「絆」 〜流星(ほし)に願いを〜 ペルセウス座流星群が今年もやってくる。11日頃から見られるかもしれないと聞いて、 サンダルをつっかけ外に出てみた。 北東の方角。カシオペアがうっすらと見えるだけの曇りがちな空。 11日は極大じゃないし、まだ見えないかなぁ。ちょうど雲が多くなり始めて、 星さえもよく見えない。 外はほんの少しだけ涼しい気がするけど、夜になってもこの気温じゃ、 のんびり悠長に見上げていられないなぁ。 今夜はあきらめて、部屋に戻った。 寝室にしている和室には、パパと美羽が大の字になって寝ていた。 美羽の寝相はひどいもので、枕に足を乗せている。しかも敷布団を斜め横断して、 パパの顔面にキックを入れてしまいそうなほど。 真ん中で寝ていた少し重くなった美羽を、よっこらしょと動かして、 ついでに私のふとんに寝かせた。 美羽の寝ていた後は、まるでカイロのようにあったかくなっている。 そして私は、美羽のふとんに寝転がってみた。 くぅくぅと寝息を立てて眠ってるパパの横顔、最近じっくり見たことなかった。 あ、こんなとこにシワが増えてる。いつの間にかシミも増えて、髪は・・・ ちょっとやばいんじゃないの?髪の毛後退してるよ? 「うぅん・・・」 私の気配を感じたのか、パパは向こう側を向いてしまった。 以前より丸っこくなった背中。でも猫背なとこは変わってない。 私はパパの背中に指で文字を書いてみた。 「・・・なんや?・・・何やってん?オマエ・・・」 「なんでもない」 「今何時や?」 「2時」 「せっかく寝とったのに、起こすなやー」 「今なんて書いーた?」 「堪忍してーな。眠い・・・」 マジで嫌そうな話し方。むっ!!ちょっと怒る私。 「流れ星見てきたの」 「・・・見えたの?」 「ううん。今日はまだムリみたい。でも13日の夜は見れるかもよ」 「・・・そう・・・・・・・・・・」 「13日の夜は見てみない?願い事言えるかなぁ?」 「・・・それより寝かして・・・・・・・・・・」 そう言ったと思ったら、すぐに寝息を立て始めて眠ったパパ。 こういうのって、男の人の方がロマンチストじゃないの? ううん、パパだって昔は、ちょっとはロマンチストだったじゃない? いまだにそういうこと言うじゃない? 私はパパの背中を指でぐりぐりしてやった。 「・・・夏菜ぁ・・・眠らせてーなー(T_T)」 はいはい。わかりました。願い事ってなーんだ?って訊こうとしたけど、 教えてあげない。 そんなこと思いながら、美羽のふとんで寝ていたら、美羽がにょきっと起き上がった。 「ママー、なにしてるのぉ?みうのおふとんだよ?ママはあっちでしょ?」 「あ、ごめんね、ちょっとね」 「みうは、パパとママのまんなかにねるの!!パパとおててつないでねちゃだめ!!」 「おててなんかつないでいないよ?こんなに暑っ苦しいのに」 「だめなのー!!みうがまんなか!!ママはあっちなの!!」 「はいはい・・・」 私はさっさと自分のふとんに寝転がった。 本当はさ、パパともう少し仲良ししながら眠りたかったんだけど・・・。 美羽姫には勝てない。(^_^;) 私の願い事、長すぎて言えないなぁ、きっと。 倒れそうな私を、その大きな手で支えていて 動けなくなった私を、その大きな手でおこして たとえ座りこんでても、泣きじゃくってても いつまでもあなたのそばにいさせて ちょっと願い事多すぎかしら? BGM : まだ発売されてないけど、aikoの「星のない世界/横顔」をBGMにしたい(^_^;) |