1996年12月26日、つまりクリスマスの翌日、コロラド州の静かな大学町ボウルダーで、美少女コンテストの女王ジョンベネ・ラムゼー6歳が死体となって発見された。被害者が美少女、しかもラムゼー家は、富豪として知られているだけに、この事件はアメリカ国内だけでなく、世界中に大々的に報道された。中でも、アメリカで最も俗悪とされるスーパーマーケット・タブロイド紙は、この上流階級で起こった事件をセンセーショナルに報道した。スーパーマーケット・タブロイドの存在を知っている人でも、実際に手に取って読んだ人は少ないと思う。たまたまアメリカに滞在していた私は、軽蔑のまなざしに耐えながらこれらの新聞を買ったのである。新聞のほかはジョンベネ事件を扱った本である。事件は多くの疑問を残しながら、現在もなお迷宮入りのままである。 |