「絆」 〜春やなー?春やわー☆はる・・・だねぇ〜 |
縁側に座っていても、さほどつらくない気温になってきた。 ぼけーっと外を眺めていると、隣の桜の木にちらほら、花が咲き始めていた。 「よっこらしょ」と言って、隣に彼が座った。 「やだなぁ、よっこらしょだなんて・・・」 「そんなこと言うて、自分かて言うとる時あるで?」 「うそ?ホント?!」 「ホンマに」 「マジ?」 「マジやで?」 「ホンマにホンマ?」 「せやからホンマやて言うとるやろ?!」 「なんで怒ってんねん?!」 「別に怒ってへんて!!」 ・・・・・・・。 「最近、オマエ、関西弁増えたなぁ?」 「そやね・・・」 「目尻にシワも増えたしなぁ?」 「ウソッ?!」 「ウソ」 ったくもー!!怒ったらよけいシワ増えちゃうじゃない!? 「なー?」 「ん?」 「・・・・・」 「なに?」 「ワシがじーちゃんなって、ヨボヨボんなってもーても、横に座っとってーなー?」 「じゃ、うちがばーちゃんなって、シワシワんなっても、横に座っとってくれる?」 「当たり前やろ?」 「うちもや」 二人とも冬は冷たく凍るような指先が、今日はお互いに温かかった。 「パパー!ママー!なかよししててずるいっ!!みうもっ!!」 「よっこらしょ」と言いながら、美羽が二人の間に座った。 美羽の指先は、いつもいつも温かいね。 パパ&ママ譲りの美羽のネコっ毛が、ふわふわと風に揺れた。 「春やなー?」 「春やわー☆」 「はる・・・だねぇ」 私たちは三人仲良く、ぼんやりとしばらく外を眺めていた。 BGM : 15minutes 「今日もいい一日」 |