1970年代から国によって観光リゾートとして開発の進んだこの地域は、用事のない地元の人は入れない。


今回のホテルはニッコー・バリ。ホテルに車で入る度に、後ろのトランクまで開けての厳重なチェックが入る。これも昨年のテロの影響だろうか。
ホテルのエントランスから海を臨む。青い空と海。椰子の木とブーゲンビレア。その典型的な南国のリゾートの風景に、綾夏と過ごしたグアムやハワイでの家族旅行を思う。涙が溢れて水平線がにじむ。
部屋からの風景。10年前に泊まったバリ・ヒルトンホテルも見える。結婚前に女友達と訪れたあの時のバリは底抜けに楽しかった。「結婚してもまた絶対来たいね!」と言ったけれど、こんな悲しみを抱いて訪れようとは、まさか思いもしなかった。
寄せて返す波を見ながら、ああ、ここではしゃぐ綾夏が見たいと思う。
バリの人々の暮らしは信仰とともにある。道端にも最新のファッションを扱う店先にもホテルのロビーにも毎朝椰子の葉であんだお皿に乗せた供え物が捧げられている。供え物には花、ご飯、クッキーなどが乗せられその真ん中に線香が焚かれる。日本の仏壇の線香とは異なる香りでそれが花の匂いとミックスされエキゾチックに甘く香る。
バリ ヒンドゥーの神々もいたるところで見かける。日本の仏像の耳に花を飾ると随分違和感がありそうだが、ここの神々にはハイビスカスやプルメリアの飾りがよく似合う。