機械仕掛けのボク
弓手の里フェイヨンの町外れにある洞窟
その昔フェイヨンで死んだ者が密葬された場所
そこが俺の狩場だ。
かなり奥深くまで続くらしいが最深部には行ったことがない。
行く必要がないと言った方が正確だろうか。
かつて葬られた死者達がアンデッドとなりうろつくこの洞窟は
彷徨う亡骸たちから価値のある装備品を手にしようとする冒険者達で
年中溢れかえっている。
俺もそんな冒険者達の一人だ
いや、盗掘者・略奪者とでも言うべきか?
毎日毎日、ここで俺はアンデッドを狩り続けている。
正直自分が何のためにここにきているのかわからなくなる時もある
でも仕事なんてものはそんなものだろう
好きなことだけしていられるわけではない。
生きるためにはこの腐った仕事をする必要があるのだ。
いつものように俺は今日もここに来て働き
そろそろ荷物が一杯になってきたので帰ろうかと思った時だった。
前方からムナックと呼ばれる女のアンデッドの群れがこちらに向かってきたのだ。
─ちっ・・・こんな時にめんどくせぇ!─
戦うのも今となっては面倒だ
俺は背負っていたリュックから蝶の羽と呼ばれる物を取り出した。
このマジックアイテムはカプラ社とゲフェンの堅物どもが作ったもので
自分が拠点にしている街へ一瞬で戻れるというすぐれものだ。
いざ使おうと思った瞬間、
身体がフッと軽くなるのを感じた
「ブレッシング!」「ヒール!」
続けざまに体力がみなぎる
いつの間にかそばにいたプリーストが支援してくれたようだ。
生き馬の目を抜くようなこの狩場で支援を受けたことなど一度もない。
俺はとまいどいながらも一言だけ「ありがとう」と言った。
まごついてる間に接近したアンデッドを軽くなった身体で屠る。
問題はこの化け物達よりもこの後どうするかだった。
ニコニコとこちらを見ているこの女プリーストをどうしたものか・・・
こんな場合どうしたらいいか、俺の頭にはインプットされていなかった
とりあえず俺は精神力を回復するためにドカッとその場に腰を下ろす。
疲れてるとでも思ったのかそのプリーストは再度俺に聖なる魔法を使い、
数歩離れた所に座った。
ほんとにどうしたものか・・・
「ありがとう」
二度目の答えをぶっきらぼうに言い放ち視線を逸らす
「どういたしまして」
これまた笑顔のままで返す相手
数秒間がずいぶん長く感じた。
沈黙を破ったのはプリーストのほうだった
「いつもここにいますよね?」
「・・・・・」
返事をしなくても彼女は笑顔を崩さなかった。
馴れ合いは好きじゃない
俺はこのまま飛んでしまおうか迷った。
「嫌われちゃったかな・・・・?
えっと・・・私毎日あなたのこと見てて・・・」
答えない俺に対して静かに彼女は続けた
「ずっとその・・・一緒に回れたらいいなとか・・・
迷惑・・・ですか?・・・」
初めて笑顔を崩したその不安げな眼差しを見て
「迷惑」などという単語を聞いて
俺は自分の頭の中にある少ないボキャブラリーから必死に言葉を搾り出した
「BOT違うBOT違う」
葵の人:
いや・・・BOTに心があったらこんな感じかな、と
はい、ごめんなさいごめんなさい。