「僕とあたしの未来 27」



いつものカフェであたしはひとり、ランチの後のミルクティーを飲んでいた。

「ごっめーん、待った?」
サクライくんが手を合わせながらあわててやって来た。

「あれ?今、昼?」
「うん、ちょっと遅くなった」
「またゼミの先生、話長かった?」
「うぅん、今日は違うの」
「何してたの?」
「ちょっとね・・・」

サクライくんの写真見て、ぼーーーーーっとしてたなんて、
恥ずかしくて言えない。

「なんか服のシュミ変わった?」
「そ・・そう?」
「シャツにベストって珍しくね?それに、そのペンダントもいい感じ・・・」
「そっかなぁ・・・ペンダントはこないだ買ったの、700円だよ」
「へー、全然そんなふうに見えない!」
「でしょ?」

でも・・・サクライくんが好きそうなメンズのシャツ選んで着てるなんて、
ペンダントにイニシャル入れてもらったなんて、口が裂けても言えない。

「それ、オレのじゃね?って思った(笑)」
サクライくんが、あたしのピンクにブルーのピンストライプのシャツの袖を、
親指とひとさし指を立てながら、指さして言った。

「いつの間にオレのシャツ着てんだ?(笑)・・・って、笑うとこ・・・・・
 じゃねぇか・・・。なんか、イミシン・・・?」
自分で言っといて、ひたすら照れまくってる!

あたしはもう顔が上げられない。
沈黙のひととき。

店員さんがやっと来て、静寂が破られた。

「あ、オレもおんなじの、お願いします」
あたしのミルクティーを指さして、サクライくんは言った。

あたしはずっと、自分の胸の鼓動の速さに追いつけないでいる。
息が苦しい。切ない。
目の前にこんなに好きな人がいるのに、直視できない。
幸せすぎてつらいなんて言ったら、神様はお怒りになりますか?

「どした〜?」
サクライくんがあたしの前に手をかざした。

その手のひらに、無意味に手を重ねてみたい気持ちになる。

「どうして?」
「なに?」
「どうしてそんなにカッコかわいいのかなぁ?」

思わず口走ってしまった!(>_<)

「え、なに?いきなり・・・」
サクライくんはあたしを見た後、ちょっと下を向いたまま、それ以上何も
言えずにいる。

「君だってさ・・・」
サクライくんがメガネの奥から上目づかいで、ちょこっと口をとんがらせて言った。

「君だって、カワイイじゃん・・・」
「そんなことないよ(T_T)」

どんどん速くなる鼓動。誰か止めてよ?!

店員さんがミルクティーを運んできた。
繊細な指で砂糖をひとつまみ、熱い紅茶の中に入れる。そのしぐさまで愛しい・・・。
あたしもその砂糖のように溶けてしまいたい!!

わけもなく涙が出そうになる。
うぅん、わけもなく、じゃない。理由なんてとっくの昔からわかってる。
全部君のせいだよ。

「あ?ケータイ・・あれ?時計も忘れた!!」
「几帳面なサクライくんがめずらしいね?」
「ごめん、今、何時?」
「え、あぁ・・・」

あたしはケータイを取り出す。そこにはもれなくサクライくんの写真が待ってる。

「さ、3時15分・・・」
何気なくサクライくんがケータイを覗き込んでた!!

「・・・オレ?・・・照れるな・・・・・・・」
まいったと言いたげに、頭をかいてる。

まいってるのはこっちの方なんだけど?

「そろそろ行こっか」
「うん・・・」
サクライくんは2枚の伝票を持って立ち上がった。

「あ、それ、あたしの」
「いいからいいから。そういうとこ、変わってねーな(笑)」
いつものやさしい目で、あたしの目を見て、サクライくんが笑った。

カフェを出て、あたしは思いきって自分から、その手をにぎった。

「お?少しは進歩した?」
「うん、そうだね・・・」

また歩幅を合わせて二人で歩き出す。
いつかブーケを持って、同じ道を一緒に歩きたい。
そんなことを思ったら、また涙が出た。
通りすぎる人が怪訝な顔しても、こぼれ落ちる涙そのままで歩きたい。

するとサクライくんがいきなり、あたしの頭を引き寄せた。
君には何でも見えてるんだね・・・。
そんな君が好きで、そんな君が好きな自分も、この上なく好きって思える。

サクライくんの肩に頭をもたれたまま、あたしは歩きつづけた。

このままずっと、この道がまっすぐ夢までつづきますように・・・。






勝手にBGM : aiko アルバム 「夢の中のまっすぐな道」


勝手にすぺしゃるさんくす : いつものカフェ様。そして・・・
                  櫻井様っ☆妄想暴走でごめんなさいっ!!m(_ _)m