「僕とあたしの未来 54 〜僕の毛布 6〜」



バスタブにつかってたら、いつの間にか寝てしまったらしい。

あなたの「おーい、だいじょぶかぁ?」って言う声に目が覚めた。

「ごめん、帰ってたんだね。すぐ上がるから」
「バスタブの中で寝ると危険です。寝ないようにしましょう」
「はい・・・」


あわてて上がって、バスタオルでふきふき、頭にタオルを巻いて、
キッチンへ戻った。


「今日は鍋かぁ」
「うん、寒かったから食べたくなって」
「先に食べてればよかったのに」
「ひとりでお鍋食べるのはちょっと・・・わびしい(^_^;)」
「確かにね(^^ゞ」
「シメはラーメンにしようと思うんだけど?」
「ちょっと時間遅いけど・・・いっか!」


ぐつぐつと音のするお鍋から、ホタテを取って、お魚を取って、肉団子も取って、
もぐもぐとおいしそうにあなたは食べてる。
あなたはいつもそう、熱いから一生懸命はふはふするとこが、とっても愛らしい。(^_^)

「お野菜も食べなさい」
そう言ってあたしは、あなたのとんすいにお野菜を入れる。

「ちゃんと食べますよー!(=_=)」
あなたは子どものように口をとがらせて、おちゃめな顔をした。
精神的につらい時、あなたのそういう顔に、あたしは何度救われただろう?


「そういえばね、今日珍しい光景を見たの」
あたしは切り出した。
「うん?」
あなたは身を乗り出した。

「タキシードに蝶ネクタイの男の人が、スーパーの袋さげて歩いてたの」
「結婚披露宴かなんかの帰りに買い物したんじゃない?」
「袋からネギが出てた」
「じゃ、きっとその人も鍋だね」
「でも披露宴の帰りにしては、引き出物とか持ってなかったよ」
「最近はなんでもカタログで選んで送ってもらうんじゃないの?」
「そっか・・・そうだよね?披露宴の帰りじゃなきゃ、あんなカッコして、
 スーパーで買い物なんかしないよね?(^_^;)」
「そりゃあんなカッコ、ふだん着にしてる人なんかいないよー(笑)」

ん?どこかでくしゃみする人の声が聴こえたような??気のせいか・・・。


あっという間にシメのラーメンもふたりでたいらげて、「ごちそうさまでした」。

「タキシードの人も、お鍋食べ終わったかなぁ?」
「誰と食べてるんだろう?」
「ちょっとかっこいい人だったから、一緒にいる人もきっときれいな人じゃない?」
「・・・・・ん??もいっかい言ってみて?」
「一緒にいる人もきっときれいな人・・・」
「その前!!」
「ちょっとかっこいい人・・?」
「そこ!!どこがどうかっこよかったの?!(=_=)」
「えー?!雰囲気だよー」
「雰囲気?雰囲気でかっこいいとは??」
「あなたってそんなにしつこかったっけ?」
「いや、聞き捨てならない単語が聞こえたから」
「あんまりしつこいと怒るよ?」
「怒りたくなるのはこっちの方なんだけど?」
「もうっ」
「風呂入ってくる!!」

あなたは、ちょこっとだけぷいっとそっぽを向いて行ってしまった。
そういうとこも、本当はかわいいんだけど。(^^ゞ

するとすぐにバスルームから、あたしを呼ぶ声がした。

「これ、なに?」
「なにって・・・」
「これの続き、なんて書いてあったの?」
「続き・・・?」

バスルームの鏡にさっきあたしが縦書きに書いた文字が、消えかかっていた。

あなたの名前の下に、だ・・・・・。

「だ?」
「もういいじゃない、別に」
「気になる」
「だから・・・だ・・・」
「だ?」
「だ・い・・・」
「きちんと答えなさい!」

あたしはあなたの耳元で、「だいすき」って囁いた。

「そ、それならばよろしい・・・」
そう言って、あなたは半分笑いをかみしめながら、バスルームのドアを閉めた。

またそういう態度も、はにかんだ顔も愛らしいんだ。

バスルームからは鼻歌のようなメロディーが聴こえてきた。

そういうとこもかわいいんだ。(^_^;)

お風呂から出てきたら、言ってあげようかな。
「タキシードの人ね、本当はあなたにちょっと似てたの」

でもなんだか言うのもったいないから、今度ケンカしそうになった時に言おう。
なんて、その頃には忘れちゃってるかなぁ?あなたもあたしも。(^^ゞ







勝手にすぺしゃるさんくす : 櫻井翔様。(←なんのひねりもない(^_^;))