「僕とあたしの未来 52」



新学期が始まって、久しぶりの教室に足を踏み入れたあたしは、
あまりの君の白さ加減にびっくりした。

「なに・・・夏休みどっこも行かなかったワケ?」
「夏期講習三昧だったから、焼けるヒマなかったんだよ。
 そーゆーオマエは焦げすぎじゃね?嵐の大野みてーー」

いや・・・大野クンより黒いかもしれない事実。

「そんなに黒くなるなんて、オマエどこ行ってたの?」

窓から心地よい風が入ってきて、君の髪がふわっと揺れた。
そのほんわりした髪を、思わずさわりたくなる衝動を抑えて、
あたしは答えた。

「海。プール。田舎。キャンプ。時々部活」
「見事にアウトドア〜(-▽-;)」
「アンタはインドアすぎ」
「あー、オレもどっか行きてぇーーー!(>_<)」
「遅い(-_-)」
「今からでもいーからどっか行きてーーーーーー!!」
「今から?」
「正確にはガッコ終わってから」
「当たり前でしょ(-_-;)」

『誰と行くの?』ってコトが怖くて訊けなかった。

「オマエさ、髪切った?」
「今ごろ・・・(=_=)てか、タモさん?」
「オレ、どっちかっつーと髪長い方が好きなんだけど?」
「なんでアンタの好みにしなくちゃイケナイわけ?!」

そう言いながら自分でドキドキした。

君とあたしは、他の子たちの目にどう映ってるんだろう?

「なんかいいよなぁ、こういう時間・・・」
君がボソッと言った。

「え?」
「なーんて(^^ゞ」

君のヒトコトヒトコトが、あたしには全部大切。
聞きもらさないように、こぼさないように、すくいあげるんだ。

「さてと。終わったらどこ行く?」
「夏期講習三昧だった人が?」
「今日くらいいいじゃん!」

君のコトバに涙が出そうになるのをこらえながら、
あたしは「どこでも」って答えた。






勝手にすぺしゃるさんくす : 20年前からずっと好きなマンガ家・小沢真理先生、
                  そして櫻井様☆