STORY
押し寄せる底なしの疲労と戦っていたダンは能力を制御できず、大型宇宙船の(地球への)侵入を許してしまう。
それは(今回の侵略者ゴース星人の操る)怪獣パンドンを運んだものだった。
ダンはM78星雲人(セブン上司)の忠告を聞かずに変身するが、体が満足に動かない。
アイスラッガーで怪獣に辛勝したものの、ダンは生死をさまよった。
メディカルセンターで身体検査を受けることになり正体を知られると察したダンは基地を後にした。
そのころゴース星人は行動を開始し、世界各国が破壊されていった。
アキオ少年に救われたダンはアマギが拉致されているゴース星人基地が総攻撃されることをビデオシーバで知る。
屈託のないアキオの笑顔に意を決するダン。
そこへ現れたアンヌに別れを告げたダンは、アマギを救うため、最後の変身をするのだった......。
 
双頭怪獣 パンドン

地球侵略をたくらむゴース星人の切り札的存在で、輸送機で送り込まれた。
ウルトラセブンの動きを見切って戦い、双頭の口から火を吐いて辺りを焼き尽くす。
左手・右足をセブンのアイスラッガーで切断されて改造怪獣となる。
DATA
・輸送機で送られてゴース星人の先兵となった。
・双頭の口から交互に炎を吐いて周囲を火の海にする。
・弱ったセブンの動きを先回りする知能を持っている。
・目がないように見えるが、セブンのアイスラッガーを素手で奪うほどの反射神経を持っている。
・左手・右足をアイスラッガーで切断されるが、改造され再び出現。

身長/40メートル
・体重/15,000トン
・出身地/ゴース星
・能力/2つの口からの火炎攻撃。セブンに匹敵する反射神経を持っている。
・登場作品/『ウルトラセブン』第48・49話『史上最大の侵略』(前後編)

 

特撮ギャラリー08
商品解説
数ある円谷プロ作品で『ウルトラセブン』の最終回ほど臨場感を持ったドラマは類を見ない。
この商品はパンドンが初登場した『ウルトラセブン』第48・49話の『史上最大の侵略』(前後編)からパンドンを完全再現し、セブンとの死闘をジオラマにしたものである。
今も見るものを熱くする命をかけたセブンの闘いだ。

COLUMNT
番組メモ
『ウルトラQ』から実に3年間に及んだ空想特撮シリーズの、事実上通算した最終回が本作にあたる。
シリーズ構成をした脚本家の金城哲夫はこの前後編でセブン(=ダン)の心情に重きをおき、人としての別れを描いた。
満田かずほの好演出によってダンとアンヌの別離が切なく描かれた後、登場人物はセブンのことを「ダン」としかいわない。
怪獣番組であったが、人間ドラマの可能性を見せたお手本のような一編となった。

 

COLUMNU
怪獣メモ

人類の生存がかかった緊迫の最終回に登場した最後の最強獣パンドンは、放映当時には力強く"バンドン"と称されていた。
しかし、劇中の怪獣輸送機を見て解るように命名の由来は"パンドラの箱"から来ているので、やはりパンドンが正しい。
パンドラの箱を開けたのは皮肉にも銃火機を使ったウルトラ警備隊(人類)の方だった。
炎を使う怪獣の暗喩は、文明や命の象徴を盾にしたともとれる。
そして余力つきる寸前のウルトラセブンは、文字どおり命をかけた最後の戦いに勝利する。
神話の時代に人類に火をもたらして神罰を受けたのは巨人神プロメテウスだったが、現代の巨人神セブンは人類の盾になって(人の心をもって)炎の怪獣を撃ち負かした。
これ以上の大団円はないだろう。
願わくば、セブン(=ダン)に生きて星に帰ってほしい......。

さて、パンドンのデザインは池谷仙克、造形は高山良策によるもので、納品された怪獣はフィルム上の仕上がりと違って2本の首から先に2つの顔がきちんと正面を向いていた(目も1対ずつ計4個ちゃんとあった)。
それが最終的に変更された理由は、不思議なことに当の池谷も高山も知らないという。

 

私評
たしかにとても感動的な最終回。
子供のころはそれほど感慨もなかったが、やっぱり長じて視ると制作側のいわんとしていることが理解できるようになるものだ。
ウルトラビームも怪獣まで届かないほどエネルギを消耗していて、あげくの果てに頭をぶん殴られて絶叫するウルトラセブン...
さらにアイ・スラッガを手に持って挑むが、それも怪獣に叩き落とされてグリグリと踏みつけられ、なすすべのないセブン。
ヒーローも万能ではないんだと、子供ながらに強く感じさせられたエピソード。
後編における、ダンがアンヌに自分の正体を明かすシーン。
「待ってダン、行かないで!」とすがりつくアンヌを振り払いダンはウルトラセブン本来の姿に戻り、怪獣と戦いに行く。
このときも投げたアイ・スラッガは怪獣に受け止められてしまうが、宇宙ステーションV3のクラタ隊長によるウルトラホーク1号の攻撃に、怪獣は苦しまぎれにアイ・スラッガを放り投げる。
その機を逃さず、ウルトラセブンは念力でアイ・スラッガを操り、怪獣の首をブッタ切る。
そして使命を終えたウルトラセブンはフラフラと立ち上がり、最後の力を振り絞ってM78星雲に帰っていく。
その一部始終「西の空に明けの明星が輝くころ、ひとつの光が宇宙に向かって飛んでいく」のをウルトラ警備隊の面々が見守っていた。

ゴース星人の基地に拉致されていたアマギ隊員を救出して、最後の闘いに挑んでいるウルトラセブンを見ながら、ウルトラセブン=モロボシ・ダンであることが
アンヌの口から皆に明かされる。
それを聞いて驚くウルトラ警備隊。

苦戦するウルトラセブンを見て、思わずキリヤマ隊長は云う。
「行こう!地球はわれわれ人類、自らの手で守り抜かなければならないんだ。」
これと同意のことは、ウルトラマンの最終回「さらばウルトラマン」で、科学特捜隊ムラマツキャップの「地球はわれわれ人類の手で守り抜いていこう」というセリフで聞くことができる。
これらのことから「助けてくれる者とて永遠ではない」「いつまでも頼れるものでもない」「結局最後に頼れるのは自分だけ」というメッセージを読みとるのは穿った見方だろうか?

商品そのものについては、やはり他のシリーズと同様、怪獣とウルトラセブンの大きさが感じられない。
また、消耗したウルトラセブンが苦戦するさまを、もうちょっと表現してほしかった。
この構図だと普通に闘っているようにしか見えないので、アイ・スラッガを叩き落とされて地面に横たわる場面を使用すれば、もっと悲壮感が出せたのに...と思う。
残念である。

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