ハンター

カシャン カシャン

 

遠くで鳴る鎧の音を聞きながら大きな壁を背に息を整える
どうやら"奴ら"はうまく撒けたようだ。

 


数分前、冒険者の亡骸を無視して進んだのがいけなかった
ゲフェンの街から遥か西方にあるこの廃城では、
宝に目がくらんだ冒険者達の死体などゴロゴロしている。

城の中でも騎士の詰め所だったのであろうこの場所では
特に多くの冒険者達が犠牲になっていた。

 

あの時いつもより多くの亡骸が転がっていることに警戒しなければいけなかったのだ
その先の角を曲がった時にはもう遅かった。
十体近くいるであろう古びた鎧がいっせいにこちらを向く
中身は空洞だが人が着ているのと全く同じように動くこの鎧たちは
おそらくこのグラストヘイム城で朽ち果てた騎士達なのであろう。

 

一瞬足がすくんだが、持ち前の敏捷性で
腰につけていたポーチから罠を取り出す。
本来は地面に設置し、対象が踏むと爆発するタイプの物だが
私は直接それを先頭にいた鎧へと投げつけ、自分が来た方の角に身を隠す。

 

ドゥン

 

爆風が過ぎ去ると同時に角から飛び出し二本の矢を一度に放つ
爆発に巻き込まれても生き残っていた半数ほどの鎧のうち
一番近くに居た鎧が金属音を響かせながら倒れる。
しかし矢筒から次の矢を引き出している間に残りの3体が一気に間合いを詰めた
私などでは到底持てそうに無いほどの大きい両手剣が振り下ろされる。

 

それを弓で受け流し、その後ろにいた鎧を至近距離から銀製の矢で射抜く
あと2体・・・これならいける
そう思ったことで気が緩んだのだろうか
崩れ落ちる鎧を貫くように向かってくる剣に気づいたときには
既に左腕に鈍い痛みが走っていた。

 

くっ

 

このままでは弓が引けそうにもない
咄嗟にポーチから閃光弾を取り出し地面に投げつける。
奴らに人間と同じような感覚があるのかは謎だが
少なくともこの破裂音と閃光とでしばらく目をくらますことが出来る。
闇雲に振り回される両手剣をかわしながらその場を離れ、
大きな壁に私は身を潜めた。

 

傷の回復を飛躍的に促す薬を瓶の半分ほど飲み
残りを傷口にかける。
少々滲みるがこの際そんなことは言っていられない。
いつでも放てるように矢を口に咥え包帯を簡単に腕に巻きつける。

 

大丈夫、痛みは無い。
これなら弓をしっかり支えられるだろう
私は大きく壁の向こうに足を踏み出した・・・