バンダイ特撮ギャラリーのご紹介
ここには「男のロマン」が詰まっている(ホントに?)

この度は弊社株式会社バンダイの「特撮ギャラリー」をお買い上げいただき誠にありがとうございました。
本シリーズは、日本を代表する特撮作品の中から名シーンをセレクトし、
精密ジオラマによる再現を目指した本格派ホビーです。
塗装済完成ディスプレイモデルを信条に、価値あるアイテムとして皆様にお届けいたします。
これからも、魅せるリアルな世界にご期待ください。

/商品同梱解説書より引用

(注)フォントサイズを「小」にしてご覧ください。


バンダイ特撮ギャラリー05
ウルトラセブン第3話/1967.10.15 O.A.
「湖のひみつ」より
STORY
木曽谷に落下した円盤を調査中のフルハシと(モロボシ)ダンは、
不審な少女と出会った。
円盤内で煙を浴びて一行は気を失い、
油断したダンは何者かにウルトラアイを盗まれてしまう。
地球防衛軍のメディカルセンターに運ばれた少女は、
無人のウルトラ警備隊基地内を荒らしてホーク2号で脱走。
一方、同じ姿を持つもう1人の少女が司令を送って
湖底に潜むエレキングが巨大な姿を現した。
(ウルトラセブンに)変身できないダンはカプセル怪獣ミクラスを出して
エレキングに応戦したが、電撃攻撃で劣勢になる。
円盤に潜入したダンはウルトラアイを少女から奪ってウルトラセブンに変身。
2人揃った少女はピット星人の姿に戻って地球を離れつつ再挑戦を誓うが、
エレキングを倒したセブンの追撃によって円盤は葬られるのだった。

宇宙怪獣
エレキング
ピット星人の番犬怪獣で、
頭部のレーダーアンテナで指令を受けて行動する。
ダンが出撃させたカプセル怪獣ミクラスの突進をものともせず、
逆に光線や電撃で圧倒的な強さを見せた。
長いしっぽでウルトラセブンをも翻弄した。

DATA
●20センチほどの幼獣の状態でしばらく湖に暮らしながら地球環境に慣れていた。
●頭のレーダーアンテナを高速回転させてピット星人からの指令を受ける。
●口から一撃必殺の怪光線を放つ。
●相手にからませた長い尻尾から、電撃攻撃を行う。

身長/0.2〜53メートル
体重/500グラム〜2万5千トン
出身地/ピット星
能力/口からの怪光線と、長い尻尾からの電撃攻撃。
登場作品/『ウルトラセブン』第3話『湖のひみつ』

特撮ギャラリー05
商品解説
続々と侵略者が地球に挑戦してくる『ウルトラセブン』は、
宇宙人の数に比べて怪獣が極端に少ない。
それだけに見た目が鮮烈なエレキングは印象深い。
この商品は『ウルトラセブン』第3話の『湖のひみつ』から、
名場面を完全再現し、死闘をジオラマにしたものである。
緑の大地に、白い海獣と赤の戦士の対比が映える!

COLUMNT
番組メモ
1967年、子供たちの間で秋の新番組の話題は
『ウルトラセブン』で持ちきりだった。
『ウルトラマン』終了の半年間は、宇宙を舞台とした
東映の『キャプテンウルトラ』が健闘を見せていたが、
やはり子供の興味は怪獣とメカの本格特撮ドラマにあった。
円谷プロも盤石の体制でウルトラホーク出撃シーンなどの
特撮ストック分(バンクショットと言った)を用意して
『ウルトラセブン』は好評のスタートを切る。
その第1回撮影分がこの「湖のひみつ」だった。

