「僕とあたしの未来 28 〜僕の毛布〜」



今日も帰りが遅いな。時計を見ると午前2時10分。
零時過ぎに時計を見た記憶を最後に、あたしはテーブルにつっぷして寝ちゃってたらしい。
鏡を覗いたら、ほっぺたに痕が深く刻みつけられてる。(=_=)

「ただいま・・・」
あ、帰ってきた。
「おかえりなさい」
あたしは何気なく言ったつもりだったけど、「寝てた?」ってすぐに訊かれた。
やっぱりほっぺたの痕、しっかり見てたか。(-_-;)

「遅くなるから寝てればよかったのに」
あたしはちょこっと笑って「そうだね」って答えた。
そう言われるだろうってわかってたけど、あたしは寝ていたくなかった。

「なんか食べる?」
「いい。消化悪くなるから」
「じゃ、ハーブティーでも淹れよっか?」
「うん」

あなたはネクタイを少し緩め、ソファにすわったまま腕組みして、ぼーっとどこかを見てる。
こんな時は、考え事してるか、頭の中をカラにしてリセットしてるかどちらかだから、
あたしはむやみに声をかけずに、少し離れたとこにいる。

「お疲れさま。はい」と、あたしはハーブティーのカップをソファテーブルに置いた。
「ありがと・・・あー、疲れたー・・・」
やっと言った。早く口にすればいいのに、なかなか言わない。

カップを手にしたまま、また何か考えてる。
けど今度は、「君は飲まないの?」って訊いてきた。めちゃくちゃ疲れてるはずなのに、
そのさりげない気遣いができるとこ、ものすごく尊敬してる。

「あたしも飲む」って言って、隣にすわった。

「まだやんなきゃいけないことあるんだぁ・・・」と、あなたはボソッと言った。
「そっか・・・」とあたしは答えた。
「明日にすれば?」とかあたしは絶対に言わない。だって「明日にしない」のわかってるから。
「着替えたら?」とも言わない。リセットしすぎちゃって、やんなきゃいけないことが
できなくなっちゃうのもわかってるから。

飲み終わったふたつのカップを片付けた後、「じゃ、先寝るね」とあたしは言った。
「うん。おやすみ」と答えたあなたは、「あ」と付け加えて、あたしの背中をやさしく包んだ。
あたしはその手をそっと握った。

「邪魔になりたくないから、いっそのことあなたに酸素を供給できる空気になりたい」
そう言ったあたしに、「空気になんかならなくていいから、ずっとそばにいてほしい」と言ってくれた
あなた、大好きだよ。

そうだ、明日の時間聞いておかなくちゃ。

「あ、明日何時起き?」
「寝るの、明け方になっちゃうかもしれないから、気にしなくていいよ」
「わかった・・・じゃ、いつもの時間に起きることにする。頑張ってね」
「ありがと。おやすみ」

あたしは少し冷たいベッドにもぐりこんだ。

ウトウトしたけど、ふっと目が覚めた。ドアを開けるとリビングからまだ灯りが漏れている。
なんとなく気になって、リビングに行ってみたら、あなたがノートPCを開いたまま、
くぅくぅと寝息を立てて寝ていた。

あたしはそっとベッドに戻って、あったかくなってるあたしの毛布を、そっとあなたの
上にかけた。

「ぅん・・・?」となにやらつぶやいて、あなたが半分目を覚ました。
「・・・ごめん・・・起こしちゃった?」
「あぁ・・・寝ちゃってたんだ?やっとできたー!と思ったとたん寝てた(^^ゞ」
「今日もお疲れさま」
「毛布ありがとう」
「うぅん」
「君は僕の毛布かもしれない」
「え?」
「ライナスみたいに絶対に手離せない毛布」
「ライナスって、SNOOPYに出てくるあの男の子?」
「そうそう。くるまってあたたまって安らいで・・・」
「でも、かいまきはどうするの?」
「あれはあれで、大事!」
「そういえば、あたしも子供の頃かいまきだったよ。肩が冷えるから、って」
「使ってた?そうなんだよ、あったかいんだよね」

なんてこと話してたら、あっという間に1時間が経過していた。
寝なきゃ!!(>_<)

ベッドに入ってから、お互いに羊の数を数えてた。あなたが時々「執事がひとり」とか
言い出すから、寝ようと思ってるのに笑いが止まらなくなっちゃったけど。
いつの間にか吸い込まれるように眠っていた。あなたもあたしも。

眠れない夜があったら、横で眠るあなたの顔を見つめよう。
明けない夜なんてないけど、苦しくてたまらなくなったら、あなたの笑顔を思い浮かべよう。
そして、あなたがつらくなったら、あたしはめいっぱい腕を広げて抱きしめよう。
大好きなあなたのために、自分のために。

夢を見た。夢の中のあなたは、いつもとおんなじやさしい目で、穏やかな声で、笑ってる。






勝手にすぺしゃるさんくす : 本当に勝手に妄想してすみません・・・櫻井様・・・。m(_ _)m