冒険日記 2008

真谷地小学校の記念碑を求めて





草と瓦礫を掻き分けながら坂を登り続けた。

…100メートルほどこの坂を登っただろうか。

坂の先に待っていたのは、平らな林だった。



植林されたであろう木々が規則正しく並んでいたのである。

林の木々が隙間無く生えていて、まるで壁のよう。

これ以上進むことはできない…しかし、記念碑はまだ発見していない。

だが、林の外側の笹の中を歩いていると、道のような隙間を発見したのである。

「これはもしや道だったのでは……」

そう思う間もなく、私の足はその隙間に進んでいた。

陽の光りも繁った林に遮られるせいか、あたりは薄暗い。

…いま、何時なのだろうか。

現実とのギャップで、なんだか頭がボーっとしてきた。
もう戻ることも進むことも出来ないような位置に…来てしまっている。

とにかく先へ進み、林を抜けた。

そこには肩ほどある笹藪と草木が広がっていた。



展開のない景色に、ただただ呆然としてしまった。

記念碑は、どのような形なのか…どのくらいの大きさで…

それすらわからないものをどうやって見つけるのか。

しかし、

「記念碑は必ずここにあるのだ」

「ここは小学校の跡地なんだ」

と、ここまで気持ちを奮い立たせた自分を信じて足を進めた。



ふと…そのとき

足元に何かを見つけた。



  空き缶である。

空き缶…つまり、人がいた痕跡である。

普段であれば、何も感じることの無いこの「空き缶」を見つけたことで、
私の心の中にようやく「安堵感」が沸いてきた。

直感的に、記念碑は近い!と思ったのだが、
実際記念碑のあった神社跡は、ここではなくもう少し高い場所ではないかと考え、
その場所から上に登る坂に進んでいったのである。

しかしこの坂は、先ほど登ってきた坂とは異なり、
あまりにも急な坂で、木から木へと足をかけて登るような坂だった。

持っていた2メートルの鉄棒が体を支えるつっかえ棒になってくれたのだが、
まだ山はずっと先へと続き、これ以上登るのは困難だと悟ったのである。


もういいじゃないか、限界まで頑張った……


私は、ここに来て初めて「諦め」を感じた。


もう引き返そう…

いま登った急な坂を慎重に下り、先ほどの空き缶のあたりを目指した。

諦めから来る空虚感と脱力感。

それでもここまで頑張った自分への激励、達成感。

さまざまな思いを噛みしめ、
笹藪をかき分け、ぬかるみに足を取られながら、路を引き返し始めた。


そのとき…足元に…



 


つづく