「僕とあたしの未来 63 〜僕の毛布 7〜」



今年の冬は寒いなぁ。
からだが冷え切ってしまうせいなのか、つられて頭の中も
真っ白になって、あたしはいったい何やってるんだろう?って
思ったりする。

いっそのこと、面倒くさいことなんてあきらめてしまえ。
あなたと喧嘩になった時は、あなたがいなくたって大丈夫、ひとりでも
生きていけるわ、とか強がってしまう。

毛布にくるまってじっとしていると、だんだんからだもこころも
ほどけてゆき、本当の気持ちに気づいて、不安になったり、
涙が止まらなくなったりする。

自分の心の振り幅に、自分自身がついていけない時があるんだ。


「明日早いから、先に寝るね」
ドライヤーで髪を乾かしていたあなたが、洗面所から戻ってきて言った。

「そうだよね、あたしも寝なきゃ・・・」
「なんだか疲れてるみたいだけど、大丈夫?」
「・・・大丈夫・・」
「じゃないでしょ?」


あなたのそのひとことに、ぶわっと涙があふれた。
やっぱりあたしは、あなたがいなきゃだめなんだ。


「本当は・・・あなたがいなくなっちゃったらどうしよう?とか、突然考えて
 怖くなったりするの」
「おいおい、僕の存在を消さないでよ?(^_^;)」
「だって・・・あたしの友だち、『またね』って言ったけど、そのまま病に
 倒れて遠く旅立っちゃったんだよ・・・」
「そりゃ、明日のことは誰にもわからないけど、だからこそ今を一生懸命
 生きることに意味があるんだよ」
「うん、そう!だから気をつけて行って、元気に帰ってきてほしいの!!
 あたしは、あなたが元気で笑ってくれてたら、それだけでいいの」
「僕だってそうだよ。君が笑っていてくれるから、頑張れるんだ。
 って・・・もしかして明日からのこと?ただの出張だけど・・・(^_^;)」
「だって、今年寒いじゃない?体調とか崩したりしたら・・・」
「心配してくれてありがとう。気をつけるから大丈夫だよ、僕は(^^ゞ」
「うん・・・」


あなたは最大限の無理をしてでも、真摯に頑張る人。ってことは
あたしもわかってる。
けど、そんなあなただから、時々心配になってしまうんだ。


「ほら、寝よ。風邪引かないうちに」
「うん」
「また気にしてるでしょ?心配性なんだから。着いたら電話するから」
「うん!必ず電話してね!」


鳴いてたカラスがもう笑った、みたいには笑えてなかったかもしれない
けれど、あたしはあなたのひとことで安心する。

いつかあたしのことを「僕の毛布かもしれない」って言ってくれたよね。
ただひたすらに、そっとそばにいるっていうことが理想だったのに、
そんな存在になれるどころか、どんどんダメなあたしになってる。(>_<)
こんな頼りないあたしで、あなたをちゃんとあたためられているの
かなぁ・・・?
それでもあなたは、笑って言ってくれるんだろう、「僕の毛布だよ」って。

だけど、あたしからも言わせてほしい、あたしにとってあなたは・・・
「贅沢すぎるほど上等な毛布」。
ふと見ると、あなたはもうすぅすぅ寝息を立てていた。あなたの方が
よっぽど疲れてるはずなのに、いつもありがとう。m(_ _)m
ベッドからずり落ちそうになってる、お茶目な毛布さん。(^_^)






勝手にすぺしゃるさんくす : 櫻井様

勝手にBGM : aiko 「君の隣」