「絆」 〜はぴば&めりくり2007〜 「なぁ、オレら何年になるっけ?」 「何年って・・・幼稚園の頃からだから、10年以上?」 「だよなぁ・・・」 「全然引っ越さないし、おまけになんで高校まで一緒なわけ?」 「なんでって・・・オレら付き合ってんだろ・・・?」 「・・・付き合ってないでしょー!ただのクサレ縁!!」 「おまえ、ヒトのファーストキス奪っといて、クサレ縁ってなんだよ?!」 「奪ったのはそっちでしょー?!」 「昔の美羽はかわいかったのになー」 「今はかわいくないみたいな言い方じゃん!?え?かわいくないって?私が?」 「はいはい、かわいいですよ、お姫様」 「よろしい」 なんて会話を翔太と交わしながら、今日も翔太と学校を出る。 「じゃ、あとでな」 「うん、わかった」 思えば幼稚園の頃の翔太と私は、周りの大人がドキッとするくらい 仲良しだった。 昔の私、ちょっと会いに行きたいなぁ・・・。サーヤに頼んでみようか・・・。 サーヤというのは、私の前世の時双子だった子で、今は私の守護霊に なってくれてるきれいなお姉さん。(五割り増しでほめといたよ(^_^;)) 「お願い、サーヤ!!」 「あんまり過去をうろついて、何かあったら困るんだけどなぁ」 「そこをお願い、ちょっとだけ見に行かせて?」 「しかたないなぁ・・・自分の家の様子見たらすぐ帰ってくるのよ?」 「わかった/(^_^)」 「調子いいんだから、美羽は。いつの間にそんなキャラになったの?」 「さぁ?お父ちゃんがあんなだからね(^_^;)」 「じゃ、寄り道しないで帰ってきてね」 サーヤが言ったかと思うと、突然白い光に包まれて、 私は2007年の12月にいた。 「この頃はまだ家も、今に比べたらきれいだなぁ・・・」 こっそりと門扉を開けて、勝手口の横を通って、庭の方へ行ってみた。 リビングにはお父ちゃんと・・・あ、私だ。 やば、縁側の方に出てきたよ。私はあわてて植え込みの陰に隠れた。 「おとーちゃんのマジックはホンマ、だつもうもんやわ!」 「そか、おとーちゃんのマジックはだつもうもんか?って!なんでやねん?! それを言うなら脱帽もんやろ?!」 「ごめんごめん、だつぼうもんやな!でもなんでおかーちゃんは、わざわざ だつもうしてんやろ?おとうちゃんにとって毛はながーいおともだちやのに」 「いらんこと言うな!!失礼しましたー」 「そんなもんでいいんじゃない?」と横で見てたお母ちゃん。 「でもノリツッコミが甘いかもしれんわ。歳末イベントで漫才出るんやから、 も少し練習積んどかへんと」と真剣な顔のお父ちゃん。 私まで漫才に借り出されてたのを、今思い出した。(-_-;) いったいどういう親子やねん。 あ、誰か来た・・・。 そぉっと植え込みから顔を出してみると、翔太とママだった。 「いらっしゃーい!!お待ちしてました」出た!お母ちゃんのよそいき顔。(^_^;) 「しょうたくーん☆まってたよぉ〜☆」出た!私のぶりぶり顔。(^_^;) 私は翔太の手を引っ張って、リビングに連れて行った。 そっか、今日はクリスマスイヴ&私の誕生日だった。 「みうちゃんのワンピース、とってもかわいいよ」 「そう?ありがとう、しょうたくん。えへへ」 あーもー、マセガキだった私。見てられない・・・・・。 どうせこの後・・・あーやっぱちゅうしてる・・・・・。(-_-;) 固まる周囲の大人たち。 「さー、翔太くんもママも来てくれたことだし、そろそろ始めましょうね」 お母ちゃんがろうそくに火をつけた。 ♪ハッピバースデー美羽&メリークリスマス♪ みんなでいっせいにクラッカーを鳴らした。 私はふぅっとろうそくの火を吹き消した。 楽しくて幸せだね、私も翔太も、お父ちゃんもお母ちゃんも翔太ママも。 「そろそろいいかしら?帰りましょ?」サーヤの声がした。 「うん・・・」 「美羽はみんなに愛されて、幸せな人生を歩んでるね、この先もずっと」 「そっかな・・・」 「そうだよ、この先は彼が幸せにしてくれるでしょ、きっと」 「えー、頼りない翔太が??」 「ほら、翔太くんと約束あるんじゃないの?」 「あ、やば、行かなきゃ」 ばいばい、6歳になったばかりの私。小学生になったらしっかり勉強してね。 でないと私が苦労すんのよ。(^_^;) 「おっそいじゃんかよー!何分待たせんだよー!!」ふくれっつらの翔太。 「ごめんごめん、ちょっとしたくするの時間かかっちゃって。女の子だしぃ、 そこはちょちょいで済んじゃう翔太とは違うのぉ☆」 「なにぶりぶりな言い方してんだよ?具合わりーの?」 「せっかくヒトがおしゃれして来たのに、なんでそういう言い方するかなぁ?」 「遅れてきて逆ギレかよ?」 「だって・・・」 「はいはい、きれいでかわいいです、お姫様、映画に遅れます」 「よろしい」 確かに幸せになれるかも。 私は翔太と手をつないで、イルミネーションの街を歩いた。 BGM : aiko 「ボーイフレンド」 |