今回は、まだ観光化されていないバリ東部をめぐり、地元の人たちや自然、文化と触れあうという「ダ・タッチ」のツアーに参加。参加者は二人の若い女性と私たち夫婦の4人。
 まず立ち寄ったのは、ゲルゲル寺院。イスラムに滅ぼされ東ジャワからバリに移り住んだマジャパヒト王国の人々の作った寺院。大勢の貴族、僧侶、芸術家、音楽家、職人たちがバリにやってきたことで、バリはその後、芸術・文化が栄えるようになったという。
 観光客の姿は無いが、バリのツアーの第一歩にふさわしい寺院である。
 寺院に詣でる地元の人たち。女性は頭に物を乗せて運ぶ。かなり重いもの、大きいものも頭に乗せて、手も添えないですたすた歩いているのにはびっくり。
 バリ島は、島全体が大きな一個の美術館とも言われているらしいい。

 バリ絵画の原点ともいうべきカマサン・スタイルの巨匠ニョマン先生のアトリエを訪問。カマサン・スタイルは、題材は宗教画で、その表現方法はワヤンクリッの影響を受けている。登場人物は影絵のように平面的で顔の向きや色の使い方も決まっているとのこと。

 アトリエの傍らに、岩絵の具を取るための赤茶けた岩がいくつも置いてあった。
 椰子の樹液から作るアルコール度の高いお酒がアラック。アラックを作っている農家にお邪魔した。右手前の甕で発酵させ、右奥の釜で熱し、左奥の冷却装置で冷やすと、ぽたぽたとアラックが蒸留されて出てくる。
 試飲してみるとあまりのアルコール度の高さに、咽の奥がカッと火照る。ペットボトルに入れてもらってお持ち帰りさせてもらった。帰って、ソーダで割って飲んでみよう♪

 アラックは、ちょうどメチルアルコール混入事件で死者まで出た事件の後だったせいで、巷では入手困難。免税店でも買えなかった。

 
 バリの結婚衣装や祭礼の衣装用の高級な布地を作っているお宅を訪問。ここでは、糸への色付けから、織りまで行っている。
 根気の要る手作業の連続。
 お昼ごはんは、緑に囲まれてた民宿のテラスで。ガイドのアキさんが、近所の売店でビールを買ってきてくれた。
 料理はどれも本当に美味しい。

 蝶の戯れるライスフィールドを眺めながら、「おかわり!」

 
 のどかな村の一こま。前を行くのは、おやつなどを売って歩くおじさんの自転車。後ろを洗濯物を頭に載せた女性たちが行く。
 ガイドのアキさんがホームステイしてインドネシア語を学んだというお宅にお邪魔する。子供たちがはしゃぎまわる。
 写真は、9歳のおねえちゃんが披露してくれたバリ舞踊。お母さんが舞踊の先生だけあって、手の先、目の位置など、さすがに、さまになっている。
 
 夕食は、料理教室に参加することにした。しかし、想像していた料理教室とはまるで違う!
  村の祭りには料理長を務めるご主人のお家にお邪魔して料理の手ほどきを受ける。まずは、石臼に入った魚を、棒で叩いてミンチを作る。この棒がかなり重くて大変なので、夫に任せて、女性はココナッツをすりおろす作業を担当。
 魚のミンチと香辛料を混ぜ合わせたものを椰子から作ったスティックにからめてサテを作った。これが簡単そうで実はとても難しい!ボテッとなると、スティックに付かないで落ちてしまうし、付いても火が通らない。
 これに、魚をバナナの葉っぱでくるんで蒸し焼きにしたものや、ご主人特製のスープ、野菜炒めなどメニューは盛りだくさん。
 そして、出来上がった料理を、手で食べることに挑戦。手で綺麗に食べるのは、思ったより難しい。肘までベトベトになってしまう。エキサイティングな夕食をありがとう!
 夕食の準備のときから、村の集会所から、ガムランの演奏が聞こえていた。夕食後には、集会所にガムランの練習を見に行く。練習しているのは60人近い子供たち。
 小さい子の中には集中できなくてうろうろしだす子もいるが、それも含めて、全体としてダイナミックな演奏が続く。練習は2時間。
 こうして、子供たちにバリの文化が継承されていくのだなと思いながら、拍手を送る。