小旭岳 後旭岳 熊ヶ岳
    旭岳を一周の高峰
          
2006.05.13/単独

旭岳ロープウェイ駅〜登山道〜小旭岳〜後旭岳〜熊ヶ岳〜旭岳ロープウェイ駅(循環)


 小旭岳・後旭岳・熊ヶ岳は、大雪山の主峰である旭岳の周囲に聳える高峰であるが、登山道から外れた位置にあり積雪期が登頂時期である。
 後旭岳・熊ヶ岳は、表銀座コースの各峰からその山容を眺める事が多いが、旭岳南方に位置する小旭岳は標高の低さもあるが、過去に確認した事がない一山であった。
 今回のルートは、旭岳を軸に左回りに各峰を一巡しようと計画、登山口である旭岳ロープウェイ駅近傍の駐車場は、春の連休後から19日まで運休もあり静寂緩が漂う。
 翌早朝、旭岳を正面に見上げつつ、小旭岳へと豊富な雪面が続く登山道はツボ足でも十分な硬さであるが、下山時の滑降を楽しみたいとスキーを装着する。
 C1235から登山道を離れて、旭平・裾平の尾根筋南側沿いの中密度の樹林帯に緩やかに高度を上げる。
 小旭岳への横走地形は予想通り小起伏が継続、短斜面の急登が反復され、懸念であった幾本かの沢筋の渡渉では一度スキーを脱ぐ場面意外は積雪多くスキー装着である。
 樹林帯を抜けた裾平南側のC1450に上がると開豁雪原に一気に展望が開けて、旭岳・後旭岳そして正面に目標の小旭岳が聳え、南方には大雪山核心部の山々が雄大に広がる。
 小旭岳を間近に眺め順調かと思われたが、最後の沢筋C1480は深く、セッピが南北に連なり、大きく北上して迂回する。
 山頂斜面に取付くと標高差200mの西斜面は勾配が強い上に雪面は固く、スキーアイゼンは不携帯であり、スキーを背負い頂上直下のハイ松を抜けると腰丈程の松一色の小広い頂きは好展望である。
 大雪山系、私に未踏の主要な山である「凡忠別岳」北斜面は中斜面の開豁雪原が3Km程延びて、滑降には最高と溜息である。
 旭岳と並ぶ後旭岳の標高差は僅か74mであり高いと見上げ、1670の東西ルート標定を思慮するが西側ルートを選定する。
 小旭岳の北尾根東側が山頂まで雪面が延びていて下降、1670西側を回り込むと後旭岳南東斜面は大きなスケールの岩壁帯であるが雪渓が急斜面に延びる。
 スキーが無ければアイゼンで登れ直線的に山頂へと向かえると思いつつ、地隙沿いの台地上はスケールが大きく、景観の変化は少なく黙々と緩やかに高度を上げる。
 後旭岳南西斜面の露出岩場地帯に延びる雪面を繋ぐと木々の生えていない砂礫質の丸みある山頂であり、高峰だけあり強風が吹き抜ける。
 頂きからは旭岳の山頂標識を確認でき、北鎮岳又先週踏んだ鳥帽子等の見慣れた山並みが広がる。
 次の目標である熊ヶ岳の鋭峰は魅力あり、振り返ると特徴ある忠別岳・トムラウシ山等又十勝連峰まで展望できる。
 後旭岳北斜面は、凍結状態でありアイゼンを装着して下降、熊ヶ岳への再びの登り返しから岩峰が連立する東斜面は急峻であり、慎重にステップを切り、山頂直下の岩場を這うと岩場の頂きである。
 熊ヶ岳山頂部は狭く、鉄棒が一本あるだけであり、岩陰で今回の3山登頂は達したと思いつつ、旭岳を含めて周囲に人影を探すが見当たらない。
 下山は、再び登山道側へと引き返し旭岳経由も考えたが妙味に欠け、南西斜面に下降とルート選択をする。
 山頂部直下から雪渓が延び滑降と思い岩場に高度を下げたが、急斜面はアイスバーンであり、長大な雪渓は高度感があり、滑落の危険大と引き続き下降する。
 南西尾根の岩場は露出して下降できるが、背中のスキーが重いと東側の雪渓を滑降で一気に滑り降りると陽気一杯の広大な雪原が広がり、中岳温泉を気にしつつ熊ヶ岳の鋭峰を見上げる。
 旭岳裾野を一周した旭岳石室の展望ベンチに座り安堵の溜息、休止期間中の旭岳ロープウェイもあり、人影のない高所に寂しさが漂う。
 登山道に滑降を楽しむと短時間に下山、スキーの威力を実感するが、この時期3山を目指すならばツボ足が正解であったと実感する。
 次週は、再び旭岳ロープウェイ駅からあの長大なスロープが続く凡忠別岳を日帰りで計画したいと帰路に着く。

旭岳ロープウェイ駅−2時間55分−小旭岳−2時間20分−後旭岳−1時間10分
−熊ヶ岳−2時間−黒岳石室−20分−旭岳ロープウェイ駅

1 小旭岳西斜面
2 小旭岳山頂から旭岳と後旭岳(右)
3 後旭岳南西斜面と山頂部
4 後旭岳から熊ヶ岳
5 熊ヶ岳山頂と旭岳 
HOME