STORY
地球防衛軍国際委員会の瀬川・前野両博士は、最新型水爆8,000個分の破壊力を持つ超兵器R1号の宇宙実験を行い、無人の星ギエロンは予定どおり宇宙の塵となった。

しかしダンは顔を曇らせた「侵略者はさらに強力な兵器を作るに違いない......」

やがて宇宙観測艇8号から、ギエロン星の攻撃を受けたとSOSを受信。
それはギエロン星獣によるものだった。

地球へ飛来した星獣は一度は粉砕されたが、体を再生させ、放射能を吐きながら東京を目指した。
ダンは複雑な思いのまま、ウルトラセブンに変身するのだった。

 
再生怪獣 ギエロン星獣

生物のいない星とされたギエロン星に地球防衛軍が打ち込んだ核弾頭の影響で特殊な能力を身につけた生物。
衝撃に強く、全身が木っ端微塵になっても再生し、光線を使う。
地球へ向かった目的はただひとつ、加害者への復讐だった。

 

DATA
・惑星攻撃実験ミサイルR1号によって突然変異した。
・ミサイル攻撃で木っ端微塵に吹き飛びながらまた再生した。
・R1号が爆発の際にまき散らした放射能を口から吐く。
・両手の先から発する光線をスパークさせ、リング光線を出した。

・身長/50メートル
・体重/35,000トン
・出身地/シャール星座第七惑星ギエロン
・能力/口から放射能を吐き、両手の間からリング光線を出す。
・登場作品/『ウルトラセブン』第26話「超兵器R1号」

 

特撮ギャラリー12
商品解説
SF性とヒューマンなドラマテイストが魅力の『ウルトラセブン』で、ときに重たく、視る側を圧倒するエピソードに出会うことがある。
26話「超兵器R1号」は、人類の犠牲になった星獣の哀しみが特に印象に残される。
この商品は、ギエロン星獣の表情を完全再現し、非常な戦いに立ち向かうウルトラセブンをジオラマ化したものである。

COLUMNT
番組メモ
人類は非常な加害者と無力な被害者との関係を繰り返しながら歴史を重ねてきた。
戦争の非は誰にあるのか?

劇中、ダンが語る『血を吐きながら続ける、悲しいマラソン』こそは、まさに人類の業である。
人類の犠牲となったギエロン星獣は、それと知ってか知らずか、かつての被爆地である長崎の天主堂に現れる。
人類はギエロン星獣の吐く死の灰で絶滅を迎えるのか?
ウルトラセブンの存在が皮肉にも人類側のエゴを示す一遍だ。

 

COLUMNU
怪獣メモ

惑星攻撃用のミサイルR1号の威力で変貌した惑星ギエロンの生物......
元はどんな姿をしていたのだろうか?
一見すると突飛なデザインのギエロン星獣は、腕や腰が幾何学的な立体構造になっている。
そして顔は、獣禽類を思わせる鋭いくちばしと端正な表情、深い怒りと哀しみに満ちた被害者の目を持っている。

成田亨の好デザインを、高山良策は手間のかかる全身原型を起こして立体化した。
腕と頭部に貼ってある金属は真鍮製で、高山が晩年にリメイクしたギエロンの人形も同じ措置がとられていた。
それにしても怪獣は顔が命である。
ここまで抽象的な全身を持ちながらひときわ顔が目に付くのは、ひとえに造形家の手腕によるものだろう。
600体に登るウルトラ怪獣を見渡しても、ダントツの表情、格好良さである。

セブンと星獣との戦いは的場徹が担当し、「椿三十郎」の名場面を模している。
花の咲き乱れる草原は、小川の流れる椿屋敷を再現したもので、三十郎の一太刀よろしく、セブンはギエロンを一刀両断した。
生々しく見えないように、乱れ飛ぶギエロンの肉塊は羽毛を使って幻想的に見せた。
断末魔を迎えた星獣が目を閉じるシーンは圧巻だ。

 

私評
このシリーズは商品自体の仕上がりは良質ではあるだけに、スケールが感じられないことと、再現する場面の選択とがとても残念に思う。
このエピソードだったら、やはりクライマックスにウルトラセブンがギエロン星獣にとどめを刺し、黄色い返り血を浴びているシーンだろうと思うが、あまりに生々しいので敢えてそれは避けたか...?

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