COLUMNU
怪獣メモ

『ウルトラセブン』が結果的に大人の鑑賞に堪えうる
ハイブロウな世界観になったのも、シンプルなキャラクターが出揃った
「ウルトラマン」から一新し、複雑化したキャラクター設計によるところが大きい。
デザイナーの成田亨は、セブンそのもののデザインが
玩具メーカーの決定で成田自身の推奨する青のヒーローが却下され、
もっとも避けたかった赤のヒーローに決定したことに
かなりの憤りを持ったことを後日吐露したが、
その反動なのか「ウルトラセブン」の毎回の宇宙人や怪獣、メカは、
まるで前衛彫刻のような自由奔放な発想で描かれた。
このエレキングも典型的な2足歩行型怪獣でありながら、
動物の範疇にあるそれまでの怪獣と一線を画す人造的な要素が加味され、
どこか好奇心をくすぐる仕上がりになった。
前衛画家の高山良策が、このデザインを面白がったのは想像に難くない。
高山はポインター(番犬)の模様で描かれたエレキングを、
絵の師匠に当たる福沢一郎が描いた「牛」のテクスチャーを模している。
ところがせっかく“白”を美しく仕上げた怪獣であったにもかかわらず、
水がらみの特撮で皮膚に土が染み込んでしまい、
エレキングはクリーム色、黄色に見えてしまうのだ。

【私の解説】
以上は同梱の解説書をベタ打ちしたが、多少カッコを加えて補足している。
この解説文章はウルトラセブンに精通している人であれば充分だと思えるが、
話の焦点があちこち飛ぶのでセブンを知らないヒトにとっては分かりづらいかなぁと感じられた。
このジオラマでは木曽谷でエレキングの尻尾に巻き付かれ、
電撃攻撃を受けるウルトラセブンが再現されている。
M78星雲人は光や電気をエネルギーとして活動するので、
ウルトラセブンにはこの攻撃は効力を持たず、
この後エレキングはエメリウム光線で両方の角を破壊され、
さらにアイ・スラッガで尻尾と首を切り落とされるという、
現在の子供番組ではまずあり得ないだろうかなり残虐な倒し方をされる...

【私評】
解説には「緑の大地に...云々」とあるが、
やはり怪獣と宇宙人の大きさが感じられない。
なんか特撮そのもののセットをジオラマにしたような、そんな感触さえ受ける。
ただし、エレキングの色彩の再現と質感には拍手を送りたい。
実際に触れると固いのだが見た目からは、ゴムっぽい柔らかさが感じられる。
ここには敬意を表したい。

一番下の画像はガシャポンシリーズのエレキング。
カタチはよいのだが、色がいまいちだと思う。


バンダイ特撮ギャラリー06
ウルトラセブン第14・15話/1968.1.7, 1.14 O.A.
「ウルトラ警備隊西へ」
STORY
地球防衛軍ワシントン基地が打ち上げた観測ロケットを
侵略と誤解したペダン星人が報復を図る。
(ペダン星人は)六甲山の防衛センターでの防衛会議に出席する世界の要人を
次々と暗殺していった。
ウルトラ警備隊はドロシー・アンダーソン博士の警備を任されるが、
途中で秘密諜報部員マービン・ウエップに狙われる。
マービンはドロシーこそが仲間を殺害したペダン星人の化けた姿だといった。
防衛センターに飛来した4つの物体が合体してスーパーロボットになった。
ウルトラセブンでさえかなわぬ科学力を誇示したペダン星人は、
(モロボシ)ダンに和平を提案する。
しかしそれは巧妙な罠で、返されたドロシーは記憶を消されていた。
神戸港にキングジョーが現れた。
土田博士はドロシーの手を借りてライトンR30爆弾の完成を急ぐが!?

宇宙ロボット
キングジョー
ペダン星人の侵略用ロボットで、4つに分離して移動する。
動きはゆったりしているが、セブンのあらゆる超能力を跳ね返して
怪力でねじ伏せてしまう。
弱点は土田博士とドロシー・アンダーソン博士が開発したライトンR30爆弾。

DATA
●4つの物体で分離・飛行し目的地で合体、巨大ロボットとなる。
●頭部と両腕の物体にペダン星人の円盤が内蔵されている。(2名搭乗)
●表皮は外部からの攻撃を吸収する弾力をもち、セブンのあらゆる超能力を跳ね返した。
●怪光線を頭部から発射する。
●ライトンR30爆弾によって大破する。

身長/55メートル
体重/4万8千トン
出身地/第8銀河系のペダン星
能力/4つに分離・飛行し、合体して怪力で活動。怪光線を発射。
登場作品/『ウルトラセブン』第14・15話『ウルトラ警備隊西へ』(前後編)

