平成15年6月
G P S 導 入 記
平成15年4月、遂にわが事務所にGPSが届きました。
色々自分なりにGPSについて考えてきたつもりなので、導入にあたっては以下の条件を考慮しました。
1、土地の測量をした場合に設置する引照点(後に復元を可能にするために、頑丈な場所に設置した基準点)を公共座標化する。したがって、1回に観測する点は2点でよい。
2、一人で作業が出来ること。(調査士事務所は小さい!)
3、公共測量作業規定にのっとっている事。(自分の設置した点を他の方に堂々と利用してもらいたい)
4、多少古く、重くてもかまわないので安いこと(スタティック測量はおきっぱなしでいい)
以上の勝手な条件に照らし合わせた結果、ニコンジオテックス社の“LogPackU”2セットに決定しました。中身はカナダのNovatel社の製品で、少々前のモデルなので、消費電力が大きいのか、バッテリーが多少大きめで、他社の最新モデルと比較すると重たいのですが、古いモデルのおかげで、営業担当のA氏が操作・解析とも熟知しており十分なサポートが受けられるので、重さも気になりません。(ちょっと大げさか?)
電子基準点のみを既知点としてスタティック測量を行う場合、1周波受信機の場合は1基線(測線)が10q以内でないと公共測量作業規定にのってこないのですが、2周波受信機は距離の制限が無いため、(当然基線距離が長くなれば長くなるほど誤差は大きくなりますが、1周波も同じこと)どこでも天空さえ開けていれば観測が可能となります。
2周波の場合2時間観測しなければなりませんが、土地の測量をした場合の引照点は、現場に程近く、なおかつ視通(互いが直接見通せること)が確保できる点なので、他の作業をしながら見張っていることが出来ます。
解析は、新設する点数が少ないので、測量学上の難しいことはあまり考える必要が無く、受信した電波は残差といってばらつきがあるので、精度を高めるべく使用する衛星を限定したりテクニックも色々あることも判ってきましたが、多少PCを扱える人であれば解析は十分出来るものと感じました。
解析した結果を自分なりに評価してみると“まあこんなものかな”といったところです。
ごく解り易く表現すると、「生のデータはどんぴしゃで、加工するとちょっとずれる」といったところでしょうか、引照点間を光波で実測しているから判ることですが、“生のデータ”とは受信機で測定した結果と電子基準点で取得したデータ(インターネットから3日後に取得する)で新点間距離を計算すると、ほぼ1〜3ミリで整合しますが、「電子基準点の移動についての検証」で書いたように、地殻変動により少しずつ電子基準点は各々違った方向に移動いているため、“網平均計算”といって、国土地理院の定めた座標に整合性を持たせるための補正計算(これを行わないと公共座標とはいえない)を行うと誤差が若干広がります。どれくらいかというと、この2ヶ月で8箇所:12点の観測を行いました。2点設置した現場での光波距離計の実測距離を補正して平面距離にした上で、GPS観測による公共座標計算結果の点間距離を計算してみると、最小1ミリ、最大8ミリ(点間距離:最小40m、最大120m)です。基準点を撒く作業のように新点間が数百メートルもしくはそれ以上離れている場合は全く問題にならないレベルでしょうが、何せ今のところ、ごく狭い範囲でやっているのでつまらない“アラ”を感じてしまっている状況です。
今後、当初の目的(精度・恒久性)を達成すべく色々と手法を変え挑戦して、結果を報告したいと思います。
以上