「僕とあたしの未来 68 〜遠い記憶〜」



雑誌をパラパラめくっていたら、ふと映画情報コーナーが目に留まった。
とある恋愛映画、来年公開かぁ・・・。
主演俳優の役作りの写真を見て、あら、今回の役、今までの雰囲気とだいぶ違う
って思った。
けっこう好きかも?映画も観てみようかなという気になった。
原作には大胆なシーンもあるみたいで、ネタバレであらすじをさくっと
ネットで読んでみた。

・・・・・・・。

内容が胸に突き刺さった。

あたしには観れない。

あたしはこれを観たら、何もかも思い出して泣く。後悔の念にさいなまれる。
大好きだった人をあきらめて、別の人生を選んだこと。

そしてヒロインがうらやましくて悔しくてたまらなくなる。
ひとときでも愛する人に愛されたヒロインを、憎たらしく思うだろう。

重ねて、誰にも言えない想いを、できごとを、日々を、あらためて思い出すだろう。
切なすぎる。こんなことは記憶の引き出しにしまっておくだけでいい。
引き出しから引っ張り出すようなことはしない方がいい。

艶のあるシーンは見てもなんとも思わないだろうけど、苦しくなるようなことに
自ら飛び込みたくはない。

でも冷静に考えたら・・・この男ってずるいよね。ヒロインも言ってたけど。
世の男って、こういうヤツ山ほどいるよね。
結局自分からは何にも動き出さない。どちらも選べない。なのに好きだとか言って、
ヒロインの要望に答えるべく、やることだけやって、別れるっていう・・・。

まぁね、好きな気持ちはコントロールなんかできないってのも事実だけど。
なんでこんなヤツ・・・って思いながら離れられないってのもよくあるけど。
某ドラマのセリフで女優が言ってた、「そう、それが恋ってものなのよ」と。
それもよーくわかる。

あたしも十分トシ食ったんだな。そういう絶妙な心理がわかるようになるなんて。
人生、ムダな経験はやっぱりないのかもしれない。


なんてセンチメンタルな気分に浸ってたら、あっという間に昼休みが終わってた。
うっそ!お昼食べ損なったよ!!
あとでこっそり抜け出して、コンビニ行ってこよう。


「おまえさぁ、会議の資料、できてる?」
松本先輩に聞かれて、
「あ、だいたいできてます」
と答えたあたし。実はだいたいじゃなくて60%くらいだった!コンビニ行くどころ
じゃない・・・。

「だいたいって・・・あと2時間だけど?」
「はい、大丈夫です!」
「大丈夫じゃねーだろ?!しょーがねーなぁ、手伝ってやるよ」
「え・・・あ!ありがとうございます!!」


あら?あらららら??こんな先輩も悪くないかも???(^^ゞ





なんとなくBGM : 「Are You Happy?」より
                   「Miles away」