柔らかい日差しが気持ちいい
いつもの風
いつもの木陰
いつもの風景
何も変わらないものたちの中で
私はずっと"彼"を待ち続けている。
いつからだっただろう
彼の行く道が私にとっては険しすぎると気づいたのは。
王国の正騎士になったあたりからか・・・?
ありがちな話ではある
国から力を求められ、そして自身も力を求めた彼。
自然と二人の距離は広がっていった
彼を恨む気持ちは全く無い
騎士という職務に忠実なのは彼らしいし、
当時の私は薬草や書物相手にマジックアイテムを研究するのが
楽しくてしかたなかった。
いつも待ち合わせしていた場所。
プロンテラ王城から北にいった城壁の外
人通りのそれほど多くない木の下。
製薬に関する本を読みながら待っていたあの頃。
しだいに彼がくる日は間隔が開き
別れの言葉を最後に彼も私もここに来なくなった。
それなのに・・・
それなのに私はいつの間にかこうして毎日ここで彼を待っている
太陽が頭上高く上る頃に、見慣れた木の下でカートを止める
お気に入りのパンダをカートの後ろに座らせ、
私自身もカートの上に腰を据える。
数時間ここで考え事をする日々。
それは研究のことであったりほかの事であったり
今日もまたこのまま思いをめぐらせ帰るのだろう。
「え?」
だがその予感はふいに目の前に立ち止まった男によって裏切られる
「ロードナイトになった・・・」
挨拶もなくボソっと言った彼のせいで思考は止まったまま。
「あ、え?うん・・・おめでとう」
それだけ言うのが精一杯
「一人前になった・・・だから迎えに来たんだ
お前が望むなら、その・・・・・・ついてこい」
視線を逸らし喉から言葉を押し出すように言う彼
その言葉が意味することがわかるまでに数秒かかった
そしてさらにその答えを導き出せるのには更に時間がかかりそうだ
「・・・俺は行くぞ」
そう言い放ちゆっくりと街へ向かって歩き出す彼を慌てて追う
何も考えることなどないではないか
答えなら最初からここにあった。
小走りに駆け寄り、彼のマントを引っ張る。
立ち止まった彼の耳元に私はそっと囁いた
「廃人キモm9(^Д^)プギャー!!」
アルケミストの憂鬱