「僕とあたしの未来 9」



「あれ?櫻子、リップの色変えた?」

相子があたしに話しかけてきた。

「うん、新しいのにしてみた」
「いいなぁ、櫻子はいっつも唇きれいな色してて。あたしなんか、すぐがっさがさに
 なっちゃうんだもん・・・」
「そうぉ?相子もこれ使ってみれば?すごくいいよぉ☆」
「ちょっと貸してくれる?うあ、ホントだ、これ超いいかも・・・」
「でしょー?」

あたしは、さらにリップを重ねぬりしながら答えた。

「そうそう、昨日のラッキーセブン見たぁ?」
「もちろん♪やっぱ松潤ってかっこいいよね☆」
「うん☆」
「でも、我がマツジュン同好会のマツジュン先輩の方が、10万倍かっこいいかも?」
「櫻子、相当好きねー?マツジュン先輩」
「えー?相子だって好きだから、あたしたち二人で同好会結成したんじゃない」
「そうだけどぉ・・・櫻子には勝てないかもぉ〜(>_<)」

あたしたちはいつもこうやって、金網越しに、マツジュン先輩の部活風景を眺めている。

「あ、そういえばこないだね・・・相子、聞いてくれる?」
「うん?」
「怒んないで聞いてね?」
「う・・ん?」

ちょこっと心配そうな顔をしつつ、相子が身を乗り出した。

「グラウンドのはしっこでマツジュン先輩を見てたら・・・なんと!マツジュン先輩が
 『君、ちょっと・・・』ってあたしを呼んだの!!」
「え?なにそれ?!ちょっと櫻子、ヌケガケじゃない?!ずるーーーいっ!!(T_T)」

「だってたまたま・・・」と言うあたしの声をさえぎるように、あたしの腕をつかんで
ぶんぶん振り回しながら、「ずるーーーーいっ!!(T_T)」って言ってる。

「で?どうしたの?」あきらめたかのように、相子がたずねてきた。

「で・・・マツジュン先輩があたしに近づいてきて、あたしの耳元でささやいたの!!」
「うっそ・・・マジで?!信じらんない!!てか、ちょっと許せないんだけどぉ?!」
「相子・・・怒んないで聞いてって言ったじゃない」
「わかった、最後まで聞くから。それで?」
「あたしの耳元で、なんて言ったと思う?」
「やだ!やっぱなんか聞きたくない!!」

相子は耳を押さえた。

「聞いてよー!?」
「どうせ、マツジュン先輩に『実は君のことが好きなんだ』とか言われたんでしょ?!」
「だったらいいけどさぁ・・・」
「なに?違うの?」

また身を乗り出した。

「相子、超うれしそーな顔してる!!(-_-;)」
「だからなに??なんて言ったの?!」
「・・・『君、スカートのファスナー全開だよ・・・。まさに全開ガールだね?』
 って・・・」
「アハハハハハッ!!超うけるぅぅぅーーーーー!!」
「笑いすぎだっつの!」
「あの日に限って、マイクロミニのボーダーのフワモコパンツはいてたの・・・
 マツジュン先輩に丸見えだったよぉぉぉっ!!(T_T)」
「いいじゃん、マツジュン先輩、櫻子のパンツ見たんだよ?一歩前進じゃん?」
「一歩前進??」
「だってさぁ、他の子なんかそこまで見られることないじゃん?一歩前進よ!!」
「そっか・・・そうかもしんない・・・やだぁーーーーっ☆」

あぁ、あたしたちって単純で、頭ん中幸せね☆

今日もあたしたちは金網の外で、マツジュン先輩の活躍をじっと見てる。
あ、こっち向いた♪いやーーーーっ!シ・ア・ワ・セ☆彡






勝手にすぺしゃるさんくす : スタイリッシュな松本さん。
                  きっと女の子にしたらかわいい櫻井さん。
                  絶対弟にしたい相葉さん。