特撮ギャラリー06
商品解説
合体・分離に説得力をもった非凡なデザインセンスと
「GWASH GWASH」と電子音をあげて進撃してくる力強さ、
キングジョーほどかっこいいロボットは他にいないだろう。
この商品は、キングジョーが登場した『ウルトラセブン』第14・15話の
『ウルトラ警備隊西へ』(前後編)から名場面を完全再現し、
死闘をジオラマ化したものである。

COLUMNT
番組メモ
『ウルトラセブン』で初の前後編となる本作は、
国際都市神戸を舞台に登場した外人俳優も違和感なく、
侵略の嫌疑につけ込んだ人間ドラマとともに世界観の広がりを見せた。
ウルトラセブンはキングジョーの怪力の前に手も足も出ず大ピンチを迎え、
次回へ“つづく”となったので、
当時の子供たちは大変あせって1週間を待ったものだった。
後にも先にもキングジョーほど洗練されたロボットは、
世界幻想映画史上を見渡しても存在しない。

COLUMNU
怪獣メモ

当時の『少年マガジン』に、成田亨によるキングジョーのデザイン秘話が
5過程のイラストで説明されている。
「まず、ふつうのロボットをかいてみる」。
この時点でふつうのロボットでないところがまず愕きだ。
つづいて、以下「人間に似ないように円筒を身体につける」
「顔を上下に詰めて、肩を機械のようにしてみる」
「このロボットを四機の宇宙船に分解できるようにする」
「顔はさらに機械のようになり、ペダン星人のロボットが完成した」。
土田博士(土屋嘉男)が我を忘れる「すばらしいメカニズムだ・・・・・・」。
それは同時に視聴者の愕きでもある。
造形の高山良策は、このロボットを全身粘土原型で再現し
1枚のラテックスで成型した。
それがかえって未来的な特殊素材のゴムを思わせるのに成功した。
塗装は、パール素材と金粉を交互に吹いたものだった。
なお、今回だけセブン役の上西弘次が神戸ロケに同行したため、
菊池英一(帰ってきたウルトラマンの演者)が特撮のセブンを演じた。
それがスマートで、余計にキングジョーが力強く感じた。
なおキングジョーのネーミングは
“きんじょう”
(シリーズのメイン脚本ライター金城哲夫)から付けられた。

【私の解説】
以上は同梱の解説書をベタ打ちしたが、多少カッコを加えて補足している。
この解説文章はウルトラセブンに精通している人であれば充分だと思えるが、
話の焦点があちこち飛ぶのでセブンを知らないヒトにとっては分かりづらいかなぁと感じられた。
このジオラマでは六甲山防衛センターを襲うキングジョーを阻止する
ウルトラセブンが再現されている。

私評
防衛センター前の5本の万国旗と地球防衛軍の砲台3基が細かく再現されているのはよいが、
どうしても身長55メートルと記録のあるキングジョーの大きさが感じられない。
防衛センターの建物が並べて再現してあればよいと思うのだが...
それから、場面のセレクションにももう一工夫ほしかった。
解説にもあるように、前編の終わりは“つづく”で終わっていて、
神戸港に横たわるグロッキー気味のウルトラセブンにキングジョーが馬乗りになっている描写だった。
その場面をジオラマ化したほうが、より緊張感を醸し出すことが出来たのでは...?と思う

下の画像は接写モードであおり気味に撮影して、色調をオレンジがかった感じに調整してある。こうすることで多少大きさを感じるように錯覚できるだろうか...?


バンダイ特撮ギャラリー07
ウルトラセブン第39・40話/1968.6.30, 7.7 O.A.
「セブン暗殺計画」
STORY
超能力を駆使して怪獣アロンを破ったウルトラセブン。
だがぞれは、ガッツ星人が巧妙に仕組んだ作戦だった。
変身を躊躇する(モロボシ)ダンの前で非情なガッツ星人は
カプセル怪獣ウインダムを焼き殺す。
ダンはポインターごと爆破されてセブンに変身する。
しかし、アロンを使ってセブンの行動パターンを研究していたガッツ星人に、
セブンは完敗してしまう。
力つきたセブンを十字架にかけたガッツ星人は夜明けの処刑を宣言した。
一方、不審な電波をキャッチしたウルトラ警備隊は
その発信がセブンの脳髄より出ていることをつきとめ、
セブン復活のためにダイモード鉱石からマグネリューム・エネルギーを生成する。
十字架のセブンに向かうホーク1号。だがそれは幻だった!?

