大崎:賞品もすごかったけど、オークションの方も、ある意味
すごかったよな。
石黒:そうやな、結構みんな御祝儀気分で値をつり上げてくれ
てたしな。確か一番高く売れたのは、君の所のオーナー
が出してた信楽焼の壷が10,000円やったか?
大崎:まあ10,000円って聞けば高いように聞こえるけどな、
うちのオーナー、あの壷30,000円で買ってきてるねん
で、それも知り合いの作家さんやから安くしてもらって
やで、オーナー陰で泣いてたんとちゃうかな。
石黒:言うとくけど、始めの値段1,000円に設定したのは君な
んやで、そんなん知ってるんやったらもっと高く設定し
てたらよかったやん。
大崎:へっへっへっ、ちょっと日頃の恨みをやね……。
石黒:君、オレのこと怖いって言ってたけど、君も人のこと言
われへんな。
大崎:まあ、このクリニックでやって行こうと思ったら、実際
ちょとはダーティーにならんとやっていけんで。
石黒:何がダーティーやねん、ダーティーなのは君の姿だけで
十分やで。
大崎:オレの姿のどこがダーティーやねん。
石黒:何言うてるんや、ぶくぶく太って、どこが首か、どこが
お腹か、どこが足なんか分からんような体しといて。
昼食タイムの時もどうせバーベキューとかガッツいてた
んやろ。
大崎:あ〜っ、そんなこと言うか。それやったら言わせてもら
うけどな、昼食タイムの時一番はしゃいでたんは君の方
ちがうんか、オレなんかお茶をくむ手伝いしてたからあ
んまり食べてへんのに、君なんか実行委員長の仕事もほ
ったらかしにして、色々食べ歩いとったやないか!
石黒:それは仕方がないやろ、本間に美味しかったんやから。
それに、オオチャンも大変やと思って何度か食べる物も
っていったったやろ。あれ美味しくなかったか?
大崎:おいしかったで、得におでんがうまかったな。良くだし
がしみこんでて最高やった。
石黒:他に、日興建設さんが持ってきてくれた、三田米の新米
で作ったおにぎりと三田牛の肉、院長のお母さんのタコ
焼きとか、院長のお兄さんが持ってきた、水餃子とか、
それにおでんは看護婦さんとそのお母さんが作ってくれ
てんで。
大崎:へ〜っすごいな、みんな素人が作ってたとは思われんほ
どよくできてたな。
石黒:本間のこと言うたら、昼食が一番気掛かりやったんやけ
どな、来てくれた方がみんな喜んでくれてて内心ほっと
したで。
大崎:おれも内心ほっとしたよ。これやったらいつ病院がつぶ
れてもいつでも食べ物屋でやっていけるって。
石黒:君って、どんな所にいっても生きていけるタイプやね…。
大崎:そんなに誉めるなや、テレるやないか。
石黒:誰も誉めてるつもりはないねんけど……。 |