「僕とあたしの未来 65 〜君が笑えるように〜」



「お迎えにあがりました」
「え、あたしが?なんで?!まだやらなきゃいけないこといっぱいあるのに!!
 なんで死神くんが迎えに来るのよ?!」

ハッと目が覚めた。夢か・・・。
母の元にも、死神くんが迎えに来て、やり残したことをやってから
旅立ったのかな・・・。

母が他界して、バタバタと日々が過ぎ、泣くヒマさえないくらいだったけど、
ゆうべは声を上げて泣きじゃくった後、疲れて眠ってしまったんだった。


いつもと変わらない日常。みんなが帰った後の教室。あたしは窓際の席から
校庭をぼーっと見てた。
ヘタクソな野球部も、今日は練習やってない。
カーテンが風にはためくだけで、他にはなんにも聴こえない。


「まだ帰らないのか」

振り返ると、先生が立っていた。

「・・・家に帰っても・・・落ち着かなくて・・・」
「そうか」


またカーテンのはためく音だけが響いた。


「おまえに今必要なことはなんだと思う?」
「あたしに今必要なこと?・・・・・勉強?」
「勉強はもちろん大切だが」
「他に・・・・・・・・?」
「今は涙しか出ないかもしれない。悲しい時は泣いていいんだよ。
 それを止める必要はない。でもな、振り返ってばかりじゃ何も進めない。
 前を向け。おまえだってそれはよくわかってるだろ?」
「・・・はい」
「おまえの負けん気の強さ、知ってるからな。おまえらしく乗り越えろ。
 それがいつか自分自身の力になる、支えになる」

先生はあたしの肩をたたいた。

「おまえの心からの笑顔が戻ってくるのを待ってるぞ!」
「・・・・・」
「先生もみんなも」
「あ。はい(笑)」

だよね、ちょっと(かなり)勘違いしちゃった。(^_^;)

「帰ります」
「よし!明日も元気に来いよ!」
「はい!弱志先生」
「弱志先生っていう嫌がらせはやめろ(-_-;)」
「はい!(^_^)さよなら!!」
「気をつけて帰れよ」
「はーい」


あたしは教室を出て、明日に向かって歩き始めた。






勝手にすぺしゃるさんくす : 青志先生&死神くん

勝手にBGM : 「GUTS!」「君が笑えるように」