Top>>>Column>>>
Column 01
雑記
<<< back  Column's menu  next >>>
No.10 <夢の話 後編> 2003.07.29
あまり夢自体を見ない俺だが、それでも割とよく見る傾向の夢がある。
空を飛ぶ夢だ。
これがなかなかにおもしろい。
感覚的には「特撮もの」っぽいと言うと、分かってもらえるだろうか。
屋根から屋根を飛ぶ、中空を漂う、通常では飛び移れないような岩山をひょいひょい越えていく、スーパーマンのように横になって飛ぶ、何かに掴まって飛ぶ。
様々な飛び方がある。
今朝方見た「飛ぶ夢」がいろんな意味で印象に残っていたので、これを紹介しよう。

夕暮れが過ぎ、闇が広がりかけた時間帯。
俺は神社の境内にいた。
鬱蒼と茂る緑と、湿った縁石。
俺の他にいる人間は、狭い通用口から出て行くところである若者2人。
それ以外には音もなく、動きもない。
そこからしばらく歩き、神社を出る。
出たところは、T字交差点の自動車道であった。
暗くなるに伴い、道路に設置された電灯が灯を灯し始める。
左右を見て結局、前方に進むことにした。

地面を蹴り、ふわりと浮く。
飛ぶために必要なものに跨り掴まって、中空をゆっくりと漂う。
前方には橋があった。
橋の上方から眼下に広がる川が見える。
川の幅はなかなか大きく、水量も豊かだった。
両岸には樹が鬱蒼と生えており、岸そのものを覆っているかのように見えた。
川には拳より小さめの石による河州が出来ており、そこに何か黒っぽい長いものがのっていた。
あれは一体、なんだろう。
にわかに興味を引かれた俺は、そこに急降下していった。

少し離れた中空に漂ったまま、それを観察する。
黒い、太いひものように見えたそれは、蛇だった。
ぬらりと光る体表面、獲物をおびえさせる目。
人の腿より少し太いぐらいのその胴体は、人間くらい楽に絞め殺せるであろう印象を受けた。
その存在を認め、ざわりと肌が泡だった。
はっとして、瞬間的に斜め上方を見る。
樹に絡まり、ゆったりと蠢いている影達。
細い瞳孔だけが、暗い中、爛々と光っている。
両川岸に茂っていた木には、無数の蛇が絡まりあっていたのであった。

あまりの光景に、手近な橋にとって返し、地面に降り立って一息ついた。
あれはちょっと、衝撃的だった。

気を取り直して、これからぶらぶらとどっかへ飛んでいこう。
そうして飛ぶためのモノに掴まった。
そのモノは、例えるなら海水浴に持っていく、ビニールの浮きイルカ。
形こそイルカそのものではないが、その形状はそれと説明する方が分かり易い。
背中上方の中央より少し前方当たり(背鰭当たり)には縦方向に掴まるための輪があり、また、後方(尻尾の付け根当たり)にも座った状態で掴むための輪がついている。
そのモノは、完全に俺の意思通りに動かせるものではない。
操縦自体は自由に出来るものの、空気を抜いて手元におろしっぱなしにする、というのは出来ない。
丁度水の中に浮き輪を沈めるような感覚と同じである。

・・・・なんて冷静にそれを分析しつつ、水から浮かび上がる感じで飛び立ったところで、目が覚めた。

まったくもって、なんだかな、という夢である。
夢なのに現実っぽさが入っているしなぁ。
夢なら夢らしく、どこまでも「夢」でいてほしいものである。


Column 01
No.10 夢は夢


<<< back  Column's menu  next >>>