2005年7月9日岩見沢市での講座で発表された酒井臣吾先生の新シナリオ「海のぼうけん」です。世にも珍しい魚をつる大迫力の紙版画がだれにでもできます。高学年でも熱中します。
準備 八つ切りの白ボール紙(チップボードがよい) 3枚×人数 黒ボールペン(太い方がよい)
糸(凧糸) のり ティッシュペーパー 色画用紙 新聞紙 版画用紙 インクとローラー バレン カッター はさみ
最初に教師が、「海で大きく珍しい魚を釣る物語」を作って語るとよい。(酒井先生もそのうち作りたいとのこと)
ボール紙を写真のようにして見せ、空が白、海は裏を使うことを知らせる。
縦でも横でもいいです。ただ、大きな魚がいる海を深くしたいので、空を小さめ、海を大きめにします。
海の波を決めます。静かな波でもいいですし、ザンブリザンブリとした大波でもいいです。
白い方に下がきさせて、切り取り、裏返して貼らせる。のりは端のほうにつける程度でよい。
空は表面をはぎ取ったり、全く切り取る方法もある。
魚は主役である。その造形上のポイントは口。ほとんどの絵は目がポイントだが、この絵は釣りなので口がもっとも大事な部分となる。例示しながらかき方を説明する。
「大きな魚をかきます。主役なのでくふうしましょう。よく見ていなさい。」
図を例示しながら説明する。
(図1)ポイントは口です。餌にぱっと食いつこうとする口。またはばくっと食いついた口。
この口では迫力がありません。
(図2)たとえば、こう、がばっと口を開けます。がぜん迫力が違いますね。
(図3)こう紙を貼りつけてもいいです。歯があってもいいですね。
何も指導しないと、子ども達は動きのない直線的な魚をかくので、動きのあるかき方を例示しながら説明する。
(図4)まず口をかきます。
(図5)次にしっぽをとんでもないところにかきます。
(図6)これをつなぐと生き生きとした動きの魚になります。
(図7)口をかきます。そしてとんでもないところにしっぽをかきます。
(図8)つなぎます。迫力のある魚になりますね。
(図9)さけてほしいのはこういうまっすぐな魚です。
ではかいてごらんなさい。
色画用紙を数種類用意しておく
魚がかけたら切り取って模様をつけます。とにかくめずらしい魚ですから、色画用紙をはったり、ボールペンで力をいれて線をひいたりして工夫してごらんなさい。
魚で子ども達なら90分は必要だと思われる。できあがったら、海草やタコなどの脇役をいれさせる。
できあがった人は、海草やタコなどの脇役をいれてもいいです。脇役はいくらあってもいいです。
ただし、白ボールは主役の魚と同じで、めだちすぎますから色画用紙にしましょう。
海草ならティッシュを貼ってもいいです。もちろん魚だけというのもそれはそれでよいです。
(図10)船は水平ではない方がいいです。
(図11)人間も傾けた方が面白いですね。
(図12)釣り糸のつなぎ方ですが、これではちょっと正直すぎて、あまりおもしろくありません。
(図13)このくらい変化をつけた方が迫力が出ますね。
糸はのりでを貼りつける。
次は人間を作る。ボールペンで強くかかせる。
人間のかき方を説明します。
(図14)鼻を傾けてかきます。(図15)顔も傾けてかきます。
(図16)胴体をかきますが、顔と一直線はさけて、曲げてかきます。
(図17)手足を先にかきます。なるべく左右対称にならない方がいいです。
(図18)つなぎます。手は肩からつなぎます。
(図19)服をかきます。
できたら切り取って貼りなさい。
刷りは細心の注意と経験が必要である。子どもに任せず教師が刷る。版にインクがムラにつかないように注意してローラーをあてる。
先生と刷ります。できたらもっていらっしゃい。
この作品は白ボール紙の厚さがあるので、魚や人間のの周りにインクがつかず、くっきりとした仕上がりになるのが特徴だが、そのため必要な所にインクがつきにくい場合がある。そういう時はその部分に不要な布で作った「たんぽ」でインクを補ってやるとよい。また、バレンだけでなくその部分を指でしっかりと押えることも有効である。
講座の途中で酒井先生が思いつかれた、魚と人間だけを刷る方法。釣り糸はサインペンでつながせる。低学年にはこの方法も効果的。作例は佐々木智穂氏。
本実践は2005年7月9日開催の「酒井式版画講座」参加時の個人メモをもとに発問・指示・説明をくみたてました。