分身宇宙人
ガッツ星人
いかなる戦いにも負けたことがなく、
怪獣アロンを使ってセブンの攻撃を徹底分析した。
そして計り知れない頭脳とカプセル怪獣ウインダムを焼き殺す非情さをもって
一度はセブンに完勝する。

DATA
●広い宇宙で不敗を誇る智将の部隊でやってきた。
●怪獣アロンを使ってウルトラセブンの能力を徹底分析した。
●セブンと戦ったのは1体のみ(シナリオではG1と呼称。G4まで登場)投影体でセブンを翻弄し、十字架にかけてしまう。
●ガラス状構成物体に乗って来訪。ガッツ星人はそこを1歩も出ていない。また、武器を搭載した無人機を飛ばした。

身長/2〜40メートル(投影体)
体重/200キログラム〜1万トン
出身地/ガッツ星
能力/投影体と分身で相手を攪乱。相手の光線を吸収して照射。
登場作品/『ウルトラセブン』第39・40話『セブン暗殺計画』(前後編)

特撮ギャラリー07
商品解説
怪獣ブームの衰退とともに「ウルトラセブン」の後半は視聴率が落ちていき、
待ちに待っていたガッツ星人の玩具はついに出ずじまいだった。
この商品は積年の思いを込めて
ガッツ星人が登場した『ウルトラセブン』第39・40話の『セブン暗殺計画』(前後編)から
名場面を完全再現し、死闘をジオラマにしたものである。

COLUMNT
番組メモ
『ウルトラセブン』ではこの前後編と
第38話『勇気ある戦い』の3本にとどまった飯島敏宏監督は、
それまで得意とした娯楽作劇から一転してシリアスなタイムサスペンスに挑んでいる。
十字架にかけられたセブンを心配して人々がぽつぽつと集まっていく場面は
ゴルゴダの丘で死を待つキリストの最期を彷彿とさせる荘厳さをもっていて、
放映当時、ショックを覚えた子供が多かった。

COLUMNU
怪獣メモ

美術担当の成田亨が第30話『栄光は誰のために』で
円谷プロを退社したため、第31話『悪魔の住む花』以降の美術デザインは
池谷仙克が担当した。
池谷のキャラクターはファッション子から抜け出たような
洗練された好感度をもつ。
ガッツ星人も舞台衣装に似た効果的なインパクトで暗闇に映えていた。
高山良策は全身粘土原型を起こして、同じ仕上げのガッツ星人を2体作る。
このときの造形作業は8ミリフィルムに残され、
80年代に発売されたレーザーディスクに収録された。
色を付けたラテックスを剛毛で石膏型に塗っていく作業は職人芸の趣である。
高山は頭部の模様(ピーコック模様と高山はいった)を2体とも揃えるため、
マスクを作って美しく色を吹いたが、
撮影現場の判断で別のスタッフが模様を描き加えてしまった。
そのような例はレッドキング(銀色だった)が黄金にされたり、
テペト(白色に淡い着彩でトーンがつけられていた)が緑色にされたり、
いくつかあった。
洋画家の高山が施した品のある塗装のガッツ星人も見てみたかった気もする。
なお、白銀のレッドキングは晩年の高山が自ら人形で再現し、
白テペトは96年に出た講談社の写真集に掲載された。

【私の解説】
以上の解説にもあるように、私が11歳のとき(1982年)に再放送で視たこのエピソードは
ウルトラセブンが宇宙人に負け、十字架にかけられてしまうという
かなりショッキングな内容だった。
そのときは父とテレビで視ていたのだが、
こういうヒーローものを「幼児番組」と決めつけるキライのあるその父でさえ、
主人公のヒーロが的の軍門にくだってしまう描写にショックを受けていたように見受けられた。

