「絆」 〜ブランコにゆられながら〜 |
買い物を済ませ、美羽と手をつないでスーパーを出た。 「みうももつー!」 「そう?ありがとう。じゃ、これ持ってね」 美羽のお菓子を、別の袋に入れて持たせた。 最近、美羽はやたらお手伝いをしたがる。おままごとの延長なのだろうけど、 その気持ちが大切だから、なるべくやらせてあげようと思う。 いつも遊んでいる公園の横にさしかかった時だ。 木々の隙間から、赤い屋根の向こうに沈んでゆく、きれいな夕陽が見えた。 子供の頃は、大きな太陽が沈んでゆくのが、空き地からよく見えたものだ。 この辺りにはまだ少し畑も残っているけれど、空き地はほとんど残っていない。 「ぶらんこのりたーい!」 美羽が走り出した。 「静かに乗るのよ?」 「だいじょうぶー」 静かどころか、美羽はきゃあきゃあ言いながら、どんどん高くブランコをこいでゆく。 私なんて、ブランコどころかすべり台も怖かったのに。鉄棒は頭から落っこちて以来、 ずいぶん大きくなるまでできなかった。 美羽の隣りのブランコにそっとすわっり、少しだけこいでみた。 さっきの赤い屋根の向こうに、今にも沈みそうな夕陽がちらりと見え、そしてゆっくりと 消えていった。 なぜかふと目頭が熱くなり、私はうつむいた。 「ママ?どうしたの?」 ブランコをこいでいた足を止めて、美羽が私をのぞき込むように言った。 「ううん、なんでもないよ・・・」 そう言いながら、なぜか涙が止まらなくなった。 「美羽、帰ろう」 涙をそっとぬぐって、私は言った。 「うん」 美羽が元気に答えた。 「帰ったら、お手手洗って、うがいして、ごはんの前にちょっとお電話してみよっか」 「だれに?」 「おじいちゃんとおばあちゃん」 「うん!みう、たーくさんおはなししたい!!」 にこっと小さな笑顔に花が咲いた。 うん、ママもたーくさんお話したいよ。 BGMにしたい曲 : ソフラ○のCMで流れてるaikoの曲(CD化希望!!) |