「僕とあたしの未来 4」



「ただいまー」と言いながらまさきが帰ってきた。
「ねーちゃん、いるー?あのさぁ」

いきなり部屋のドアを開けられたあたしは、一瞬びびった。

「ちょっと勝手に開けないでよ!!ノックぐらいしろ!!」

学校から帰ってきて、着替えの真っ最中だったのだ。

「べっつにねーちゃんのパンツなんか見たって、地球上に住んでる誰ひとり
 そんな気起こさねーっつの」
「あんたねー????!!!!!!」

ロンTで前を隠しつつ、まさきに手を振り上げようとしたら・・・
まさきの後ろから「こんにちは・・・」と言う声がしたとたん、あたしのロンTが
手から滑り落ちた・・・。

「おじゃましま・・・」
「・・・・・キャーーーーーーーッ!!!!!!!」
「すいませんっ!!」

あたしはあわててドアを閉めた。今の、誰?!?
落ち着けー、あたし。見られてない、見られてないって・・・
つーか、おもいっきり見られたってばー!!(T_T)


「ねーちゃーん」何事もなかったかのように、まさきのあたしを呼ぶ声がする。

あたしは気を取り直し、着替えてリビングに行った。

「なによ?」
「ねーちゃん、なんかねぇ?腹減ってんだ」
「そんなの自分で探しなさいよ」
「ぷっ!!探しなさいよ、だって。いつもは探せよ?!とか言ってんのに。アハハッ」
「・・・・・・・・」
「あ、こいつ、トモダチのしょーちゃん。なんでもいいから二人分、ね?」

ったく!!と心の中でキレる。

「こんにちは。いつもまさきくんにはお世話になってます」
「どうも・・・こちらこそまさきがお世話になって・・・」
「ねーちゃん、早くー!!腹減って死にそう!!」

んなら、自分で冷蔵庫の中探して、なんか食ってろっ!!(怒)

「あ、僕手伝います」と、しょーちゃんが立ち上がった。
「いいから、すわってて」
「僕んち、両親共稼ぎで、昔から自分で作ってたら、なんか得意になっちゃって」
「そうそう、しょーちゃんすげーの!自分で弁当作ってんだぜ?なんつったっけ?
 えと・・・弁当男子?」

まさき、あんたには見習うという能力がないのか。(-_-メ)

「ネギありますか?それと卵」
「はい」

あたしはまるで料理番組の助手みたいだ。

「ごはんとかあります?」
「朝の残りもんと、冷凍したのがあったかな」
「じゃ、それ使っちゃっていいですか?」
「はい」

しょーちゃん、いい音を立ててネギをトントントンと切った。もこみちか??
フライパンに油とゴマ油をちょっと足して、熱したとこにネギを入れ、香りを出し、
溶き卵を流し入れ、ふわっと混ぜる。

そこに残り物のごはんと、冷凍をチンしたごはんを入れ、テキトーにざくざくして・・・
塩コショーをちょいちょい。

「あ、オイスターソースとかあります?あとお醤油」
「はい」

鍋肌にオイスターソースとお醤油を少し回し入れ、よくある中華の、
片手でフライパンを返す姿は・・・やっぱりもこみちか、川越シェフ??
いや、中華だから・・・てかそんなのどーでもいっか。(^_^;)

「あ、お皿お願いします」
「はい」

て、さっきからあたし「はい」しか言ってない。(-_-;)

「はい、できあがり♪おねーさんもどうぞ☆」

その手際のよさに、あたしはただぼーっとして立ってるだけだった。

「いっただきまーす!!んまっ☆やーっぱしょーちゃん料理うめーな!!」
「あんたも少しはしょーちゃん・・を見習いなさいよ?」
「え?オレ?あ、カレーなら作れるよ?バーモントカレー♪レトルトだけど」
「それ作れるって言わない!昔、おとーさん、中華屋でバイトしてたんだよ?
 知ってた?」
「え?あ、そーなの?」
「全然遺伝してないんだね・・・」

あら、しょーちゃん、物静かね・・・。
なんだかあたしたち姉弟のどーでもいいやり取りを、微笑ましく見つめてる。
やだ、その笑顔・・・。

「おねーさんとまさき、仲がいいんですね」
「どこがーっ?!?!」と二人同時に返していた。

またその笑顔!!ちょっとだめ、こっち見ないで!!(>_<)

「ねーちゃん、さっきからどーしたの?あれ?もしかしてー??やだなー、
 しょーちゃんに惚れちゃったとか??」
「まさきっ!!んなわけないでしょ!!」
「ねーちゃん、わっかりやすぅ〜♪ねーちゃんなんかに惚れられたら、しょーちゃん
 メーワクだっつの!」

「そんなことないですよ・・・(*^_^*)」

ぽつんとしょーちゃんが、ふんわりと笑いながら言葉を返した。

いーやーーーーーーーーーッ!!心臓バクバクする!!吐きそう・・・。

「それと・・・おねーさん・・・」言葉をためながら、しょーちゃんは口にした。
「おねーさまは、けっこうグラマラスでいらっしゃいますね」

いーーーーーーーーーやーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!

「僕もこう見えて、けっこう筋肉質なんですよ?見ます?」

なんでなんでなんでーーーーーーーーーーーーーっ?!?!?!\(゜ロ\)(/ロ゜)/

「な、ねーちゃんからかうとおもしろいだろ?」
「まさきの言うとおり、楽しいおねーさんだね♪」

年上をからかって楽しむなぁぁぁぁっ!!

