「絆」 〜Birthday Walking〜
最近、美羽から目が離せない。
というのも、むんずと立ち上がり伝い歩きをしているので、どこへ行ってしまうか
わからないのだ。

今日も、ケーキを焼く私の足元をつかみ、立ち上がって「マ〜マァ」と言ってる。
「はいはい、待っててね。もうすぐできるからね」

おととしは失敗した因縁いわくつきのクリスマスケーキ。
昨年は出産で焼けなかった。
今年こそ上手く焼けるかな?

オーブンからおそるおそる出してみると・・・・・
できた!やればできるじゃない?私、と自画自賛してみる。

生クリームを泡立て中に、美羽が騒ぎ出す。
「マ〜マ〜、こえっ!こえっ!」
泡立て器の先についたホイップクリームを、目ざとく見つけたご様子。
「またあとでね」
「やーーーーーっ!こえーーーーーーーーっ!!」
ちょいと指先につけてなめさせてやる。
「んまっ」
ご満悦の美羽。

クリームといちごでデコレーションしたケーキが出来上がった頃に、ピンポーンと
チャイムが鳴る。あ、成之さんだ。
「はーい、おかえりなさい」
ドアを開ける私。
「ただいま」と言いかけて、彼が私の肩越しを指さして、驚いた顔をしている。

「?」振り返ると、美羽が「あーいー!」と言いながら、こちらに向かって歩いてきた。

「美羽ーーーーー!すごいすごい♪」
両手を広げて、彼は美羽を抱きとめる。
「ひとりで歩けたね、よかったね!美羽」
私の目に涙がにじんだ。

去年私たちにさずかった命は、こんなに大きくなりました。

Happy Birhday & Merry Christmas!
今年もすてきなプレゼントをありがとう、美羽。