羽傷めたハクチョウ北帰行できず 宮城・蔵王 < 河北新報記事

右羽が変形し飛べなくなっているハクチョウ
 宮城県蔵王町宮の白石川白鳥河川公園付近で、1羽のハクチョウが北帰行できずに残っている。羽を傷めて飛べない様子で、地元の人たちから心配する声が寄せられている。

 公園付近の白石川には、毎年約350羽のハクチョウが飛来する。餌付けや保護活動を行っている白石川白鳥愛護会(樽見正一会長)によると、傷ついた1羽は1月に確認された。大部分のハクチョウは例年通り3月末までに飛び立ち、4月中旬までは、家族とみられる2羽が寄り添っていたが、その後は見えなくなった。

 右の羽が折れ曲がったように変形しており、樽見会長(81)は「電線か釣り糸に引っかけた可能性が高い。茶色の毛が残っており子どもだろう」と話す。

 愛護会は付近に餌となるマコモを植栽しているほか、会員が毎日、コメやパンくずなどを与えている。ハクチョウは飛べないが元気に泳ぎ回り、餌を食べているという。

 4月中旬以降は心配する住民から役所などへの通報も増えた。公園対岸にはJR東北線東白石駅があり、白石市の自宅から仙台市の大学に通う安藤あゆみさん(20)は電車からハクチョウの姿を見て、蔵王町役場に届けた。看護師を目指しているという安藤さんは「何とか助けてあげられないものか」と心を痛めている。

 4、5年前にも同じように羽を痛めたハクチョウが、8月末まで残っていたことがある。この時は大雨で川が増水した後、姿を消した。

 県大河原地方振興事務所林業振興部は「まったく動けない場合は治療も考えるが、元気なようなので当面は様子を見守りたい」としている。

2006年04月29日土曜日