幾山岳         深い谷筋の威容
          
2004.09.18/複数

札久留二股林道【熊取橋】〜上原子川〜381二俣〜東尾根〜山頂〜756〜二俣〜熊取橋 


 幾山岳は、北見山地の南方に位置する1000級の山であり、無論登山道はありません。
 道北地区のウェンシリ岳を核心に北側に札滑岳【昨秋登頂】、南側にはこの幾山岳が聳え、山岳誌「北海道の山と谷」によるとウェンシリ岳の東面を日高上級ルート同様のグレードで紹介しているが、この山域の国境稜線東側は鋭く深く切れ落ちた谷筋は標高以上の迫力がある。
 ルート情報は、いつもながらを得られなく地図を眺めると東側斜面の等高線は非常に狭いが、昨秋に札滑岳の頂きを強烈な藪とハイマツの西斜面から踏んだ際、国境稜東側の急峻な斜面と明るい草地斜面が印象的であり、今回は東側ルートを計画する。
 岩尾内湖近傍でOgi氏Ko氏と合流、道道61号線で上紋峠を越えて滝上町方面へと向かい、札久留二股林道に入ると林道正面に三角錐の幾山岳を遠望できる。
 道道から3.5Km地点の原子川と上原子川二俣の「熊取橋」近傍の小広場が登山口となる。
 熊取橋から上原子川に入渓すると沢は美観であるが、この先の沢筋の困難性を予感させる。
 程なく砂防堤が見えると左岸沿いの林道に上がり、緩やかに辿ると眼下にスッキリとした沢筋が続く。
 .314右岸枝沢からは、作業道は右岸沿いに変わり、鹿道が明確で歩き易かった林道もC370右岸枝沢で消えて入渓する。
 高低差の緩やかな沢筋が続くと381二俣出合いであり、左俣口は急峻な沢筋が予想される荒れた景観である。
 右俣へと入ると美観が続き、短い函を抜けるとC485で2段滝【比高差30m位】が出現…最初右岸を捲こうとするが片側がオーバハング気味の狭い沢筋に前進困難…次いで左岸のガレ沢に上がるが不安定であり失敗。
 再び右岸の高巻きへと沢筋を多少戻って、スッキリとした藪斜面に取り付いて急斜面に高度を上げる。
 ここで思案…高捲いて再び沢筋に降りるか又はこのまま尾根筋へと高度を上げる2案があるが、この標高で厳しき滝が出現するならば、等高線が込んだ上部は多難と結局後者を選択する。
 急峻な斜面に喘ぎ、短時間に高度を上げるが時間と共に植生も濃くなり、尾根筋に上がると本格的な藪となる。
 幾山岳東尾根の台端部756を過ぎると山頂部が尾根筋越しに眺望され、眼下には右俣沢の切れ込んだ谷筋が険しく、C500付近には雪渓も散見されて低高度での迫力景観に圧倒され、高巻いて沢筋を辿っていたら時間切れであった。
 狭い尾根筋には低灌木が続き、3人で交代しつつ黙々と藪漕ぎが続くが、C890から尾根北側の草地斜面に出ると藪漕ぎから解放される明るい急斜面が広がる。
 山頂部は低笹に覆われ展望は得られなく、三角点を発見後に草地斜面へと高度を下げて腰を降ろす。
 深く切れ込んだ谷筋越しに1000級の山とは思えない端正な国境稜線とウェンシリ岳の鋭峰が広がる。
 下山は、東尾根次いで756から南尾根を辿り高度を下げると藪も薄くなり、振り返ると端正な山頂部次いで左俣の迫力ある谷筋に驚き、日高の山容景観と三人で声を揃える…私には近寄れる左俣ではない。
 再び作業道跡を辿りながら、予想以上に険しい山行であり、登山口である「熊取橋」を再び渡ったのは10時間30分後であった。
 同行者:Ogi氏/Ko氏

熊取橋
登り 1時間20分 下り
4時間
381二俣
1時間35分
【2度の高巻き偵察含む】
尾根取付C480
3時間
山  頂

1 札久留二股林道から山容
2 二段滝
3 尾根から山頂部
4 山頂直下からウェンシリ岳
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