さすらい人幻想曲

エピローグ:フランク、ドクターボンナム、そして「南アジアの聖地を巡る旅」の皆様へ
Epilogue : Dear Frank, Dr. Bonham, and the participants of "Sacred Shrines of South Asia".

 思いがけない昨夜のアクシデントのため、皆さんに改めてお別れのご挨拶ができませんでした。
でもこの方が、あまりセンチメンタルにならずにすむし、まるでこのまま皆さんとずっと旅を続けているようで、私は好きです。この手紙が読まれる頃、私はとっくに日本に着いて、夫と子供達が待つ町までの電車の中にいることでしょう。遠くアメリカの地まで、再び長い旅を続けなければいけない皆さんが、最後まで無事でいることをお祈りしています。

 思いがけないドクター・ボンナムの誘いとフランクのご好意のお陰で、すばらしい南アジアの旅を満喫することができました。改めてありがとう。
 私も同じアジアの人間です。でもチベット、ネパール、そしてインドを旅して、人々の信仰深い質素な生活に触れて、つくづく感じたことがあります。
 日本もかつては、スピリチュアルな国でした。かつては、神々の国でもあり、人々は自然の恵みに感謝しながら生きていたはずです。南アジアの人々の暖かい微笑みに接したり、ガンジス川に向かって、朝に夕に感謝の祈りを捧げるインドの家族達の姿を眺めながらつくづく思った事があります。
 日本という国は、かつて確かに持っていたスピリチュアルな魂をどこかで失ってしまったのではないかと。工業国家となり、生活が豊かになり、点数主義の教育が中心になり、世界の先進国の仲間入りをした代償として、何か最も大切な物を失ってしまったのではないかと、、。
 私の母なる国日本とこれからの世界を担う子供達が、この失われていく大切な物をどうしたら取り戻してくれるのかが、子供を持つ私のこれから考えなければいけない人生の課題だと思います。

 もう一つ、すばらしかったことは、日本人としてだけではなく、西洋人の目を通してのアジアの生活や宗教を見つめることができた事です。ブライアン、ロバート、ロス、マリアン、そしてフランクのさまざまな形での日々の授業に心から感謝しています。

 旅の間、かけがえのない友達になった一人一人から、私は人生の大切な事を教えていただきました。
こんなにすばらしい生涯の友達ができた事にも感謝しています。すばらしかった旅の思い出と共に、私の心の中でいつまでも輝く宝石として大事にしていくつもりです。

皆様、改めてありがとう。
そしてごきげんよう!

愛をこめて
ノリコ

PS. この手紙を空港に向かうバスの中で皆さんに読んであげてください。

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