「絆」 〜16th birthday〜



今年も早いもので、あっという間に師走になってしまった。
何かできたかと言えば何もできないまま、さして変わらないまま1年が終わろうとしている。

美羽は無事高校に入学し、翔太くんと一緒に通っている。
翔太くんから、同じ高校に合格したら付き合おうと言われ、幼稚園からの幼馴染みから
彼氏彼女へと発展を遂げた。

あ、帰ってきた。


「ママ、聞いてくれる?」
「おかえり」
「翔太ったら、部活ばっかりなんだよ。なのに上達しないし」
「また!翔太くんに失礼だよ?」

確かに翔太くんは、サッカーを昔からやってるけど、即戦力とはいえない。
けれど続けることは大事。継続は力なり。努力はいつか自分の役に立つ。

「それより、演劇部の方は練習ないの?」
「あぁ、うん。今月もあるけどね。先生の都合もあって」
「そう」

美羽はなぜか高校生になってから突然、演劇部に入った。友達のいずみちゃん?に
誘われたとか。
顧問の奈良田先生は、今年赴任してきたらしく、まださほど学校慣れしていないらしい。
が、熱心に指導してくれる。奥様が病気がちなところもあり、とても奥様思いな先生のようだ。

「あれ?お父ちゃんは?」
「まただよ」
「またカラオケかー(-_-)」

お父ちゃんは、忘年会でなんとか茂子の演歌を歌うことに決めたらしく、休みの日は
その練習にカラオケばっかり行っている。

「ママ、クリスマスイブだけど・・・」
「わかってるよ。翔太くんと出かけるんでしょ」
「うん」
「あんまり遅くならないようにね」
「はぁい」
「その代わり、誕生日のお祝いは前倒しでやるからね」
「わかった。もうふつうのケーキだけでいいよ〜」
「プレゼント、翔太くんに無理なこと言うんじゃないわよ?」
「そんなの言わないよー。翔太の懐事情知ってるもん」

美羽は笑って二階へ上がって行った。

好きな人と一緒にいられることが、なによりのプレゼントだよね。
そんなこと誰よりママ自身が知ってるよ。

美羽、ちょっと早いけど、今年もお誕生日おめでとう♪&メリークリスマス☆






勝手にすぺしゃるさんくす : 葉山先生&泉ちゃん

勝手になんとなくBGM : aiko 「予告」