【私評】
宇宙人とウルトラセブンの大きさを感じさせないのは相変わらず。
何にしても情景が崖っぷちばかりで、周りに比較するものがないのがそう感じさせる
大きな要因といえよう。
このエピソードでにおいては、やはりウルトラセブンが十字架にかけられている場面が
一番印象的だとは思うが、それを選んでしまうとガッツ星人が同じフレームに入らないので
仕方がないのだろうか。
やはりガッツ星人のド派手な色彩を再現したいという意図でこの場面にしたのだろう。
一番下の画像は、ガシャポンでゲットしたガッツ星人だが、
これは中国で製造されていて、彩色はすべて手作業で施されているという。
俺と同じものが、勤務先の役員の机に立っているのを見たときは、ちょっとコンフューズした(苦笑)
ジオラマの画像はテレビでのアングルを倣って
崖下から見上げるようなアングルで撮影し、
さらに場面は逆光だったので色調をいじってやや露出オーバー気味にしてみた。
いろいろとやってみたが、仕上がりはやっぱりこの程度。
いまいち満足いかない画像になってしまった。


バンダイ特撮ギャラリー08
ウルトラセブン第48・49話/1968.9.1, 9.8 O.A.
「史上最大の侵略」
STORY
押し寄せる底なしの疲労と戦っていたダンは能力を制御できず、
大型宇宙船の(地球への)侵入を許してしまう。
それは(今回の侵略者ゴース星人の操る)怪獣パンドンを運んだものだった。
ダンはM78星雲人(セブン上司)の忠告を聞かずに変身するが、
体が満足に動かない。
アイスラッガーで怪獣に辛勝したものの、ダンは生死をさまよった。
メディカルセンターで身体検査を受けることになり
正体を知られると察したダンは基地を後にした。
そのころゴース星人は行動を開始し、世界各国が破壊されていった。
アキオ少年に救われたダンはアマギが拉致されているゴース星人基地が
総攻撃されることをビデオシーバーで知る。
屈託のないアキオの笑顔に意を決するダン。
そこへ現れたアンヌに別れを告げたダンは、アマギを救うため、
最後の変身をするのだった......。

双頭怪獣
パンドン
地球侵略をたくらむゴース星人の切り札的存在で、輸送機で送り込まれた。
ウルトラセブンの動きを見切って戦い、双頭の口から火を吐いて
辺りを焼き尽くす。
左手・右足をセブンのアイスラッガーで切断されて改造怪獣となる。

DATA
●輸送機で送られてゴース星人の先兵となった。
●双頭の口から交互に炎を吐いて周囲を火の海にする。
●弱ったセブンの動きを先回りする知能を持っている。
●目がないように見えるが、セブンのアイスラッガーを素手で奪うほどの反射神経を持っている。
●左手・右足をアイスラッガーで切断されるが、改造され再び出現。

身長/40メートル
体重/1万5千トン
出身地/ゴース星
能力/2つの口からの火炎攻撃。セブンに匹敵する反射神経を持っている。
登場作品/『ウルトラセブン』第48・49話『史上最大の侵略』(前後編)

特撮ギャラリー08
商品解説
数ある円谷プロ作品で『ウルトラセブン』の最終回ほど
臨場感を持ったドラマは類を見ない。
この商品はパンドンが初登場した『ウルトラセブン』第48・49話の
『史上最大の侵略』(前後編)からパンドンを完全再現し、
セブンとの死闘をジオラマにしたものである。
今も見るものを熱くする命をかけたセブンの闘いだ。

COLUMNT
番組メモ
『ウルトラQ』から実に3年間に及んだ空想特撮シリーズの、
事実上通算した最終回が本作にあたる。
シリーズ構成をした脚本家の金城哲夫はこの前後編で
セブン(=ダン)の心情に重きをおき、人としての別れを描いた。
満田かずほの好演出によってダンとアンヌの別離が切なく描かれた後、
登場人物はセブンのことを「ダン」としかいわない。
怪獣番組であったが、人間ドラマの可能性を見せたお手本のような一編となった。

