画像はないが、今回経験した地獄のスパのことは書いておこう。ホテルにはマンダラスパがあったが、マンダラスパはバリのアリラホテルでも経験したので、今回は水上コテージにあるスパに行くことにした。事前に入手したパンフレットは英語版を直訳した日本語版でかなり笑える。「マレーシア不思議な一時 日焼けした慰め」「かん水湖での怠け」「海峡は落ち着き」「マヤ秘技」「ランカウイぜいたく」「ぜっ妙な女帝」の6コース。私達は夫婦で20000円程の3時間半のコース「ランカウイぜいたく」を選んだ。

スパはインテリア等は清潔でセンスも悪くなく、さあ、3時間30分癒されようとベッドに横たわったが、これがとんだ見当違いであった。まずはライムの果実を用いた頭皮マッサージ開始。痛い!痛い!痛い!(・・・続く20分間)思い切り髪の毛を引っ張るし髪と髪をこすり合わせるし、いったい何なんだぁーっ!?いじめか!?最初はすぐ終わるかと我慢していたが耐え切れず、顔をしかめて、痛いと訴えるが、施術に変化なし。夫と同室で並行して受けていたため、私はともかく夫の身が・・・というより毛が心配になる。こんな荒業に耐えられる毛根ではないはずだ。思わず、「痛い?大丈夫?」と声をかける。すると、夫のほうはそうでもないらしい。よかった。

ボディのオイルマッサージもともかく力まかせ。筋肉や骨の上に力をかけてどうする。一本一本の指先をつまんで弾くように離すテクニックは殆どのマッサージであるが、ここそれはあまりにも力が強いので、一本一本しびれるような痛みが走る。ああ、後、8本、後7本、後6本・・・と数えながら辛抱した。多分私なら、こんなに力まかせに施術すれば、している自分が手を痛めるだろうが、今回のセラピスト(?)の腕と指は農婦のような逞しさ。オイルマッサージの時はお客の体から指を離さないのが鉄則だがそれもおかまいなしで何度も中断する。蒸しタオルはそっと端から顔に被せるべきをそのまま顔に落とす。セラピストは施術中だというのに終始2人でおしゃべり。パックの間に、隣のバスルームを大音響で掃除する・・・いったいどうなってるんだ???それに施術の内容も良くわからない。コーヒーの粉でマッサージされる意味、その後、バナナの皮で全身を包まれる意味、わからない。効果を説明されないと、単に料理の下ごしらえでもされている気分で、「注文の多い料理店」を思い出す。素っ裸で様々なものを塗りたくられ、目にはきゅうりの輪切りを乗せられ、葉っぱに包まれている己が姿を客観的に見るとおかしくておかしくて痛いけど笑えてくる。

とにかく、一刻も早く終わってほしいと願いながら過ごした3時間半が終わり、へとへとになって着替えていると、担当していたセラピストは「良かった?」って感じで満面の笑みでお茶を運んできた。この人はきっと何もわかっていないのだ。スパとかエステとかきっと自分は受けたことなくて、きちんと研修も用意されないまま一所懸命にやってるんだ。この自然に溢れた島で洗練されたサービスや技術が無いと怒る私が間違っているんだ。彼女の笑顔と逞しい体を見ながらそう思い始めた。多くのリゾートのガイドブックではスパやエステが特集され、緑に包まれたオープンエアのベッドでアロマオイルでマッサージされる女性や南国の花で溢れるフラワーバスの写真が載っている。これは観光客のために外国から外国人経営者が取り入れた風習でしかないんだろうなと思い、スパを後にした。

スパの後に立ち寄った地元のレストランは野菜や海の幸をふんだんに使いながら、どれも100円〜300円程度のアラカルトの料理で、大変美味しく、大満足だった。これこそランカウイの醍醐味。