籐人形について 

森本沙枝
 

1.籐とは

籐(英語名;Rattan ラタン)は、熱帯雨林地帯のジャングルに自生する植物で、
ジャングルの樹木に巻きつきながら、長く大きく成長するため、地上最長の植物と
言われています。生命力に溢れ、北は台湾から南はインドネシア、ミャンマーに
至るため、広い地域に繁殖しておりますが、日本では自生していないため原材料は
全て輸入されます。

 籐は皮の部分と中の芯とに分かれ、私の作品では皮の部分(皮籐)と、皮を剥いだ
中身の丸芯(1mm〜1.5mm)を使用しております。
 

2.籐工芸の歴史

 昔は輸入も限られていましたので大変貴重な材料で、強靭かつ折り曲げやすい
性質を生かして、茶道具や刀の柄に部分的に使われていました。

 明治時代になると、鎖国が解けて比較的自由に入手出来るようになり、
籐家具が盛んに作られるようになりました。戦争で一時下火になりましたが、
戦後は駐留米軍が籐家具を多量に日本に持ち込んで、
また盛んになったと言われます。
 

3.籐人形について

 籐を材料にして優雅な人形を作る試みは最近のことです。
そのため、籐人形作りは伝統工芸ではなく、現代工芸に分類されています。

 私の作品では、籠編みなどに良く使われるザル編み手法と共に、
昔の茶道具などにて使われてきたコイリング手法を取り入れ、
独自の染色技術と共に、籐家具とは全く異なった、
優雅なメルヘンの世界を作り出しています。