COLUMNU
怪獣メモ

人類の生存がかかった緊迫の最終回に登場した最後の最強獣
ンドンは、
放映当時には力強く“
ンドン”と称されていた。
しかし、劇中の怪獣輸送機を見て解るように
命名の由来は“パンドラの箱”から来ているので、やはり
ンドンが正しい。
パンドラの箱を開けたのは皮肉にも銃火機を使った
ウルトラ警備隊(人類)の方だった。
炎を使う怪獣の暗喩は、文明や命の象徴を盾にしたともとれる。
そして余力つきる寸前のウルトラセブンは、文字どおり命をかけた
最後の戦いに勝利する。
神話の時代に人類に火をもたらして神罰を受けたのは
巨人神プロメテウスだったが、現代の巨人神セブンは
人類の盾になって(人の心をもって)炎の怪獣を撃ち負かした。
これ以上の大団円はないだろう。
願わくば、セブン(=ダン)に生きて星に帰ってほしい......。
さて、パンドンのデザインは池谷仙克、造形は高山良策によるもので、
納品された怪獣はフィルム上の仕上がりと違って
2本の首から先に2つの顔がきちんと正面を向いていた
(目も1対ずつ計4個ちゃんとあった)。
それが最終的に変更された理由は、
不思議なことに当の池谷も高山も知らないという。

【私の解説】
たしかにとても感動的な最終回。
子供のころはそれほど感慨もなかったが、やっぱり長じて視ると
制作側のいわんとしていることが理解できるようになるものだ。
ウルトラビームも怪獣まで届かないほどエネルギを消耗していて、
あげくの果てに頭をぶん殴られて絶叫するウルトラセブン...
さらにアイ・スラッガを手に持って挑むが、それも怪獣に叩き落とされ、
怪獣にグリグリとふんずけられてなすすべのないセブン。
ヒーローも万能ではないんだと、子供ながらに強く感じさせられたエピソード。
後編における、ダンがアンヌに自分の正体を明かすシーン。
「待ってダン、行かないで!」とすがりつくアンヌを振り払い
ダンはウルトラセブン本来の姿に戻り、怪獣と戦いに行く。
このときも投げたアイ・スラッガは怪獣に受け止められてしまうが、
宇宙ステーションV3のクラタ隊長によるウルトラホーク1号の攻撃に、
怪獣は苦しまぎれにアイ・スラッガを放り投げる。
その機を逃さず、ウルトラセブンは念力でアイスラッガを操り、怪獣の首をブッタ切る。
そして使命を終えたウルトラセブンはフラフラと立ち上がり、
最後の力を振り絞ってM78星雲に帰っていく。
その一部始終「西の空に明けの明星が輝くころ、ひとつの光が宇宙に向かって飛んでいく」のを
ウルトラ警備隊の面々が見守っていた。

ゴース星人の基地に拉致されていたアマギ隊員を救出して、
最後の闘いに挑んでいるウルトラセブンを見ながら、ウルトラセブン=モロボシ・ダンであることが
アンヌの口から公表される。
それを聞いて驚くウルトラ警備隊。
苦戦するウルトラセブンを見て、思わずキリヤマ隊長は云う。
「あっ、ダン...! 行こう!地球はわれわれ人類、自らの手で守り抜かなければならないんだ。」
これと同意のことをウルトラマン最終回「さらばウルトラマン」においても
科学特捜隊ムラマツキャップが云う。
「地球はわれわれ人類の手で守り抜いていこう。」
これらのことから「助けてくれる者とて永遠ではない」「いつまでも頼れるものでもない」
「結局最後に頼れるのは自分だけ」というメッセージを読みとるのは穿った見方だろうか?
私にとっては非常に実生活に即しているとも思える。

【私評】
怪獣とウルトラセブンの大きさを感じられないのは、このシリーズ最大の欠点だろう。
消耗したウルトラセブンが苦戦するさまを、もうちょっと表現してほしかった。
これだと、普通に闘っているようにしか見えないので、
アイ・スラッガを叩き落とされて地面に横たわる場面を使用すれば、
もっと悲壮感が出せたのに...と思う。
残念である。

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