STORY
大宇宙の彼方から地球に向けて円盤群が迫っていた。
科特隊パリ総合本部から通達が入る。
円盤群の地球襲来は、日本時間午前9時24分と判明。
岩本博士が推論する、1930年から40年間、地球を偵察していた宇宙人の侵略だと。
円盤群は科特隊日本支部とウルトラマンを目指している。
科特隊は迎撃に向かった。
そのころ本部では、岩本博士が(フジ)アキコ(隊員)を襲って司令室を破壊していた。
(円盤群の)母船を見失ったVTOL機だが、小型円盤群を一掃して本部に帰還。
だが本部は破壊されて大混乱だった。
様子のおかしい岩本博士が逃げ出した。
その正体は謎の宇宙人だ。
宇宙人は断末魔に「ゼットン......」といい残して消滅する。
それを合図に土中から(円盤群の)母船が現れ、煙と共に宇宙恐竜ゼットンが出現した。
科特隊本部が危ない!
 
宇宙恐竜 ゼットン

ウルトラマンの超能力を吸収して、そのすべてを跳ね返す、おそるべき怪獣。
テレポーテーション(瞬間移動)やバリアも使う。
口から一兆度の火炎球をはき、ウルトラマンを倒した。

 

DATA
・ 1930年から40年間、地球侵略を画策してきた謎の宇宙人が連れてきた宇宙恐竜。
・ 口から一兆度の火の玉をはく。 
 
・ 瞬間的にバリアを張って身を守る。
・ 動きは以外と速く、その上テレポーテーションして相手を翻弄する。
・ 岩本博士が開発したペンシル爆弾であっけなく粉砕された。 

・身長/60メートル
・体重/30,000トン
・出身地/宇宙
・能力/瞬間移動やバリアなどの超能力を束ってウルトラマンを倒した。
・登場作品/『ウルトラマン』第39話『さらばウルトラマン』

 

特撮ギャラリー04
商品解説
無敵のウルトラマンを破った最強の怪獣として記憶に残るゼットン。
この商品は、ゼットンが登場した『ウルトラマン』の第39話『さらばウルトラマン』からゼットンを完全再現し、ウルトラマンとの死闘をジオラマにしたものである。
科特隊基地を死守するため、生命をなげうったウルトラマンの最後の戦いだ。

COLUMNT
番組メモ
『ウルトラマン』の最終回は、円谷プロの企画室長だった金城哲夫も相当悩んだようで、いくつかのアイディアをもっていると新聞に報道された。
実際にシナリオの初稿では、敗れたウルトラマンに代わってゾフィがゼットンを倒すことになっている。
しかし金城は、輝かしい人類の未来を暗示させるため、人類の手でゼットンを葬り去る、放映分を決定稿とした。
いままでの記憶を失ったハヤタだが、なぜかすべてを把握したような希望に満ちたやさしい笑みを見せ、空想特撮シリーズはひとまず終演する。

 

COLUMNU
怪獣メモ
地球に迫る円盤群でひときわ大きな母船に身を隠していたゼットンは、宇宙恐竜というサブネームに反し、実に未来的な怪獣だった。
ウルトラマンの攻撃パターンを研究しつくし、忠実に任務を遂行する、まるで殺し屋である。
成田亨の初稿デザインでは、ゼットンの頭部中央の発光体に一つ目が描かれていた。
ゼットンはサイボーグ怪獣だったのだろうか?

また高山良策のシャープな造形も見事で、このあと『帰ってきたウルトラマン』や『ウルトラマンパワード』にリメイクのゼットンが登場したが、いずれも初代を越えることがいかに難しいかを立証するはめになってしまった。

『さらばウルトラマン』に登場する脇役を紹介しよう。
まず、シナリオ表記"謎の宇宙人"(放映後、ゼットン星人と命名)は、ゼットンを送り込んだ張本人だ。
縫いぐるみを新調せず、『ウルトラQ』のケムール人をそのまま使ったことを考えると、どうやら二つのシリーズが共通した世界観をもっていて、人類に挑戦してきたかつての侵略者を、人類が叡知と勇気を持って退けたという暗喩にも受け取れる。

ウルトラマンを迎えに来たのは、M78星雲の宇宙警備隊員ゾフィだった。
ウルトラマンとほぼ同じ形状だが、模様と目の位置が違う。

 

私評
胸のカラータイマにゼットンの一兆度の火の玉の直撃の受け、さらに両腕から発射された怪光線でカラータイマを破壊されて、ウルトラマンは地面に倒れる。
その直後、画面ではそれまでに繰り拡げられたウルトラマンと怪獣の戦いの回想シーンがオーバラップする。
そしてイデ隊員が叫ぶ「ウルトラマン!お前がいなくなったら地球の平和はどうなるんだよぉ...!?」。
これは、当時の視聴者のだれもが抱いた心の叫びの代弁であろう。

ただしヒーローものの特徴として、常勝のヒーローがピンチに陥るシーンを必ず期待してしまうのが人間の心理であろう。
そのピンチを乗り越え、最後は「めでたしめでたし」となる爽快さに、ある種の達成感のようなものを抱くのはあながち悪いことではあるまい。
誰しでもなにかしらの弱点があり、だからこそどこかで親しみを持つことができるのだろうから...

しかしこのエピソードでは、結局ウルトラマンは負けっぱなしで、かたやゼットンのほうは岩本博士がようやく開発を終えたばかりで「試作品でこれ一発しかないから撃ち損じるんじゃないぞ」と云いながらアラシ隊員に渡した「ペンシル爆弾」で破壊される。
(STORYの記述では岩本博士が最初から宇宙人だったように取れるが、これはあまりにもコトバ足らずで、博士は物語中盤で宇宙人に拉致され、その姿をコピーされてしまうのである)

空の彼方から、巨大な赤い球が飛来してくる。
それは「光の国の使い」ゾフィだった。
ゾフィは球体にウルトラマンを吸収し、「ふたつ持ってきた」という命をウルトラマンとハヤタとの両方に与え、そのことで両者は分離することとなる。

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