「僕とあたしの未来 11 〜るるるるる?の巻〜」



また上の階のヤツがうるさい。確か上は、こないだ「越してきました」とか言って
挨拶に来たヤツ。
イマドキ挨拶に来るってだけでもよしとしときたいとこだけど、あまりにうるさい。
どすんどすん何やってんだか・・・今日こそは言いに行ってやるー!

ピンポン♪
「はい」と言う声に、あたしは少しドスのきいた声で、「すいません、下の階の
者ですけど?!」と言った。

ガチャッ・・・とドアが開いたとたん、「はい?」と出たヤツが、こないだのヤツと
違ってた。
こないだのヤツより目がデカい・・・例えるならテディベア?こないだのヤツは確か
うさちゃん顔だった。

え?あたし部屋間違えた?一瞬キョロキョロしていると、「しょーちゃん、誰だった?」
と、こないだのうさちゃんが出てきた!!

「ちょっとうさ・・・じゃなくて・・・あんた!何やってんだかしらないけど、
 どすんどすんうるさいのよ!」
気合を入れて言ってやった。

「あ、下の階の!すいません」とペコペコするうさちゃん。
すると隣にいた目のデカいテディベアが、「どうもすみません」と更に深く頭を下げた。
「こいつ、新年会のネタで嵐メドレー踊るって聞かないもんですから、さっきから
 ずっと練習してて・・・ご迷惑かけちゃってたらすみません・・・」
おまえももっと謝れと言わんばかりに、テディはうさちゃんの頭を下げさせた。

う、態勢逆転。そんなに謝られちゃ強く言えない・・・。

「あ!お詫びといっちゃなんですが、しらすのペペロンチーノ作りすぎちゃったんで、
 食べます?」
「え?まさかさっきの出すつもり?塩入れ忘れたやつを?!?」
「うそっ?だってしょーちゃん、おいしーおいしーって食べたじゃん?!」
「いや〜、あれはやっぱりちょっと・・・ひとさまに出すには・・・味薄いでしょ〜?」

「ちょっとー!!何ごちゃごちゃ言ってんのー?!」
ひとり取り残された感のあたしは、腕組みしながら大声で言った。
でもどうやら、テディはしょーちゃんという名前らしい。

「すみません・・・」と二人は押し黙った。

「ダンスの練習だかなんだか知らないけど、そんなの外でやってよね?」
「外、ですか?」
「そりゃちょっとムリだよなー?いくらイケめてるオレたちだっつっても・・なぁ?」
「相葉さん、そこちょっと違う・・・(-_-;)」
「あ!そっか!ここでちょっと、この人に見てもらうのってよくね?ね??」
「ここでか?!」

いきなりうさちゃんが踊り始めた。その横で、嫌々ながらもテディも踊り始めた。
安い賃貸マンションの狭い通路で。

長身で細身なうさちゃんと目のデカいテディは、なんだかやけに楽しそうに踊ってる。
そりゃ上手い下手で言ったら、ご本家には敵わないけど。

はぁはぁと息をつきながら、「どうでした?」と訊くうさちゃん。
「まぁ、いんじゃない?」とあたしはさりげなく答えた。

「やったぁ♪練習した甲斐があった♪」
「それだけ下の階のこの方に迷惑かけたんだから・・・あ、こいつ相葉って言います。
 これからもご迷惑かけるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします」
「よろしくお願いします!!」

二人して頭を下げられ、「はい」と答えるしかなかったあたし。

「くれぐれも音には気をつけてくださいね」と釘をさして、あたしは帰りかけた。

「あ!ペペロンチーノ、持って行ってください!」
うさちゃんが追いかけてきて、ラップをかけたお皿を差し出した。
「じゃぁ、遠慮なくいただきます・・・」
あたしが受け取ると、うれしそうに帰って行ったうさちゃん。

あ、スキップしてるとこ見ちゃった。(^_^;)
なんだか上の住民は、楽しい仲間いっぱい連れてきそうだなー。



数日後、またも上がにぎやかすぎるので、「ちょっとすみませんけど」と言いに
行ったら・・・仲間が4人に増えていた。(@_@;)

「すいません、また迷惑かけちゃいました?」
「あ、下の階の方?いつも相葉が・・・」
「上がってもらえば?」
「ほら、早くしないと煮込みすぎになっちゃうよ〜?」
「今カレー鍋やってんすよ、どうぞどうぞ」

あたしはほいほいと背中を押され、中に入らされた。(=_=)
狭い部屋の真ん中に、やたら存在感のあるこたつ。

「やっぱ鍋だよねぇ?」
「ほらほら、早く取っちゃって〜♪」
「相葉ちゃん、ビール足んねーよ!!」
「はいはいはい、今持っていきまーす♪」
「おねーさんの分のグラスもね☆」
「はぁーい♪」

全員が席につくと、「さ、それではさっそく・・・」と、うさちゃんが仕切り出した。
「本日は、お集まりいたたただきまして・・・まことに・・・」
「あらららら・・・」
「噛みまくりだね」
「ププッ・・・ひゃはははは!!(爆)」
「櫻井さん、笑いすぎだって(笑)」
「もとい!本日は、相葉ちゃん新居引越し祝いの会にお集まりいただきまして、まことに
 ありがとうございます☆」

そーゆー会だったんだ?

「それでは、みなさまのご活躍を願いつつ、はい!カンパーイ♪ほら、おねーさんもっ」
「・・・はい・・・カンパイ・・・」
「声小さいよ〜?」
「もっと声出してー?」
「おまえが言うと、なんか違う意味に聴こえる・・・」
「どーゆー意味だよ?」
「そーゆー意味だっつの!」
「早く肉りたいっ!!」
「野菜も食えやーっ?」

あー、なんなんだ?この男子会は・・・。(-_-;)

ビールもいい具合に回ってきて、男子会は最高潮。あたしはそろそろおいとま
しよう・・・と思ったら、「おねーさん、どこ行くの?」と、うさちゃんに襟首を
つかまれた。

猫か?あたしは。(=_=)

「それじゃー、我々の日頃の成果を、ここで発表しちゃいますかぁ?!」
「いっちゃいますぅぅ〜?」
「YEAH〜♪」

突然立ち上がる5人。いったい何を始めるんだ?うさちゃんがCDを流し始め、
ポジションについた。

げっ!また踊り始めたよ。(-_-;)新年会はもう終わったんじゃないの?
しかもあとの3人は、どっから来たんだよ?

でも・・・あれ?こないだよりずいぶん上達したような??ちょびっと見とれた。
いやいや、いけない!!騙されてはいけない!!
5人で練習でもされた日には、あたしの部屋の天井が抜けるかもしれない。

「ハァハァハァ・・・どーでした?おねーさん。だいぶイケめてましたか?」
うさちゃんが期待をこめた目で、あたしを見てる。
気づくと、あとの4人も(お願い、上手いと言って)という目線を送っている。

「うん、そうだね、こないだよりずっと上手だった!うん!!」
と、おねーさんになったつもりで、あたしは答えた。

「おぉ!おねーさんにほめられたぞぉ♪」
「やった〜♪カンパーイ♪」
「肉る!」
「おまえ、肉ばっか取んなよ?オレまだ食ってねぇ」
「いやー気分いいなー、釣り行きてぇ〜」

・・・・・・・この男子会はいつまで続くのか・・・・?????

帰りたいんだけど、うさちゃんに襟首つかまれたままなのよぅーーーーー!!(=_=)








つづく・・・のか?