留取岳           奥深き静峰
      
2005.07.16〜18/複数

歴舟中ノ川〜南南東尾根〜山頂(往復) 


 留取岳(るとりだけ)は、中日高主稜線の東方に位置する1300m級の山であり、ペテガリ東尾根の1518mから南に派生する尾根端末に聳える。
 この山は奥深く、今回登頂と叶ったのは、ガイドブックにない「北海道の山50」著者であるHa氏のお誘いにて林道・川筋次いで藪尾根を繋ぎ、3日間を要した貴重なる一山の記録である。
 山行日程は、一日目/留取岳の南南東沢付近(テント場)までの12Km歩き、2日目は山頂往復(テント場)、3日目は1日目の復路を辿る計画である。
 1日目:登山口へと大樹町尾田から「歴舟中ノ川」沿いの林道に入り、281沢筋から林道が埋もれ車止めとなる。
 30mザイル2本を含めた4人GP(Ha夫妻・KO氏)が重装備で歩き始めると、途中の林道カーブで「熊」と至近距離で遭遇、熊がパニック状態で全力失踪で行く先の林道に尻を見せて消え、運良く熊が4人の人間接近にかなり動揺したようである。
 この場面は、カーブであり、熊側の近傍に枝沢の小滝があり、熊が人の気配に気づかなかったと思われる。
 支五ノ沢川二股に架かる「かむい橋」前後の林道には草が覆い、警笛を鳴らしつつ林道終点から歴舟中ノ川の入渓地点に向かう。
 地図上より西に更に700m位延びている林道から広河原に入渓、比較的流れは速く、渡渉を繰り返すとC375ゴルジュであり、当初左岸を伝うが「淵」に行く手を遮られ、右岸を捲くと登山道と思える程の巻道を短時間に抜ける。
 留取岳の南南東沢筋のテント場が近くなった389で「淵」が出現、左岸に150m程高度を上げ、岩稜尾根に上がり高巻く場面には2時間近く要する。
 テント場は、河原を辿ると見つける事が不可能であり、巻道からの下降途中で発見したが沢上部斜面に広い平地が広がり、増水の心配のない絶好のテント場に夕刻到着する。
 2日目:早朝、河原に降り立ち歴舟中ノ川の分流430へと向かうとテント場から程なく崖上部からの30m滝が流れ落ちる南南東の沢であり、このような沢筋から沢筋へと入るのは初めての経験である。
 沢筋の左岸から滝上部に捲くと連続する滝が出現、LであるHa氏が尾根筋へとルートを設定、南尾根の941を目標に頂上まで標高差900mの藪漕ぎである。
 直上の尾根に上がると、当初計画した右手の急峻な沢筋には滝が数段に続き、高捲きを繰り返すと時間切れの様相と勾配の強い尾根筋を覚悟して辿る。
 急峻なる尾根筋もC600から緩斜面となり、笹藪の広斜面の方向標定にKO氏が標示テープを縛着しつつ、交代で藪を漕ぐ。
 941南側尾根に上がると吹き抜ける風が心地良く、中日高の雄峰が姿を見せる。
 C1000mを越えると藪も薄くなり、灌木・岩部の急登が続くが鹿道が意外な程に少ない。
 留取岳東尾根に上がると強烈なる灌木漕ぎであり、樹木の間隙から北尾根の1483Pが突き上げた山容を見せる。
 山頂部は、腰丈の笹と疎林に囲まれて三角点標石があり、視界は決して良くないが、ペテガリ東尾根とポンヤオロマップ岳・ソエマツ岳・神威岳・中ノ岳等何れの山も想い出深い山であり、奥深い頂きから感慨深く眺める。
 3日目:雲行きが怪しい空模様下、テント場上部の沢筋から高度を上げ、1日目に高巻いた河原の取付点に降り立つと小雨であり、増水前に林道に出ようとピッチが上がり、渡渉を再び繰り返す。
 運良く、林道に上がると雨足も強くなり、再びの林道を辿りながら、この山は天候に恵まれた3日間の日程は必須の遠き山であり、お誘いして下さったHa氏と奥様とKO氏に感謝する。
 同行者:Ha夫妻・KO氏

車止め
登り 2時間50分 2時間40分 下り
林道終点(入渓)
4時間10分 2時間50分
テント場
5時間50分 3時間30分
山  頂

1 林道終点からの入渓 
2 C375ゴルジュを引き返す  
3  南南東沢の入口
4  北尾根1483P
5  山頂から中ノ岳
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