No.3

マスター・エックス談

 彼はこのクリニックの検査技師である。特徴と言えば、どの様な患者さんがこられようとも、そつなく対応できるということだ。かなり大柄な男なのだが、見かけによらず要領がいいのだ。色々な意味で院長の右腕的な存在である。

 と、ここまではいいことづくめの彼だが、ひねくれ者のマスター・エックスとしては、このまま終わってしまったのでは面白くないのだ。よってこのファイルを見ている方に限り特別に、彼の秘密のいったんを暴いてやるとしよう。

 実は彼は、我が輩と同じく、食いしん坊なのだ。むろん患者さんの前では、その正体はかくしているのだが、我が輩の目はごまかせないのだ。彼がちょこちょこおやつを食べている所を私はよく目撃しているのだ。まいったかこの野郎!ざまあみやがれ、はっはっはっと、おっ、チーズケーキが焼ける時間だ、それでは私は失礼するとしよう。それでは………。