「生きる覚悟」
伸び行く力に満ちたあの小さな瑞々しい存在はどこに行ってしまったのか。
笑いと希望に満ちたあの家族はどこに行ってしまったのか。
自分には不幸など起こりえるはずがないと疑いもしなかった幸せな私はどこにいってしまったのか。
どこに行ったのでもない。悲しみに打ちひしがれる私は、あの幸せだった私と別人ではない。綾夏を愛し、それ以上に愛されたのは、他でもないこの私。私はあの幸せを知っている。
そして、綾夏が、どこに行ったわけでもなく、本当は、過去にのみ存在するのではなく、目には見えないが、私の一歩先で私を導いてくれているのを知っている。
絶望を知るまで、「生きよう」と意識して日々を生きてはいなかった。
綾夏のいない2003年が、残すところ3週間足らずとなった今、思う。未来なんてもう考えようも無いけれど、私は、1年間、生きる覚悟を決めて、一日一日を積み重ねてきた。しょっちゅう、もう駄目だとうずくまりなりながらも、それでも一所懸命足を踏ん張って、とにかく今日一日「生きよう」とがんばっている。
たったそれだけのことではあるが、きっと綾夏が「偉いね、ママ」と誉めていてくれそうな気がする。