「僕とあたしの未来 57」 今あたしの目の前に、ホワイトデーのクッキーがある。 もちろんしょーちゃんからのお返しだ。 でも・・・もったいなくて、あたしは1個も食べてない。 ていうか・・・今ちょっと食べられない状況にあるのだけど。 昨日、あたしはしょーちゃんと待ち合わせをしていた。 しょーちゃんの学校とあたしの学校の、ちょうど中間地点になりそうな駅で。 乗り換え駅のコンコースは、避けるのが面倒になりそうなほど、人がいっぱい。 ただでさえ俊敏性に欠けるあたしは、肩にかけたかばんがいちいち人に当たり、 そのたび「ごめんなさい」を連発していた。 「ごめんなさい」と言っても、何も返してくれない人たちの中で、なんだか淋しさを 感じてしまっていたのか、それとも単に体調が悪かっただけなのか。 人ごみの中に、小さく手を振るしょーちゃんの姿を見つけた。 しょーちゃんの足音が、一歩一歩聴こえるかのように、 まるでスローモーションのように、近づいてくる。 自分の頬がどんどん紅潮していくのがわかって、ものすごく恥ずかしい。 「ごめんね、待った?」としょーちゃんが、あたしの頭をなでたとたん、 からだがふわんと浮き、立っていられないような気がした。 こんなにもからだが熱い。それほどまでにあたしは・・・ しょーちゃんが好きなんだ・・・。 気づいたら、どこかのベッドの上にいた。心配そうにしょーちゃんがあたしの顔を のぞきこんでいた。 「大丈夫?つらくない?」 「・・・ここ・・・どこ?」 「父の知り合いの病院。急患で来たんだけど、けっこう待ってる人たくさんいて、 待ってる間、ベッドで休ませてもらうことにしたんだ」 「・・・あたし・・・・・」 「熱があるんだったら、今日の約束延ばせばよかったのに」 「あたし・・・熱あるの??」 「なに言ってんの?こんなに熱あるのに」 しょーちゃんのまぁるいおでこが、あたしのおでこにぶつかった。 恥ずかしくてさらに熱が上がりそう・・・。 2月にインフルエンザで熱出したばっかりなのに。今度は何の熱なの? それは・・・やっぱり・・・きっと・・・。 「あ、呼ばれたみたい。大丈夫?僕につかまって。5番の診察室」 しょーちゃんはずっとあたしについててくれた。 お医者さんによれば、インフルエンザB型っていうわけでもなく・・・ 特にひどい風邪症状が出ているわけでもないけど、熱の風邪ということで・・・。 お薬を処方してもらって、病院前でタクシー拾ってもらって、 しょーちゃんに付き添われて家に帰ってきた。 「ねーちゃん、また風邪?昨日も遅くまで起きてっからだよ!」 ここぞとばかり、まさきが偉そうに言った。 「しばらくおとなしく寝ててね。これは元気になってから食べて?」 しょーちゃんから手渡された、ホワイトデーのクッキー。 というわけで、今あたしの目の前に、ホワイトデーのクッキーがあるのだ。 熱はすぐに下がった。けれど喉も乾燥していて、咳が出やすいから、 しばらくは食べられないかなぁ・・・。 それにしても、いったい何の熱だったんだろう?本当にただの風邪? それとも・・・?それは・・・やっぱり・・・きっと・・・ しょーちゃんへの想いが重なって起きた、苦しいくらいの恋の熱・・・?(*^_^*)ゞ 時々、幸せなキモチ通り越して、きゅぅーーーーーーんって苦しくなって、 泣きたくなる。 なんで出逢っちゃったんだろう?出逢わなければ、こんな苦しい想いも、 ふと湧き上がってくる不安も、生まれはしなかったのに。 でも、顔見ると声聴くと、そんなのいっぺんにふっとんでいっちゃうんだ。 やっぱりあたしはこの人が好きなんだなぁ・・・って。 泣くことも悩むことも苦しむことも、惜しくはない。 しょーちゃんをこのままずっと見て、このままもっと好きでいられるなら。 ぶーぶーって携帯が鳴った。しょーちゃんからメールが届いただけで、 しょーちゃんって文字を見ただけで、また熱くなる。 『返事はいいからね』ってタイトル。 『ちゃんと寝てる?寝てなきゃだめだよ?』 寝てるけど眠れないの、ってつぶやきながら、しょーちゃんの言葉をたどる。 『早く治ってくれないと会いたくても会えないから、早く治してね(^^ゞ』 \(@o@)/ばたっ(倒)今度は心臓やられる・・・・・・・。 おっし!!根性で治す!!o(=_=)oって、声に出して言ってみた。 ドアの外で、まさきの笑い声が聴こえた。 立ち聞きなんて失礼な!あんたはおやつ食べてなさいっつーの!(ー_ー)!! 勝手にすぺしゃるさんくす : 櫻井様☆彡(*^。^*)、相葉様(~o~)b |