「絆」 〜気になるあの子〜 クラス替えで、翔太とは別のクラスになってしまった。 今までずっと一緒のクラスだったわけじゃないけれど、今回はなぜか ものすごく気になる。 それはたぶんきっと・・・図書館で翔太と並んですわってたあの子が、 翔太と同じクラスだからだ。 「美羽ちゃん」 幼稚園の時、よく砂場で一緒に遊んでた、さきちゃんが話しかけてきた。 「そのカチュームすごく似合ってる」 「ありがとう・・・。でも髪切りすぎちゃって、これくらいしかできないの」 「いいよぉ☆ここ、なんだっけ?えと、触角っていうんだっけ?ここ出してると、 なんかAKBみたい」 「そんなかわいくないよ・・・AKBみたいにかわいいのはあの子だよ」 あたしはため息をついた。 「あの子って、隣のクラスの?」 「うん」 「やっぱ気になってるんだ?あの子が翔太くんと同じクラスだから」 「・・・・・」 「美羽ちゃん、昔から翔太くんが好きだもんね」 「・・・たぶん」 「たぶんじゃなくて、うん、でしょ?!」 「ずっと一緒にいたからね」 「あー、なんか『僕等がいた』みたい☆いいなぁ☆」 「そんなんじゃないよ・・・。それにあの子にはかなわない」 「まぁあの子、ちょっと特別だよねぇ。でもさ、美羽ちゃんだって、昔からかわいい じゃん!大丈夫だよ♪」 さきちゃんがそう言ってくれても、あたしには自信がなかった。 自信がないくせに、どうしてもあの子には負けたくなかった。 またなんだか食欲が出ない。春休み中、ちょっと体重減ったかも。 「あら、美羽、もういらないの?残ってるの少しなんだから食べちゃいなさい」 「もう食べられない・・・」 「学校でなんかあった?」 「うぅん、別に・・・」 別に、って言っても、ママにはなんとなくわかっちゃってるんだろうな。 「おとーちゃん帰ったで〜♪」 パパが帰ってきた。またよっぱらってるみたい。(-_-;) 「あーもー、玄関に寝ないでー!」 ママがパパを起き上がらせようとしてるみたい。 「いや〜、後輩の綿戸と一緒に焼き鳥屋で一杯・・・あいつも関西出身やから、 つい話がはずんでもーてな♪ええヤツやねん☆」 「わかったから、寝なるなっつーの!」 ママを手伝おうと、あたしも玄関に行った。 「ほら、パパ、ママが困ってるでしょ!大人のくせして迷惑かけるなっつの!」 「美羽〜、ママとしゃべり方一緒やなぁ〜?」 「うわっ、お酒くさっ!!(>_<)」 「そんなに飲んでへんて・・・・・うぅ〜ん・・・・・」 『寝るなーっ!!』って、ママとあたしは同時に言った。(^_^;) ママと一緒にどうにかパパをベッドに寝かせた。 「美羽、ありがとね」 「うぅん」 「なんか悩みごとあるんじゃないの?ママにはなんでも言ってね?」 「うん」 「美羽、大丈夫だよ。自分に自信持ちなさい」 「うん?」 「クラス違っても、どんな子がいても、翔太くんは大丈夫だから」 「ママ・・・」 やっぱりママには全部わかっちゃってるみたい。 「翔太ってどんな大人になるのかなぁ?」 「さぁ?」 「お隣の影山さんみたいにカッコよくなったらいいなぁ」 「そうね。でも翔太くんは翔太くんだから。どんな翔太くんでもいいでしょ?」 「うん☆」 「さ、食べられるようだったら、残ったごはん食べちゃいなさい」 「はい!食べる!!」 あたしは残ったごはんを全部食べた。ついでにおかわりもした。 ママの言葉って不思議。あたしを元気にしてくれる、魔法の言葉みたい。 明日はもっとかわいいカッコして、学校に行って、翔太に「おはよう!」って 言うんだ。 翔太が「おはよう!」って返してくれたら、それだけでいいんだ。 きっと明日も晴れる。 勝手にBGM : aiko 「学校」 勝手にすぺしゃるさんくす : 祝!「パパドル!」レギュラーの茂さん☆ |