二股山 遠き深山は展望
2005.07.23〜24/GP
奥新冠発電所ゲート新冠湖〜新冠川〜810右股〜ルンゼ〜東尾根〜山頂(往復)
二股山は、中日高の連なる主稜線に包まれた位置に聳える1400m級の山であり、遠き深山である。
この山頂へは、主稜線の1831ナメワッカ分岐から東尾根を辿るか、北斜面の沢筋が考えられるが、今回後者ルートにて「ガイドブックにない北海道の山50」著者であるHA氏との同行により、山頂を踏んだ記録である。
山行計画は、1日目/奥新冠発電所から林道次いで幌尻湖北側から新冠川に入りテント泊、2日目/沢筋からの登頂、下山は奥新冠発電所へと往路を引き返す強行日程である。
1日目:新冠湖から更に林道を北上、奥新冠ダム発電所を過ぎた地点に林道二股の通年封鎖ゲートの広場があり、人家がある泉地区の林道口から約40Km弱の道程である。
この二股山の困難性は、林道二股の封鎖ゲートから新冠川入渓点までの林道15Kmであり、今回は2日間の強行日程もあり自転車を駆使する。
HA夫妻・KO氏とペダルを快適に漕ぐ野望は直ぐに破れて、テント泊装備の重量もあり、坂道を黙々と自転車を押す時間の方が遙かに長い。
新冠川「いこい橋」には、橋中央に高きゲートがあり、自転車を渡すのは大変であるが、人は下段に設置されている回転扉より抜ける。
深い渓谷沿いの林道は新冠川右岸に変わり、 台風影響を偲ばせない景観の中、崩壊により林道が塞がれている箇所は無く自転車を黙々と押す。
奥新冠ダムに広がる幌尻湖を更に北上、幌尻沢と幌尻右沢手前の林道地点に到着、大半が自転車を押した長い林道歩きを終える。
林道から沢筋へと下降、幌尻沢と幌尻右沢が合流して幌尻湖に流れ込むC740沢筋に降り立つと荒景観が広がり、次いで1211P南側の新冠川が幌尻湖北側に流れ込む右岸の作業道跡に上がる。
作業跡の薄い踏跡は、ベッピリガイ沢と新冠川との二股手前250m付近まで続き、新冠川の明るい河原に降りると正面に南西尾根への急峻な尖りが見える。
二股(730)を左股に入り、比較的広い沢筋地形にテント場を探すとC745左岸上部に何とか3張の地形を確保する。
2日目:早朝の薄暗い中、ツェルト・ザイル等を収納、再び新冠川に降り立ち、緩やかに高度を上げるに従い本格的な沢筋景観に変わり、幾度となく渡渉を繰り返すが、高捲きを強いられる箇所はない。
810二股到着、右股へと引き続き広目の新冠川を辿るとC830急峻な岩壁に細く挟まれたルンゼ入口である。
地形図では、C1120まで幅広のルンゼが続き、この地形を利用して短時間に高度を上げて回り込み、東尾根から山頂に向かう計画である。
ルンゼに入ると程なくC830ゴルジュであり、一段目は越えるが2段目は取付き点がなく、右岸をロープを出しながら高巻き、引き続く3段目も高巻くと広い沢筋が続き、地形図でのルンゼ唯一の難所と知る。
岩石等が主体のルンゼは水流は細く、空洞雪渓C1020を渡るとC1100二股であり、右股斜面には山頂部に近いと思われる枝沢が延びる。
右股は、東尾根直下まで勾配の強い浅い凹地沢筋が続き、水量の少ないガレは落石に注意である。
尾根まで標高差100m前後まで続く沢地形から、藪が薄い急斜面に取り付き、待望の東尾根に上がると端正なナメワッカ岳が眼前に聳え、憧れに溜息声である。
中密度の藪漕ぎに比較的明確なる東尾根を辿り、高度変化を感じない起伏尾根の地形に変わると小広い山頂である。
低シャクナゲが地面を覆うように密生する小広い山頂部には、三角点標石があり、展望度抜群である。
幌尻岳・エサオマントッタベツ岳・ナメワッカ岳・イドンナップ岳等が一望され、林道の自転車押し・テント泊・予測困難なるルンゼ地形の末に辿りついた一山を青空下に味わう。
備考:「ガイドブックにない北海道の山50」著者であるHA氏が、ルート設定に満足しつつ、展望も併せて皆に紹介したい山と微笑む顔が印象的であった。
先週の留取岳に引き続き、奥深い貴重なる日高の山を踏めた事に感謝すると共に「音を上げない頑張り屋のHA夫人」、そしてKO氏に感謝です。
1日目 奥新冠発電所ゲート 5時間45分(自転車) 入渓点「奥新冠ダム(幌尻湖北側)」 45分 730二股 15分 テント場(新冠川C745) 2日目 1時間30分 610二股 2時間25分 山頂(当日夕刻奥新冠発電所ゲート到着) 備考:テント場は730左股、北側300m 1 730二股(ベッピリガイ沢と新冠川)
2 C830ルンゼ口
3 ルンゼ地形の雪渓
4 東尾根からナメワッカ岳
5 下山の自転車部隊(奥新冠ダム)
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