「僕、妹はいるんですけど、姉はいないので、おねーさんがいたらいいなぁって
 思ってて・・・。憧れなんです☆」

あ・こ・が・れ・・・・・・・・。(バタッ倒)

「ごめん。ちょっと頭がクラクラするから、休んでくる・・・。
 しょーちゃん、ゆっくりしてってね。チャーハンすごくおいしかった」
「ありがとうございます☆おねーさんにそう言っていただけるなんて・・・
 僕、感動です☆」

あぁ・・・瞳がきらり・・・☆彡

「でもおねーさん、大丈夫ですか?手をお貸ししましょうか?」

借りたいのはやまやまだけど、ぜひっ!借りたいけど、遠慮しとく・・・。

「大丈夫だから・・・」そう言いながら、よろよろと自分の部屋に行った。

しょーちゃん・・・あれはかなりモテると見た・・・。あたしなんか可能性、
ゼーーーローーー♪


しばらくして、まさきのまたあたしを呼ぶ声がした。

「ねーちゃーん、しょーちゃん帰るって」
「どうもおじゃましましたー」

あたしは思わず起き上がり、ドカッとドアをけっとばすように開けて、
玄関に急いだ。

「また遊びに来てもいいですか?」

あたしはおもいっきりエレガントに言ってみた。

「えぇ、よろしくてよ?」
「ねーちゃん、どしたの?頭悪い・・・のはいつものことか、じゃなくて、
 頭でも打った?」
「いいえ、なんでもなくってよ。しょーちゃん、ぜひ!また来てね?」
「はい!また来ます!!」
「絶対!!ぜったいぜーーーーーーったい来てね!!約束よ?」

あたしはしょーちゃんの手をにぎって、ぶんぶん振っていた。

「あ、ごめんなさい・・・」
「いえ。おねーさん、絶対また来ます!!だってこんなにキュートでおもしろい
 おねーさんがいるんですから(^_-)-☆」

う、ウィンク・・・。(@_@;)うぅ・・・ぎゅうってハグしたい・・・・・。

「じゃ、おじゃましました」と今日いちばんの笑顔を残して、しょーちゃんは
帰って行った。

いかないでぇぇ・・・・・・・・・・・・・。

「あれ?ねーちゃん、泣いてんの?泣いてやんの!!そんなにしょーちゃん
 好きになっちゃったかぁ。そっかぁ♪」
「バカッ!!」それ以上なにも答えられなかったあたし。

今度来てくれるのはいつだろう?

「あ、そーいえばさ」
まさきが思い出したように言った。
「しょーちゃんの誕生日、ねーちゃんと2日違いなんだよね。一緒に誕生日パーティー
 やれば?」

うそ・・・ホント?

「そうだね、一緒にお祝いしよっかな♪」
「ねーちゃん、超うれしそーっ!!うけるー!!!」
「なんとでも言って」

そっか、次に逢えるのは、誕生日パーティーね?しかもたった一ヵ月後だわ☆
・・・・・そんなに待てなーーーーーーーーーーーーーーーいっ!!!!!!!

「あ!」また、まさきが思いついたように言った。
「てか、オレの誕生日呼べばよくねぇ?メリクリ一緒にやれば?」
「そんな、しょーちゃんはイブなんかめっちゃたくさん予定入ってて、
 断り切るのに苦労してるくらいでしょー?!?!」
「オレ、電話してみる」

ケータイで電話をするまさき。横からすかさず番号を覗き見るあたし。(^_^;)

「もしもし?しょーちゃん?あのさ、突然なんだけど、イブって予定ある?」

あるよ、絶対!!きまってんじゃん!!(T_T)

「え?夜は家族とパーティだからダメ?だけど昼間ならOK??
 そ!じゃさ、オレの誕生日だからうち来てくれっかな?いいともー?はいはい、
 じゃ、またね〜♪」

うそ。うぞーーーーーーーーーーー!!!(ToT)
神様仏様キリスト様お母様ありがとぉぉぉーーーーーーーーーー!!!!!(T人T)
まさきをイブに産んでくれてありがとぉぉぉーーーーーーーーーー!!!!!(T人T)

「あ!早くケーキ予約してこなくっちゃ!!」
「ねーちゃん、まだ予約してなかったの?!かーちゃんに頼まれてたじゃん!」
「忘れてた・・・え?今日までだっけぇ?あそこのケーキ屋さんの予約受付!!
 行ってくる!!」
「サイフ忘れんなよ?サザエさんかよ?!ってオレにつっこまれないうちに♪」
「うるせぇ!わかっとるわぃ!!」

そう吐き捨てて、あたしはケーキ屋さんまで走った。
サンタクロースって本当にいたんだね・・・。あたし今まで一度も
信じたことがなかったのに。

素敵な王子様の笑顔が、何よりのプレゼントだよ☆☆彡








勝手にすぺしゃるさんくす : 櫻井王子&相葉ちゃん。
                  幸せの青い鳥のピーちゃん。
                  いつも願い事をしてた神社様。
                  あの日あの場所に来てくれた影山サンタ様。
                  こっちを向いて立っててくれた影山サンタ様。
                  我が市を舞台にしてくれた、原作者東川様。
                  ドラマ化してくれたスタッフの方々。
                  出演者の方々。警備の方々。
                  そして、いつもお世話になっておりますアントルメ様。
                  この地に越して13年、
                  わたくしは幸せ者にございます・・・。