「僕とあたしの未来 42 〜僕の毛布 4〜」



今日は冷たい雨が降っていて、少し肌寒い。
せっかくのスカイツリーオープンの日なのに、展望台から見える景色は、白く煙って
しまってるんだろうな、きっと。
やっぱり洗濯物は青空の下で干したい。今日は洗濯お休みにしよう。

テーブルに朝食を並べ、時計を見た。もうこんな時間。目覚まし鳴ってるかな。

部屋をのぞいたら、あなたが手を伸ばしたまま寝ていた。どうやらスヌーズ機能まで
止めてしまったらしい。

くぅくぅと寝息を立てて、気持ちよく寝ているあなたの鼻を、ちょっといたずらっ子っぽく
つまんでみた。
あなたは「うぅん」と唸って、寝返りを打ち、あっちを向いてしまった。

今度は目覚ましを手に取り、あえてあなたの耳元で鳴らしてみた。

「わぁ!!」
飛び起きたあなたはまだ寝ぼけまなこ。しかも、スーパーハードのワックスで
スタイリングしたかのような、見事な寝癖スタイル。

あなたがバタバタと身支度をしている間に、あたしは紅茶を淹れる。
ティーポットから漂う香りは、まるでアロマフレグランスのように、
こころを落ち着かせてくれる。
対してあなたは、洗面所でドライヤー片手に奮闘した後、やっと食卓についた。

『いただきます』と、ふたりで一緒に合掌。
今日のメニューは、ハニートースト、ソーセージ&スクランブルエッグ、ミニサラダ、紅茶。

「なんかいい香りがする。茶葉変えた?」
「うん、アップルティーにしてみたの。キッチンにお茶殻をひろげて置いておくと、
 なんだかポプリみたいにいい香りがして、アロマ効果もある感じがする」
「へーぇ。アロマキャンドル焚かなくてもいいんだ?」
「そうね、キャンドル・・・」
「なに?」
「うぅん、別に・・・(笑)」

「お先にごちそうさまでした」と、あなたが手を合わせる。
「お粗末さまでございました」と、あたしが答える。

今度は洗面所で歯を磨きだすあなた。しっかり15分は磨いてる。歯医者さんから
表彰状もらえると思う。(^^ゞ

「あ、今日はまたプロジェクトの会議で遅くなると思うから、悪いけど先に食べてて
 くれる?」
「わかった」
あたしはまだ食べかけの朝食を残したまま、立ち上がった。

「じゃ、行ってきます」
「あ・・・」
「?」
「ネクタイ曲がってるよ」
「え、そう?」
「いっつも曲がってるの、こっち寄りに」
「うそ?そうなの?早く言ってよ〜?(^_^;)てか、直して?」
「ママはね、なんでもできる子になってほしいの!あなたはできる子でしょ?」
「はい!ママ!!僕がんばる!!てか、直してくれるの?くれないの?(^_^;)」
「お直し入りまーす!はーい、OKでーす」
「なんで今まで直してくれなかったの?」
「え?直すヒマもなくバタバタ出かけて行っちゃったり・・・あとは・・・」
「あとは・・なに?」
「直してあげるのがちょっぴり照れくさかったから、かな(^^ゞ」
「なに照れてんだよ?いまさら」
「照れるもんは照れるもんなんです!さぁ、今日も元気に行ってらっしゃい♪」
「はい、行ってきます♪」

次の瞬間、あなたがあたしのおでこにキスをした。
そして、ドヤ顔で出かけて行った。

「ひとりで照れまくっててね〜」と言う、あなたのこころの声が聴こえた
気がした。(^_^;)

帰ってきたら逆襲に出てやるー!出てみよう!出てみたい!出られるかな?
・・・・・・できないかも。(-_-;)







勝手にすぺしゃるさんくす : 毎週月曜日、ZEROの櫻井キャスター様