世話焼きの受難
ジュッ
20本目の煙草が消される。
火を消した銀髪の男はすぐにまた次の1本を箱から取り出すと、
気だるそうに吸い始めた。
「おーい・・・まだできねーのぉ・・・?」
「ごめん〜、あとサラダ作ったらおしまいだからさ」
「うぃよぉ・・・」
行儀悪くテーブルに足を投げ出しながら、
奥にあるキッチンに声をかけたハンターの男は
やっと食事にありつけることにホッとしながらも、
今までの待ち時間を考え、お腹のあたりをさすった。
そもそも財宝を探しに相方とピラミッドに潜っていた時は、
こうなることなど予想だにしなかったのだ。
いつものように今日の稼ぎを清算して、軽く酒場に寄るはずだったのだが
珍しく相方が料理をするなどというので
わざわざ相手の家まで来て、こうして待っているわけである。
部屋の隅で主人より先に晩御飯の肉をつついてる鷹を恨めしそうに見ながら
ハンターは21本目の煙草を消す。
そのまま次の煙草を取ろうと箱に手を伸ばした時だった。
パタパタと慌てるようにプリーストの男が料理を運んでくる。
「おまたせ〜!・・・って行儀悪いんだから、もー!」
「へいへい」
「全く・・・僕がいないとすぐこれなんだから・・・」
ハンターが足を下ろすと慣れた手つきでプリーストはテーブルを拭いた。
「しっかし、見た目はずいぶんと美味そうだな」
ハンターが、運ばれてくる料理を見ながら意外そうに呟く
「『見た目は』は余計だよ!」
ハンターの言葉にややムッとしながらもテキパキと料理を運び、席につくプリースト。
「はい、じゃぁ食べよう! 天に召します我が・・・・ってこらぁ!」
「うあ、うめぇ!」
食事前の祈りを完全に無視して食べ始めるハンターを、プリーストは呆れながら眺める。
「ほんとに美味しい?」
「あぁ!お前が料理できるなんて意外だけどな」
彼はハンターの返事を聞いて満足げに頷くと、ニコニコ嬉しそうに頬杖をついて見守った。
そんな様子に気付いたハンターが怪訝な顔で問いかける。
「なぁ・・・お前は食べないの?」
「え!?あっ、食べるよ!あははは・・・」
ずっと見つめていた事に気付かれ、赤面しながら慌ててフォークを持つプリースト。
それを見ていたハンターにサディスティックな笑みが宿る。
「待て」
「へっ?」
ハンターはニヤニヤしながら続ける。
「食事の礼がまだだったな」
「え、そんなの別に・・・喜んでもらえたら僕はそれで・・・・」
最後の方は口ごもるプリーストを無視して更に続けるハンター
「お礼に俺様が食べさせてしんぜよう」
プリーストからフォークを奪い取ると魚のムニエルを一口分取り、にじり寄る。
「・・・な、なに言ってる・・・のさ・・・?」
彼はハンターの顔に本気を感じて逃げようとするが、
先を読んだハンターに足先を踏まれて立とうにも立ち上がれない状態になった。
「ほら、あ〜んだろ?あ〜〜ん」
「待っ・・・て・・・こんな・・・恥ずか・・・やだって!」
「ほ〜ら、あ〜んしないと口の周りが汚れるぞ〜」
「ほんとに・・・や・・・あぐぅ!」
動ける範囲で精一杯抵抗したプリーストだったが
結局、無理矢理口にねじ込まれる。
「もう・・・君だから我慢したけど、ほんとに・・・こんなのもう絶対!絶対嫌だからね!」
「ハハハ、可愛い奴だなお前は」
拗ねたようにそっぽを向くプリーストを見て何やら思いついたハンターは、
まるで玩具を見つけた子供のように嬉しそうに、座っているプリーストに馬乗りになった。
「今日は満腹になるまで俺が食わせてやる」
ハンターに耳元で囁かれ、顔を真っ赤にしたプリーストの叫びが街に響く。
「ちょっ・・・もうダメーーーーーーーーーーー!!!」
葵の人:リクエスト物、訂正版。
なんだろ・・・踏み入れてはいけない領域にきてる気がする。