奥三毛別山/小天狗岳 手強き低山
          
2006.09.23/GP

小平越沢川林道〜東沢〜奥三毛別山〜小天狗岳〜東沢〜小平越沢川林道(鍵No:1234)


 奥三毛別山/小天狗岳は、道北日本海に面する苫前町東側に位置する500m級の低山であるが、山容は岩壁を巡らし意外なる程に手強き一山である。
 この山の西側山麓を流れる三毛別川では、大正4年12月9日に日本獣害史上最大の惨事にて6人の犠牲者事件がある。
 作家「吉村昭」著書に「羆嵐」の一冊があるが、この事件の舞台となったのが、今回登頂した奥三毛別山・小天狗岳の西側山麓であ
る。
 今夏、
「尊厳死」を希望して自らの手で生命維持装置を外し、長女に「死ぬよ…」と最後の言葉を残して逝去された「吉村昭」の史実・ドキュメント本を好んで数多く読んだ中の一冊「羆嵐」は今も強烈な記憶にある。
 ルート計画は、三
毛別羆事件跡地の日本海側の西側から三毛別川を辿る程物好きではなく、東側より循環経路で2山を辿り登頂を計画する。
 今回の山行は、オフミ候補の事前偵察であり、いつも単独が多いが、今回ばかりは同行者が必須条件であり、難儀する山又先般
のクワウンナイ川側遡行で一緒だったOgi/旭川に同行していただく。
 登山口へと道々239号線を霧立峠を越えて日本海側へと西進、古丹別川「滝下橋」を渡り、支流の小平越沢川の左岸林道(施錠:留萌南部森林管理署「古丹別事務所」)に入る。

 C170林道には「大きな熊糞」から入渓、「鮭」遡上時期であり、大きな魚影を見つつ、狭目の沢筋は水流が薄く濁り気味であるが、狭い沢筋に滑床が続く箇所も多い。
 高度が上がらない時間帯が続くと、沢筋正面には、この山域周辺に特有の崖壁を望むとC235二股が山頂を詰めるポイントとなる。
 右股に入ると一枚岩の涸滝、沢筋の勾配が増し滑床、連続する小涸滝を越え、沢形が消えると崖壁を間近に見上げ、急斜面の樹木に体を持ち上げる、
 今回のルートで最大の難所、急峻なガレ場通過であり、滑落したら終わりのガレ斜面が25m程続き、一握りの草株を頼りに慎重に抜ける…緊張から解放されて思わず座りこむ。
 後続者をザイルにて確保、中密度の藪漕ぎに尾根筋に上がると高度感溢れる壁が落ち込み、標高500mの山と甘く見ていたが手強い!!
 北尾根は強烈なネマガリダケが続き、Ogi氏が三角点を発見する…意外に手強い山であり、予想以上の所要時間を費やした頂きは展望は得られなく残念である。
 次いで小天狗岳へと濃密な藪漕ぎに南東斜面を降下、沢越しに高度感あ
る岩壁の小天狗岳を眺め高度を240m程落とすと沢筋に出る。
 奥三毛別山と小天狗岳中間のC270二股、再びの登り返しと最短距離の南西沢を辿り、C310二股(右股)に高度を上げる。
 一枚岩の小滝が連続、高捲きを繰り返すと沢形も消え、急峻な中密度の藪斜面が続き、奥三毛別山が遠望される。
 尾根上の灌木を漕ぎ、壁面の最高点付近を山頂とする。…待望の頂きも展望に制限を受けるが高所感は十分に味わえる。
 予想以上の経過時間に北東尾根に高度を下げ、振り返ると、崖壁に聳える小天狗岳は高度感溢れ良き山容である。
 C470コル部を上がった尾根ピークから支沢に高度を下げ、C400東沢出合は一枚岩の形状滝が存在して、こちらの直登沢も手強いと知る。
 林道終点に辿り着くと夕刻であり、今回の2山は、手頃な高さと甘く見て出発時刻は多少遅かったが、沢筋、急勾配斜面、藪漕ぎ等が連続して低山ながら侮れない山と実感する。
同行者:Ogi氏/旭川 
1 入渓点(Ogi/旭川提供)
2 奥三毛別山尾根直下
3 小天狗岳方面から奥三毛別山(Ogi/旭川提供)
4 北東尾根から小天狗岳(Ogi/旭川提供)

入渓点「C170林道」
2時間35分
奥三毛別山
2時間25分
小天狗岳
2時間30分
小平越沢川林道

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