に登山口に到着する。貴重な「一山」を無事終えたと山容をしみじみ眺める。
同行者Naさんのコメント「頑張った自分に、大きなはなまるをあげる」

村営実田牧場(御料地)
1日目 登り
6時間55分
1時間15分 下り
3時間40分
林道 C166
2日目 3時間40分
主稜線(南東尾根取付)
20分
C915
45分(引き返し時間含む)
C921(難所)
55分
山  頂
備考:上記時間に休憩を含む

1 村営実田牧場より山容
2 C700付近から山容
3 山頂から南東尾根(赤印/尾根西側)
4 南東尾根東側より山頂部
5 山頂(下山時)

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