恵岱岳 群馬岳奥深き頂きを踏む
          
2006.03.31/GP

御料峠〜恵岱岳〜群馬岳(往復)


 恵岱岳(えたいだけ)と群馬岳は、増毛山地の主稜線に聳える暑寒別岳・群別岳と雨竜沼湿原を挟んで東方に位置する山である。
 恵岱岳は、夏季に北側の「信砂岳」を沢筋から登頂時に恵岱岳を眺めたが、台地稜線へと続く複雑な地形に沢筋・藪漕ぎは並大抵ではなく、積雪期の今時期が好機である…ただし恵岱別川の渡渉が鍵を握る。
 一方、群馬岳は、雨竜沼湿原を構成する群馬湿原の東側に位置、雨竜沼湿原・南暑寒への登山道の奥方にあり無雪期は近づけなく、積雪期は尾白利加ダムからのアプローチが非常に長く難しい山の一つである。
 今回、恵岱岳を経由して群馬岳を往復しようと計画、同行のOgi氏/旭川と恵岱岳までテント上げをも考えたが、足並みが揃い日帰りでも可能と挑戦、天候にも恵まれて2山の頂きを踏んだ記録である。
 登山口へと国道275号線の北竜町から道道94号線に入り、恵岱別ダムを過ぎた北竜町・雨竜町との境界南側の御料峠駐車場で仮眠する。
 翌早朝0450、今年2度目の同行山行となるOgi氏とご挨拶後、林道を確認、C481尾根筋を含む入り組んだ沢筋と蛇行する恵岱別川の流れに春の気配、渡渉点を探すとC275右岸岩壁直下に唯一の「雪の橋」があり、渡渉後に用意した長靴をデポする。
 群馬岳を視野に入れた行程であり、容易に渡渉できたのは幸いと谷筋に入り、C773へと続くC481尾根取付き斜面は急峻であるが、強引にスキー装着で尾根に切り上がる。
 尾根筋も高度上げと共に広尾根に変わり、Ogi氏は前回C700付近まで4時間を要したが深雪で無念の断念をした経緯があるが、この時期は効率良く歩ける。
 C773越しの恵岱岳南東尾根は、疎林斜面越しに連なり、白銀に映え雄大で美しい。…南東尾根に上がるとダケカンバ林の広大な平坦景観が広がる。
 高低差の少ない台地一角が恵岱岳の山頂とGPSで標定後、群馬岳への計画について判断する。

 ・天候の急激な変化がないとは言え、視界が得  られない状況
 ・時間的には予定通りであり、恵岱岳から群馬  岳の往復11Kmは可能と見積る
 ・体力的に2人共に問題なし
 ・装備も非常時の際、特に問題なし
 ・視界不良時、計3台のGPS及び予備電池も  あり
以上の判断であるが、私は当初、悪天候下に
無理せずと考えたが、Ogi氏の天候が悪化したなら直ちに引き返すとの前提に計画通り群馬岳へと向かう。
 広大な緩斜面を順調に高度を下げるが、限りない標示が必要な地形が続き、GPSの威力を実感する。
 正面に湿原景観と群馬岳北側の断崖を望むと程なくC845の夏道登山道付近に到着する。
 群馬岳山頂部を標定しながら、山地高湿原としては尾瀬に次ぐ
規模を誇る雨竜沼湿原へと積雪期に足を運ぶ登山者は稀と思える…静かな空間である。
 疎林の緩斜面から再び広大な台地に上がると次第に天候が回復、眼下の暑寒ダム越しに
平野部を望むと群馬岳の頂きが断崖寄りにあり、目的地に待望の到着である。
 一気に晴れた青空下、明るい山頂部からは、徳富岳・大滝山が映え、簡単には踏む事ができない高所空間を堪能する。
 下山、再びC845の登山道付近へと引き返すと快晴下に暑寒別岳・南暑寒・鋭峰の群別岳・尾白利加岳の連なりが雨竜沼湿原越しに一望され素晴らしき山歩きの感動である。
 遠くなった恵岱岳の断崖部を目標に緩斜面を黙々と辿り、恵岱岳をカットして南東尾根の下降点へと近道すると眼下にC773と遠き道道94号線が眼下に見える。
 C275渡渉点へと下降開始であるが、私の足回りはバックル式のウロコスキーもあり、変化する雪質に四苦八苦、随分と転げたものである。
 スキーを脱ぐ事もなく渡渉点にやっとの思いで到着、滑降斜面でこんなに手こずった事は珍しいと恵岱川の水流を聞くと雪上に長靴がポツンと。
 恵岱川へと下降できる林道を発見、御料峠に無事下山、10時間30分を要した23Kmの旅は計画時間内であった。
 Ogi氏の恵岱岳山頂における群馬岳への決心と終始ハイペースで先頭を歩いた結果、貴重なる2山の旅を青空下に完遂できた事に感謝する。
同行者、Ogi氏@旭川のコメント文を紹介します。
4/1に恵岱岳から群馬岳をEIZI@名寄さんとピストンしてきました。いずれの山も雨
竜沼湿原の東側にあり、湿原側から見ると山というか、高みというか、角みたいなも
のですが、麓から見上げると立派な山です。
EIZI@名寄さんとの凸凹コンビは先日の江丹別幌内山に続き今春2回目、前回が慣らし運転なら今回はいきなりの全開モード。
自分は恵岱岳は2004.1.24に挑戦してますが、あまりの雪の悪さで4時間かけてCo
650までしか届かなかった苦い思い出があり、今回はリベンジです。
昨日の天気予報は全道晴れのはずだったのに、おかしなことに天候が悪い。頭の中で
は朝からスカッと晴れて、暑寒を眺めながらの楽しい湿原歩きのはずだったのですが
・・・・。
そのうち晴れるべ、と思いながら進んできたが恵岱岳ではホワイトアウトに近い状
態。恵岱岳山頂から更に往復10キロ以上ある群馬岳までは精神的にも状況的にも厳しい
中、2人いれば大丈夫だろうと行けるところまで行くことに・・・。
初夏には賑わうであろう、雨竜沼の夏道を過ぎたあたりから天候は回復傾向。
かなりペースをあげていたのでこれで群馬登頂を確信する。
ようやく辿り着いた群馬岳では見る見る雲が昇華し、目の前に徳富岳が見える。
群馬からの帰路では雨竜沼雪原の向こうに、暑寒から尾白利加まで山並みが突然に純
白の姿をドラマチックに現し感動!!頑張ってここまで来て良かった。
恵岱からの下りは雪が悪く2人で何度転んだかわからないくらいの大転倒大会でし
た。
この記録はEIZIさんのHPにそのうちアップされると思います。
恵岱までは地図がガイドのsaijyo&チロロ2師匠のHPを参考にしました。あ
りがとうございました。

御凌峠(道道94号線)
登り
5時間45分
45分 下り
4時間20分
C275渡渉点
3時間05分
恵岱岳
2時間
群馬岳

1 山麓からの恵岱岳南東尾根
C275渡渉点/取付き尾根
3 群馬岳方面から恵岱岳
群馬岳山頂から徳富岳
群馬岳山頂から大滝山
6 暑寒別岳を正面にOgi氏
同上の筆者(Ogi氏提供)

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