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注意欠陥・多動性障害(ADHD)
     Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder

最終更新日:2002年4月30日

 ADHDの名前は、知っている方もいるかもしれません。「のびた・ジャイアン症候群」といわれテレビや本などでよく取り上げられているため、新しい疾患かと思われるかもしれませんが、100年前から医学書で確認されています。ドイツの一般的な話で(ホフマン・ストルプター)ADHDの子供を描写しており、“子供たちのリズム”の中に書かれています。  

 落着きがない(多動)、衝動的、不注意が大きな特徴ですが、大きく分けると多動や衝動性が目立つジャイアンタイプのものと、不注意が目立つのびたタイプのものがあります。

*病理的原因* 
 私達は、見たり聞いたりしたこと、過去の経験や知識などに蓄積された情報を、脳のいろいろな部位から集め、それをうまく整理統合して行動や感情を引き起こしています。ADHDの子は、この脳の細胞どうしの連絡に必要な神経伝達物質(ドーパミンやノルアドレナリンなど)の量がアンバランスになっているため、行動や感情をうまく抑制できなくなり、その結果、活動が非常に活発になったり(多動)、衝動的で注意力が散漫になるのです。

*症状*
 アメリカでは大人、子供を合わせて1500万人が
ADHDの症状を持っているといわれています。主な症状は、落着きがない、飽きっぽい、順番をまもれない、人から言われた事をするのが苦手、すぐ気が散る、静かに遊べない、おしゃべりで、人の邪魔をする、人の話を良く聞かない、忘れ物が多く、後先考えず突っ走ったり、危険な行動をするなどです。

 けれどもこれは何も珍しいことではなく、子供には普通に見られることです。しかしADHDの子供の場合、他の子より著しく頻繁でこれが学校や家庭で問題となります。

アメリカでは薬物治療が一般的で、中枢神経刺激剤(リタリンなど)を必要量で一日3回投与しますが、日本では薬に対する抵抗感がまだあるようです。


診断基準

  1. 次の1.2.のどちらか
  1. 以下の不注意の症状のうち6(またはそれ以上に)が少なくとも6ヶ月以上続いたことがあり、その程度は不適応的で、発達の水準に相応しないもの。

    <不注意>

    1. 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な過ちをおかす。
    2. 課題または遊びの中で、注意を持続することがしばしば困難である。
    3. 直接話しかけられた時にしばしば聞いていないように見える。
    4. しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での業務をやり遂げることが出来ない。(反抗的な行動または指示を理解できないわけではなく)
    5. 課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。
    6. (学業や宿題のような)精神的努力の要する課題に従事することをしばしば避ける、嫌う、または嫌々行う。
    7. (例えばおもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本など)課題や活動に必要な物をしばしばなくす。
    8. しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。
    9. しばしば毎日の活動を忘れてしまう。
  1. 以下の多動性・衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月以上持続したことがあり、その程度は不適応で、発達水準に相応しない。

    <多動性>

    1. しばしば手足をそわそわと動かし、またはいすの上でもじもじする。

    2. しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる。

    3. しばしば不適切な状況で、余計に走り回ったり高いところへ登ったりする。

      (青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかも知れない)

    4. しばしば静かに遊んだり、余暇活動につくことができない。

    5. しばしば“じっとしていない”またはまるで“エンジンで動かされているように”行動する。

    6. しばしばしゃべりすぎる。

    <衝動性>

    1. しばしば質問が終わる前に出し抜けに答えてしまう
    2. しばしば順番を待つことが困難である。
    3. しばしば他人を妨害し、邪魔をする(例えば会話やゲームに干渉する)

  1. 多動性―衝動性または不注意のいくつかが7歳未満に存在し障害を引き起こしている。

  2. これらの症状による障害が2つ以上の状況において(例えば学校、家庭)存在する。

  3. 社会的、学業的または職場的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという証明。

  4. その症状は広汎性発達障害、精神分裂病、またはその他の精神病性障害の経過中のみに起こるものではなく、他の精神疾患(例えば、気分障害、不安障害、解離性障害、または人格障害)ではうまく説明できない。


(『DSM-W 精神疾患の分類と診断の手引き』、医学書院より作成)


ADHDLD

 ADHDには、LDLearning Disorders:学習障害)が併発していることが多く、全体の30%以上(軽度を含めると90%以上)の子供が併せ持っています。そのためADHDLDを混同して用いられていた時期には本来のADHDの病態に気づかれることなくLDという誤った診断を受けていました。LDとは知力に比較して、ある種類の学力が他の学力に比べて著しく劣っている状態をいいます。ADHDLDは脳の非常に限られた部分の機能の低下や発達の遅れが見られる点が共通しています。それに対して精神遅滞や自閉症などでは、脳のより広範囲な部位に障害が起こっているのです。ADHDでは脳の個別の機能自体には全く問題はないのに抑制機能や統合機能がうまく働かず問題行動につながってしまいます。LDとは読む、書く、話す、計算する、推論するなど、学習に関連する領域の一つに(あるいはいくつかに)障害がある状態をいいます。

*基本的対応*

 ADHDは現行の教育制度では、あたかも落ちこぼれのように思われていますがそうではありません。それどころか彼らの多くは直観力にすぐれ、既成のわくに縛られず、自分の好きな事に対してはどんな困難も意に介さず大きな力を出すことが出来るという豊かな才能を内に秘めているのです。しかし、落着きがなく集中力が持続しないADHDの子は、十分な教育の恩恵を受けにくかったり、どうして自分は他の子と違うのだろうという劣等感から優れた素質を表に出さず、埋もれたまま終わってしまうことが少なくありません。不得意な部分は11で、静かな環境のもとで具体的な例を用いて繰り返し教えてあげましょう。また、相対的に強い部分をより強めて、不得意分野を補ってやるというやり方もあります。絵が得意な子、運動が得意な子とさまざまですが、その子に応じて多くの自信が生まれるように導いてあげましょう。

 子供達は、集団生活の中で、譲り合いや順番を待つなどのルールを少しずつ学んでいきます。しかしADHDの子は、その場の空気をなかなかつかめず、それがもとでケンカや争いになることが多いのです。それぞれの言い分を聞き、何をして、どうされて、どんな気持ちなのかを言葉で表現できるよう励まします。そしてどこが悪くてケンカになったのかを分かりやすく説明してあげましょう。



参考文献
「のび太・ジャイアン症候群」、主婦の友社
「障害を知る本」GLDの子供たち、大月書店
ADHDチャンネル: http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/9973/addadhdfaq.html