「僕とあたしの未来 19」



何かにゆきづまるといつも、あたしはこの場所に来る。
ここからはなにもかもが見渡せて、あたしの悩みなんかちっぽけに思えて、
明日からまた頑張ろうって思えるんだ。

でも今は、楽しいのに、うれしいのに、幸せなのに、苦しくて悲しくて痛くてツライ。
自分でもわけわかんない気持ちに戸惑って、泣いたり笑ったりしてる。
エネルギー補給しないとやってらんない。
コンビニで買ったチョコを、あたしは1個口に入れた。
ええい!一気に5個くらい食べちゃえ!!

「また太んぞ?」

振り向いたらなぜか君が立ってた。

「なんでここにいんのよ?」
「おまえこそなんでいんだよ?」
「邪魔しないでくれる?ひとりになりたいんだから」
「それはこっちのセリフなんだけど?」

押し黙って、まっすぐ遠くを見た。
こんなに風が冷たいのに、手足は冷たいのに、頬だけが熱い。

「なんかここ、落ち着くんだよな」
風に吹かれながら、君が言った。

「そうだね」
まっすぐ前を向いたまま、あたしも答えた。

「スケッチでもしたくなるな」
君はノートを取り出して、何かを描き出した。

あたしはそれを覗き込んで、「なにそれ?」って言った。

「こっからの景色に決まってんだろ?!」
「どこ描いてんの?」
「あそこの・・・木」
「これが??」
「どう見たって木だろ?!」
「天才的だね。紙一重」
「うるせんだよ!気持ちよく描いてんだから邪魔すんな!」
「はいはい・・・」

一応美術部のあたしは、君の画力には口出しせずに、また前を向いた。

「うわぁぁーーーーーーーーっ!!」
あたしは思いっきり叫んでみた。

「びっくりすんだろ?!なに雄たけび上げてんだよ?いきなり」
「いいじゃん別に。他に人いないし」
「おまえって不思議なヤツだな」
「そういう絵を描ける君も、そうとう不思議なヤツだよ?」
「それ言うな!」

ぶっ!アハハハッ!!その絵、やっぱすごすぎる。
おかしくてなんだか涙出る。涙が出て止まらない・・・。

「人の絵見て爆笑した後、なに泣いてんだ?そんなに感動するか、これ」
「ばーか!んなわけないでしょ?!」

ほら、と言って、君はティッシュを1枚あたしに手渡した。

「たった1枚?足んないよ。しかも潤いティッシュじゃないし」
「潤いティッシュじゃねぇ?!もらっといてゼイタク言ってんじゃねーよ!」

かんでもかんでも止まらない鼻、そして涙。

「おまえ花粉症?」
「そうかもね。今年は早いのかな。あんたも花粉症?声ガラガラしてる」
「これは地声!!自分じゃそんなに嫌いじゃないんだけど??」
「ナルシストだねー!!」
「悪いか!」

でも・・・あたしもその声、嫌いじゃない。むしろ心地いい。

あたしもノートを取り出して、絵を描いてみた。
今度は君がそれを覗き込んだ。

「やっぱおまえ、上手いな・・・」
「これくらいしか特技ないからね。君のヘディングと同じだよ」
「オレのヘディングと一緒にすんな!」
そう言って、君が笑った。

楽しいのに、うれしいのに、幸せなのに、苦しくて悲しくて痛くてツライ。
でも・・・やっぱり、このままのあたしでいい。今のあたしは、今の君が好きだ。

今日の占い、君との相性75%、あながちウソじゃなかったかもね。(^_^)b










勝手にすぺしゃるさんくす : 櫻井さんのアルパカの絵(^_^;)